「情報迷子」のみなさんに。スローニュースのすすめ。


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「新着ニュース5件」
 
あなたが毎日電車の中で、トイレの中で、ご飯の合間に見るそのニュースのうち、本当に「価値あるニュース」はどのくらいありますか?
 
「ネットには、なんてことのない記事を配信しておけばいいんですよ。」
 
ヤフー・トピックス元編集責任者、奥村倫弘さんが複数のメディアからそう耳にしているように、芸能ニュースやオモシロ動画など、娯楽重視の情報が溢れるネット上は「価値あるニュースがなくなってしまった」。そう批判する人は多いです。

(Photo by Tom Magliery)

(Photo by Tom Magliery)

「価値ある情報とは一体何か?」
 
 
それはあなたの携帯に送られてくる彼氏からのメールなのか?
最新為替相場ニュースなのか?
最新芸能ゴシップなのか?
人生を楽しく生きるための5つの方法なのか?
 
この終わりの見えない「問い」に、ヨーロッパ諸国が一つの「答え」をぶつけています。
 
その答えとは「スロー・ジャーナリズム」
 
ニュースサイトやフィード上を高速で埋め尽くしていく情報に、疲れ始めているあなた。
 
この、スロージャーナリズムで「情報消費のスタイル」が激変するかもしれません。
 
 

世界一「遅い」ニュース

(Photo by e'lemint)

(Photo by e’lemint)

一秒ごとに情報が更新される今、なんと「7年」もかけて取材を行うジャーナリストがいるそうです。
 
彼の名は、ポール・サロペック(Paul Salopek)。
 
ジャーナリスト最高の名誉であるピューリッツァー賞を受賞した彼は、7年間かけてゆっくり地球を旅し取材を行う「スロー・ジャーナリズム」を実践しています。
 
「速く旅をしていたら見逃してしまうような(物語と物語の)隠れたつながりを見つけることができました。」
 
News of Newsでそう紹介されているように、従来よりも複雑に物事が絡み合うようになった今の世界では、「短い情報」だけでなく、物語に深く入り込んだ「情報が持つ“意味”を理解できるニュース」が必要なのかもしれません。
 
 

遅いニュース。ヨーロッパで拡大中!

(Photo by Ed Yourdon)

(Photo by Ed Yourdon)

スロー・ジャーナリズムがいかに重要なストーリーを紡ぎ出すことができるのか。
 
「遅い情報がもたらす価値」を示すため、同プロジェクトが始動したのは2年前に遡りますが、今確実にこの「遅い情報ブーム」はヨーロッパ各都市で広がりを見せています。
 
 
オランダ流。“読者巻き込み”ジャーナリズム

(Photo by Eva the Weaver)

(Photo by Eva the Weaver)


たった8日間で1億7千万円を集めたオランダ発のスタートアップメディア『コレスポンデント(De Correspondent)』。「日々の事件や事故を報道するだけでなく、深い理解と長期的な視点を持って、我々の生活に直接影響する問題を伝え、説明していく。」
 
そんな目的で作られたこのメディアは、スロージャーナリズムを体現しているだけでなく「読者の知識を引き出し、読者とともにニュースを作っていくこと」も徹底しています。
 
 

メディアはただ「会話のきっかけ」を作ればいい!

(Photo by MHSchilling)

(Photo by MHSchilling)

在英ジャーナリスト小林恭子さんによると、コレスポンデントでは読者はサイトの情報を単に消費するだけではなく、コンテンツを作るための参加者にもなれるそうです。
 
例えば医療に従事する読者。彼らは、医療記事を書く記者よりも深い情報を持っているかもしれない。そこで、(コレスポンデントでは)サイト上に情報を交換するコーナーを作り、読者との双方向の会話を経て、書き手が原稿を作ってゆくな仕組みになっているそう。
 
また、過去5年間オランダの有力紙の中東特派員として数多くのニュースを伝え活躍し、『こうして世界は誤解する』を著書に持つオランダ人ジャーナリスト、ヨリス・ライエンダイクさん。

(Photo from DeMorgen )

(Photo from DeMorgen )

彼は、「コラムニストとしてオンライン、オフラインで読者と対話をしながら、一つのテーマについて掘り下げ、本質に迫るというアプローチのジャーナリズム」を実践しています。
 
 

ゆっくり深く。「情報」ではなく「知識」を伝える

(Photo by Dolan Halbrook)

(Photo by Dolan Halbrook)

このように、「書き手主導」で運営される従来型メディアとは異なり、書き手はあくまで「会話のキッカケを提供する役目」に徹し、その問いについて読者が「情報を付加して貢献する」。
 
そんな「ゆっくりとより深く、読者と一緒に情報をつくりあげていくスタイル」が、スロージャーナリズムなのかもしれません。
 
オランダだけでなく、現在ヨーロッパ各都市では読者と共に世界中の都市のストーリーを紡いでいくメディア『Very Best of Us』のローンチが予定されていたり、3カ月に一度のペースで「今何か起こっているのかではなく、それが何を意味するのか?」ニュースを後追いして深く伝える雑誌『Delayed Gratification』が出版されています。

(Photo frommag nation )

(Photo frommag nation )

表面的に今何が起こっているのか?という“情報”を伝えるのではなく、「なぜ起こったのか」「どのように起こったのか」「それはこれからどんな影響があるのか」
 
そんな「スローニュース」がヨーロッパでは人気を集め始めているのです。
 
 

「情報迷子」のみなさんに。スローニュースのすすめ。

私たちはニュースを読むことに疲れています。
 
常に更新される情報にさらされ、ときときして何が本当に起こっているのか、わからなくなってしまいます。
 
「良い情報」
 
その判断基準は人それぞれですが、今のウェブ上には「なぜ起こっているか?」というニュースよりも「今起こっていること」を淡々と伝えるニュースが多いことは事実です。
 
そんな中で「遅いけど深い情報」を提供するスロージャーナリズムは、新しい「情報消費スタイル」を私たちに提供してくれるのかもしれません。

ーBe inspired!

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