『カフェアート』が仕掛ける「100人の英国ホームレス・カメラマン」?


(Photo by Donnie Boyd)

(Photo by Donnie Boyd)

マニラ、ニューヨーク、ロサンゼルス。
 
見慣れない並びだが、これら3都市の共通点。
 
それは「ホームレスが多い」ということだ。
 
「都市とホームレス」。
 
切っても切れない関係なのは、周知の事実だが、社会的弱者である彼らを追いやる活動。
 
ではなく、「社会に巻き込む活動」が世界で起こっているのをご存知だろうか?
 
イギリス、ロンドンでは、そんなホームレスの存在を積極的に人々にアピールし、社会に理解してもらい、偏見をなくす取り組みが始まっているのだとか…

 
 
街を変える「カフェアート」という集団

(Photo by DaseinDesign)

(Photo by DaseinDesign)

「カフェアート」。あなたはそう聞いて何が思いつくだろうか?
 
「巧妙なラテアート」を想像する人も少なくはないだろう。
 
Instagramで#cafeartと検索しても、ずらりと出揃うのが、はやり“ラテアート”の写真。
 
 
はたまた、「ホームレスアート」。この一言を聞くと何を思いつくだろうか。
 
捨てられたもの。汚いもの。
 
そんなものを組み合わせたオブジェを想像する人も多いかもしれない。
 
しかし、実は「カフェアート」は、ホームレスによるアートなのだとか…?

 
 
ホームレスの「MY LONDON」が、アートになり、暮らしを彩る。

(Photo by @Doug88888)

(Photo by @Doug88888)

“カフェアート”というアートプロジェクトを推進しているロンドンの「アート集団」、その名もカフェアート(Café Art) 」
 
彼らの手によって、ロンドンの街中の100人のホームレスに、インスタントカメラが無料で配布され、街を代表するアート作りのプロジェクトが開始された。
 
「カフェアート」は、ホームレス達に写真撮影ワークショップを行い、“My London”というテーマでの撮影を彼らに依頼。
 
そして回収されたカメラから2500枚以上の写真を現像し、それらの写真はなんと20店舗以上のカフェの壁に飾られているのだとか。
 
また、 コンテストにて選ばれた20枚の写真はカレンダーとして販売され、売り上げは、活動費用やコンテストで入賞したホームレスへの賞金となっている。
 

ホームレスの存在を幅広い人々に知ってもらうことや、アートやフォトグラフィーを通じて生計をたてられるホームレスの輩出を目的としているのだ。

(Photo by cafeart.org)

(Photo by cafeart.org)

 
 
ホームレス×アートでも、ネガティヴな「アート」

(Photo by SAITOR)

(Photo by SAITOR)

ロンドンのカフェアートのように「ホームレス×アート」は、ポジティブなものだけでなく、ネガティヴな「アート」も存在するそうだ。
 
しかも、日本に。
 

新宿駅の地下道のでこぼこしたオブジェ。
 
渋谷駅の長時間座ることもできず横になることもできないベンチ。

 

意外にも日常の中に、ホームレスが留まれないような工夫がなされている今日。
 
それらの取り組みには自然と排除アートという名前がつけられた。
 
ただの鉄柵などのバリケードであれば、アートと呼ばれることもなかっただろうが、オブジェとして存在することによって、景観を良くするためという主張が通じるようになり、「アート」という名のオブラートに包まれてしまう。
 
この動きは日本のみならず海外にも存在し、海外では「アンチホームレスアーキテクチャー(反ホームレス建築)」と呼ばれている。

(Photo by theguardian)

(Photo by theguardian)


アンチの対象はホームレスのみならずスケーターも含まれるが、そのアーキテクチャーを使ったトリックを挑戦し抗議を行っているスケーターを筆頭に、アンチするためにお金を使うのではなく問題解決にお金を使うべきだという声もあがっている。

 
 
“お金”のいらない、ホームレスのための「隠れ家カフェ」

(Photo by degrés 360)

(Photo by degrés 360)

しかし、排除アートが多く点在する東京都内の某所に、また「カフェ」と「ホームレス」をキーワードとして活動している、れっきとしたアーティストが存在する。
 
「いちむらみさこ」と「小川てつオ」だ。
 
ブルーテント村と呼ばれるホームレス達がテントや小屋を作り集まって暮らしている公園内で、テント村内の多様な住人が集える場所、一般市民とホームレス市民が出会える場所としてカフェを経営している。
 
週に1回。絵画教室も行っている彼らのカフェは、「絵のある」という意味で“エノアール”というシャレの効いた名前がつけられている。
 
カフェはテント村の文化をのっとって、現金決済ではなく物々交換となっており、花見などのエンターテイメントも人々に提供しているそうだ。
 
もう8年近くテント村で生活しながらこの活動を続けている彼らは、路上生活者に対する差別をなくし、襲撃をなくすため、一般市民との食事会なども企画しているのだとか。

 
 
知ろうとすること。それが「持続可能な社会に続く道」

(Photo by Alex Proimos)

(Photo by Alex Proimos)

日々ストリートが物騒になり、公園で他人への働きかけが禁止されているなど規制が厳しくなりつつある日本。
 
しかし、ロンドンではホームレスがアーティストとして活躍し、生計を立てている。
 
また、アメリカでは、道端のホームレスを排除するのではなく、道路で寝込んでいるホームレス達の姿をアートの一部として取り込み楽しんでいるスキッドロボット(skid robot)」だっている。
 
社会的弱者の存在を隠そうとするのではなく、社会的弱者の存在を積極的にアピールし理解してもらい偏見をなくそうという動きが多発している欧米諸国。
 
人間は何かを知ることで自分の行動を変えられる生き物だ。
 
異なる事情があり路上生活を余儀なくされた人々が多い中、彼らに対する偏見・差別は絶えないが、彼らと人々の接点を増やそうという活動は大事であり、増えることが望まれる。

(Photo by Ed Yourdon)

(Photo by Ed Yourdon)


オンライン上でのコミュニケーションが主流になる今日、他者との交流を肌で感じられなくなってきている。
 
しかし、“face to face”で接しないと生まれない「アイディア」、「視点」、「文化」はまだまだたくさんある。
 
それと同じで、社会問題を身近に目にして知ることで解決へと動き出す人は増えるはずだ。
 
社会に存在するネガティヴなもの、こと、人を隠すのではなく伝えていける社会。
 
そんな社会こそが「持続可能な社会に続く道」なのではないだろうか。
 

ーBe inspired!

5350418885_9cd6495188_b
この記事が気にいったら
いいね!しよう
Be inspired!の最新情報をお届けします