世界で愛される、違法行為。「ゲリラ・ガーデニング」とは?


(Photo by Joshua Ness<)

(Photo by Joshua Ness)

刈り上げた頭の青年が早朝の渋谷を、颯爽とスケートボードで駈けてゆく。
左手に大きな袋を抱えた彼は道路の途中でおもむろに足を止め、道ばたの土をいじりだす。
 
ゲリラガーデニングだ。
 
私有地でない場所に勝手に花を植える行為は「違法」。
 
しかし、彼が去った後には無表情だった街並みが、鮮やかな花々で彩られていく。
 
いったい彼らはなぜ、“法に触れて”まで花を植えるのか・・・?
 
 

「ゲリラ」は「ボランディア」だ

ゲリラと聞くと、暴力的、犯罪的、反社会的なイメージばかりが頭に思い浮かぶ。
 
しかし、冒頭で紹介したゲリラガーデニング は、イギリス発祥の社会的ボランティア活動なのだ。

(Photo byGriZine )

(Photo byGriZine )

見捨てられたような土地や、雑草とゴミで荒廃した都市部の緑地を狙って行われる、このゲリラガーデニング。
 
その場所に「植物を植える権利」がある訳ではないので、もちろん違法ではあるものの、現在世界各国30以上の国で行われている「社会的に認められた“違法行為”」なのだ。
 
 

世界に愛される「違法行為」

このゲリラガーデニングは、花を植える行為や花のある景観によって住民たちのコミュニケーションを誘発しようという「コミュニティデザイン」の一環でもあるそうだ。
 
食用のため、町の美化のため、土地所有権の再考のため。
 
世界中で様々な動機の元、人々はこの活動に参加しており、ロサンゼルスではファストフードしかない街に新鮮な野菜を届けるため、道路脇に野菜を育てる「ギャング達」。
 
さらにはニューヨークでは、ゲリラガーデニングから発展して「モス・グラフィ・ティアーティスト(人にも環境にも優しい“コケ”を使ってストリートの壁面にアートを描くアーティスト)」となった女性もいる。

(Photo by faseextra)

(Photo by faseextra)

もちろん日本にも、Vallicans代表の岡部氏が主導する「スケート・ゲリラ・ガーデニング・プロジェクト」が存在する。

 
冒頭で述べた「ゲリラガーデニングをする、スケボー青年」は、このプロジェクトのメンバー。
 
一人あたりの公園面積がパリの2分の1、ニューヨークの3分の1と世界の各都市に比べて圧倒的に低い東京に、緑を増やそうと始められたのだ。
 
 
「違法行為」で街が活性化?!

(Photo by Tony Hammond)

(Photo by Tony Hammond)

そんな世界各都市で容認されつつあつ違法行為「ゲリラガーデニング」は、発祥地イギリスでは、もはや「ゲリラ」ではなく「コミュニティガーデニング」となっている例が数多く存在する。
 
リヴァプールとリーズの間に一するトッドモーデンという小さな町で始まったIncredible Edibleという活動。
 
たった3人の主婦が果実や野菜を植え出したボランティア活動がきっかけとなり、地元の高校では農業の授業が開講されたり、農作物の地産地消のビジネスサイクルが確立された。
 
そして最終的には、交番の目の前や墓地にまで野菜が植えられたこの町の物珍しさが話題となり、観光ツアーまでもが組まれるようになった。世界唯一のベジタブルツーリズムは、3人の主婦の「違法行為」から始まったのだ。
 
 
「都会」で「田舎暮らし」するための心得
これらのゲリラガーデニングやコミュニティガーデニングの根底に存在しているのが、「アーバン・パーマ・カルチャー」の思想である。
 
パーマカルチャーは「Permanent(永続的な)」と 「Agriculture(農業)」そして「Culture(文化)」を組み合わせた造語だ。
 
 
■自然のシステムをよく観察すること
■伝統的な生活(農業)の知恵を学ぶこと
■現代の技術的知識(適正技術)を融合させること

 
 
という3つの要素から農業をベースに考えられた「持続可能な生活・文化・社会システムのデザイン体系」が「パーマ・カルチャー」と呼ばれている。
 
「アーバン・パーマ・カルチャー」は、上記のように定義付けされる「パーマ・カルチャー」を都会に住む人々に受け入れれもらえる形にリデザインし、より良い社会づくりに発展させようとしている思想だ。
 
のんびりとした田舎生活や、ヒッピー生活が想像されがちなパーマカルチャーだが、「アーバン・パーマ・カルチャー」ではその本質を伝え、都市的で健康的な生き方を提案しているのだ。
 
 
ストリートから生まれる“革命”
(Photo by Ceci Newton)

(Photo by Ceci Newton)

「スケート・ゲリラ・ガーデニング・プロジェクト」に参加するスケーター、アレックス・チャン・リー(Alex Chung Lee)はこう口にする。
 

サーファーがビーチクリーンをやったり、スノーボーダーが山を綺麗にしたりするけど。じゃあ、スケーターがストリートのゴミを拾うかって言ったら、相当大変。自分がスケートボードしたテリトリーは綺麗にしていているけれど、サーファー達のビーチクリーンには到底およばない。となると、(ゲリラガーデニングなら)自分の住んでいる街を綺麗にする。素敵にする。そんなことができるんじゃないかなと思う。

スケーター達の遊び場は「ストリート」。
 
街で自由奔放に、街を乗り回す遊ぶ彼らだからこそ、「街づくり革命家」として。
 
彼らは自らが楽しんでいるストリートから革命を始めようとしているのだ。

(Photo by Drew Shannon)

(Photo by Drew Shannon)

東京に緑が少ない。そんな現状をただただ悲観するのではなく、純粋な気持ちで、具体的に街に緑を増やそうと「土遊び」を始めたVallicans。
 
理想とはかけ離れた現実に「NO, NO」とネガティブな姿勢を示すのではなく、自らが「YES! YES!」と思えることを率先して始めていけば、社会もそれに追いついてくるのかもしれない。
 
思いついたらやらない手はない。そう、遊ぶように革命を。
 
そんな「どんな場所でも。どんな思考からでも生まれる“革命”の精神」を、私たちは彼らから学ぶことができるのかもしれない。

ーBe inspired!

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