9歳で起業。2週間で一千万円稼ぎ出した少女から学ぶ「革命を起こす方法」

Text: Megumi Satou

2016.6.24

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道端でレモネードを売って、数十億円を稼いだ女性起業家がいる。名前はビビアン・ハー。ビジネスを始めた当時、彼女はわずか9歳だった。カリフォルニアで行われたとあるカンファレンスで、彼女は2000人もの大人を前に基調講演を行った。小さな登壇者の姿に会場がどよめくなか、彼女はこう語る。

私がやっているのはビジネスではないの。”Giveness”なのよ。

奴隷解放のために立ち上がった1人の少女

両親から手渡されたとある一枚の写真を見て、9歳の少女は憤慨した。それは、自分と同い年くらいの奴隷の少年が2人、大きな岩を背負って運んでいる写真だった。彼女の名前はビビアン・ハー。


アメリカフランシスコ州の普通の家庭で育った普通の女の子である。両親が見せてくれた小さな奴隷の写真は、彼女が革命を起こすきっかけとなった。

どうして同じ子どもなのに、彼らが奴隷にならなければいけないの?

ビビアンはさっそく次の日から行動を起こした。アメリカでは夏になると子どもがレモネードを作って道端で売り、お小遣いを稼ぐ姿が見られる。彼女が今すぐにできることは、道端でレモネードを販売することだったのだ。

現在、世界には1800万人の児童奴隷がいる。彼女はすべての児童奴隷を解放するために、家の前の道端でレモネードを売り始めたのである。雨の日も休まずに販売を続ける彼女の姿に感動した大人たちは、SNSで彼女の姿を話題にし、いつしか屋台の前には行列ができた。最初は1杯2ドルだったが、途中から「あなたのハートにあるものをください」と値段を定めることをやめ、開店から2週間後には10万ドル(日本円にして1080万円)を集めた。

9歳でビジネスの成功者に

2週間で1000万円以上を稼いだ少女の噂は瞬く間に全米中に広がった。売り上げは当初の目標金額に達していたが、彼女の革命は終わらない。「10万ドルで奴隷の子どもは全員いなくなるの?いなくならないでしょう。それなら、まだ続けないと!」彼女は父親と一緒に、フェアトレードオーガニックレモネードを販売する会社「Make a stand」を立ち上げた。レモネードの売り上げの5%は、奴隷労働問題に取り組むチャリティ組織に寄付をするというものだ。そして現在までに100万ドル以上の売り上げを記録した。彼女いはく、これは人からもらう“Business”ではなく、自分から与える“Giveness”なのだそうだ。「行動の伴わない思いやりは、思いやりではない」と強い眼差しで語る。その言葉の通り彼女は、1杯のレモネードを売ることから行動を始めたのだ。

踏み出せない大人たちに贈る言葉

日本の大人がビビアン・ハーから学ぶことは多い。「やりたいこと」や「今後の展望」を飲み会の席で友人相手に声高に語るだけでは何も始まらないのだ。彼女は児童奴隷の写真を見た翌日から、家の前でレモネードを売り始めた。今、自分の両手でできることを、すぐに始めるということこそ、9歳の起業家から学ぶ成功の秘訣ではないだろうか。とにかく行動し、小さくても変化を起こす。こんなに単純なことを、何年間もできないでいる大人たちは数え切れないほど存在する。2014年、10歳になった彼女は大勢の有識者の前で講演を行った。「目標があるのに一歩踏み出せない人に、何かアドバイスはありますか?」という司会者の質問に対し彼女はこう答えた。

あなたは望むことを何でもできる。ひとりだって気にする必要はないわ。なぜなら、ひとりいれば十分だからよ!

“One Person is Enough”たった1人で児童奴隷解放のために動き出した少女の姿は、たくさんの大人たちに勇気と希望を届けたのだ。

※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

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