フェイスブックに止められても、2人の若い女性が「1001枚のお尻の写真」を撮り集める“心温まる理由” 1,001 Fesses|GOOD ART GALLERY #002

Text: Noemi Minami

Photography: ©1,001Fesses

2017.8.21

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これまであなたの人生にアートはどんな影響を与えてきただろうか?映画、音楽、写真、絵…アートは様々な形で存在し、私たちの日常を豊かにしてくれる。あるいは、人生を変えてくることだってあるだろう。

Be inspired!では環境や人権、貧困などあらゆる「社会問題」を独自の形で表現、発信するアーティストに焦点を当てた新連載『GOOD ART GALLERY』で、まだ日本ではあまり取り上げられていない国内外の社会派アーティストを紹介していく。アートだからこそ、ときには美しく、ときには面白おかしく、そしてときにはショッキングに人の心に届くものがある。

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今回は、カナダのフランス語圏モントリオール出身の二人の女性アーティストのプロジェクト「1,001Fesses」を紹介したい。1,001Fessesとはフランス語で「1001の尻」を意味する。彼女たちの目標はなんとその名の通りお尻の写真を1001枚集めること

子どもの頃から親友同士だったエミリー・メルシェとフレデリック・マルセイユには誰にでもあるようにコンプレクッスがあった。ある日お互いの気になるお尻のセルライトを見せ合っていた時、「1001枚のお尻の写真を撮ろう」と自然に1,001Fessesのアイデアが生まれたそうだ。もう自分の体にネガティブではいたくなかったから。

世界中共通して「女性の美の基準」は理不尽に高い。1,001Fessesは十人十色のお尻の美しさを発信して、少しでも多くの人が自分の美しさを、他人との違いを、受け入れられるように活動しているのだ。

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ーあなたたちは誰?

私たちはカナダのフランス語圏であるモントリオール出身のアーティストです。名前はエミリー・メルシェ(29歳、フォトグラファー)とフレデリック・マルセイユ(28歳、アートディレクター&同プロジェクトのマネージャー)。ティーンエージャーのときから親友の私たちは常にアートや、光、人間、そして友情に関して同じようなセンスを共有してきた。1,001Fessesプロジェクトを始めてからは3年になる。これまでカナダ、フランス、スイス、メキシコ、そしてキューバで200人以上の女性を撮ってきたわ。

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ーどんなアートを作っているの?

私たちが作っているのは、同じ被写体を撮り続けるいわゆる“ビジュアル・ポエム”というもの。このプロジェクトでの私たちの被写体は後ろから見た女性の姿、もっと広く言えば女性の自然な体と彼女たちを取り巻く環境について。ゴールは120ミリのフィルムカメラで様々な年齢や体の1001の女性のお尻を撮ることなの(名前や顔は出さずに匿名で)。画像の編集も絶対にしないし、撮影のためのセットも事前に準備しない。全ての女性はモデルではなくて、ボランティアで参加してくれた普通の人。

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ーどうしてアートを始めたの?

「アートをしない」ことができないから。アートは選択的にすることではなくて、しなければならないことだと思ってる。エミリーには写真と光が必要でフレデリックには人と表情が必要なの。アートはコミュニケーションやクリエーションのはけ口で、反響させる場でもある。

ーアートを通してどんなことを世界に伝えたい?

美しさ。この世界は辛くて、暴力的で、冷笑的。でも本当は美しくて、真実味があって、傷つきやすいけれど光に溢れている。親密に人の自然な体や性格を表現することで私たちは孤独ではなくなる。アートは人生の壮大さを語る場でもあるの。

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ー社会のなかのアートの役割ってなんだと思う?

たくさんの役割があると思っているわ。私たちはアートとは英語やフランス語や日本語みたいな「言語」だと思っているの。でも毎日話すのに使う言語じゃない。それは詩的で、神話的で、主観的で、感情的な言語。異なる背景や、文化、思想を持った人々のバリアを崩せるもの。

ーアーティストになっていなかったら何をしていたと思う?

世界中のほとんどのアーティストと同じで私たちはアーティスト以外のこともやってる。本当に色んなことをやってるの。エミリーはミュージックビデオのアートディレクターであり、キャスティングディレクターでもある。ロケーション探しや魅力的な出演者、演技力がある子をみつけるのがとても上手なの!フレデリックはプロジェクトマジェージャーでビジネスウーマン。作家になりたくて、同時に2つの小説に今挑んでいるわ。

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ー同世代の子に今一番伝えたいことは?

クレイジーになるべき!違いを抱きしめてあげて。オリジナリティーと本物感を自慢しちゃって!もし何か…何でもいいからアイデアがあるのなら、とりあえずやってみて。私たちを見てみてよ、お尻の写真を撮りたかったから実現しちゃった。ちょっとバカらしくても、このプロジェクトは結果的に素敵な冒険となっているわ!

ーあなたの人生のモットーは?

GO WITH THE FLOW:流れに身を任せて。(このモットーをタトゥーで体に入れちゃった!)

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インターネット上でプロジェクト参加者や資金集めをしている彼女たち。過去にはフェイスブックのファンページに6500人以上フォロワーがいたが、フェイスブック運営側に「アダルトコンテンツ」として削除されてしまったらしい。それでもめげず、また新たに多様的な女性の美を発信するためにオンラインコミュニティを作っている。日本からもプロジェクトに参加したい人は大歓迎だそうだ。現在の彼女たちのフェイスブックグループはこちらから。

1,001Fessesは「お尻」という比較的にプライベートな部分の多様性を発信することで、「みんな違って、みんな美しい」という普遍的なメッセージを私たちに届けてくれる。

1,001Fesses

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※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

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