「アジアの女の子の体温と気分をあげたい」。“部屋に置きたいくらいかわいい漢方”を提案する日台女性起業家


「なんか身体がだるい」「生理痛がつらい」。そんなときに手に取る薬だけど、ちょっと待ってほしい。それは本当に、あなたの生活を改善してくれるものだろうか。

3月3日に台湾で店舗をプレオープンするスタートアップ、「DAYLILY(デイリリー)」が提案するのは、天然の滋養で身体を整える、漢方のあるライフスタイル。

病気になってから対処するのではなく、病気にならないように体質を改善していこうという試みは、あなたが持つ根本的な病因を解決してくれるかもしれない。

Photo by 撮影者

漢方って何? 「東」と「西」の医学の違いとは。

 現在漢方は、「QOL=Quality Of Life(生活の質)の向上」を目的に処方されることが多く、使用者の満足度を高めることが重要な方針になっている。

 漢方の属する東洋医学は、心と体を1つと考え、病因を心を含めた全体の問題と捉えて治療する。対して西洋医学は心と体をわけて考え、体を独立した器官の集合体と捉える。そのため専門分化(皮膚科、精神科など)し、器官の個々に病因があると考えて治療する。

 ちなみに、漢方は天然薬物(生薬)を複数組み合わせて作られ、西洋医学の薬は人工の単一成分で作られている。2つの最大の違いは、漢方は医療品としての役割のほかに、常用することで、その人の自然治癒力を一定に整える働きが期待できるという点にある。

 また、東西どちらの医学にも一長一短あるが、ストレス指数が増加した現代では、いわゆる「未病」が多くの人を悩ませていて、その対処法として漢方が注目を集めている。

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 そんな漢方のなかでも、DAYLILYが特に力を入れているのが「女の子のための漢方」。バイオリズムが上下しやすい女の子の日々をサポートするために、漢方を現代に合わせてリデザインし、身近にあるものとして普及させたいというDAYLILYの創業者 小林 百絵(こばやし もえ)さんと、同じく愛称エリちゃんこと王 怡婷(おう いてい)さんの2人に話を聞いた。

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DAYLILY創業者 小林 百絵さんと、王 怡婷さん

「漢方=なんだか難しい薬」のイメージを払拭するために。

 「なんだか難しい薬」というイメージが先行し、日本ではあまり一般的ではない漢方。そんな環境で過ごしてきた日本人の小林さんと、父が漢方の専門家という家庭に生まれ、「朝起きれば机の上に漢方が置いてある。飲みたくなくても飲まされた(笑)」と、そんな環境で育ってきた王さん。

 対照的な2人がなぜ共同起業に至ったのか。きっかけは、2人が学生時代を共にした、大学院での修論制作にあった。

王さん:私は昔からいろんな国の漢方を研究していて、レシピなんかも考えていたんです。それが高じて、修士論文のテーマは『日本の漢方について』。その制作をもえさんが手伝ってくれていました。

小林さん:そのときに聞いた台湾の漢方事情が本当に素晴らしくて。日本の漢方はその大半が薬ですが、台湾にはそれ以外にも、漢方の素材を使った食品や美容品が当たり前のようにあるんです。コンビニにも売ってるぐらい。文化として、ライフスタイルとしての漢方が根付いているんですね。魅力的で羨ましいなあと思いながら聞いていました。

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台湾のコンビニに売られている漢方製品

 2人は卒業後、いったんは別々の道を歩むも再開。きっかけは、小林さんのもんもんとした気持ちだった。

小林さん:エリちゃんに聞いた話が忘れられなくて、今一緒に商品開発をしている台湾のメーカーさんの漢方を飲み始めたんです。そしたら身体の巡りが整って、代謝がよくなった。毎日調子がいい。これはすごいということで、エリちゃんに起業の話を持ちかけたんです。

王さん:もえさんに誘われていなければ、DAYLILYの起業に至ってなかったでしょうね。

小林さん:それに私はもともと漢方にはすごく興味があって。周りにもそういう人はたくさんいて。これは絶対にやるべきだと。特にバイオリズムが乱れやすい女の子に向けて。そう思ったんです。

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ただの「漢方ブランド」ではなく、“漢方のライフスタイル”ブランドと名乗る理由

 ただ、漢方の素晴らしさを女の子に広めるには、大きな課題がある。ひとえに、「漢方ってお堅いじゃん?」という、昔ながらのイメージを打破しなくてはならないのだ。

小林さん:だから、漢方のあるライフスタイルを広めるうえで重要視したのがデザインです。今ある漢方のデザインは昔ながらのものが多くて、効果はともかく、部屋に置いておきたいとは思えない。女の子が「部屋に置いておきたい」とか、「これ買うと気分が上がるんだよね」と思うものを作る。これはすごく意識しました。

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DAYLILYの製品たち。漢方だと言われなければ、わからないデザインが特徴

 「台湾にこういったものはないの?」と王さんに聞くと、「あまりないです。学校に漢方を持って行ったら、友達に笑われたことがあります」と悲しそうに答えた。

 さらに、せわしない現代のライフスタイルに合わせて、DAYLILYの漢方はさっと使えるような工夫が施してある。「お湯や水に溶かしてさっと飲めるものや、そのまま食べられるものを用意しています。だから毎朝グツグツ煮出して、なんてやらなくていいんです」と小林さん。見た目だけではなく、実用性も伴っているのだ。

西洋に憧れる時代はもう終わり。アジアの叡智でアジアの女の子は美しくなる。

 DAYLILYの哲学は「アジアの女の子は、アジアの叡智でもっと美しくなる」。これは2人の価値観を表している。

小林さん:日本も含めて、アジアって西洋に対する憧れが大きくて、それで今までやってきたじゃないですか。それは化粧品にしても、美の基準にしてもそう。でも、もうそんな時代でもないと思ってて。それで、自分たちの体に合うものを改めて考えると、「それはやっぱりアジアのものじゃないの?」という。ブランドの哲学にはそういう意味が込められています

 世界が狭くなった今だからこそ、自分のアイデンティティーに目を向ける。アジアにはアジアの美があるんだ。もっと美しくなることを望んでいる女の子たちに向けて、そんな強い意志が、DAYLILYのかわいいパッケージには込められている。

 また、毎月のことで嫌になる生理に対しても、「漢方によるアプローチで立ち向かっていこうよ」と2人は提案する。

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DAYLILYの四物飲

王さん:今作っている商品の一つに、生理のときに使う漢方、「四物飲(よんもついん)」というものがあるんです。日本の女の子の大多数は、生理痛になると薬を飲みますよね。台湾にももちろんそういう人はいますが、生理の前後に四物飲を飲む習慣があれば、その痛み自体を軽減できるんです。

小林さん:生理だけじゃないですけど、調子が悪くなるたびにケミカルな薬を飲むのってあんまり体にいいことではないのかなと思っていて。さっきも話しましたが、私も漢方を取り入れることで生理痛がかなり軽くなったんですね。そもそも痛み止めを飲んでも、それって表面的な解決じゃないですか。「痛みを止める」だけだから。根本的には何も解決していない。私たちは身をもって、女の子こそ漢方を取り入れるべきなんだと実感しているんです。

 「痛みに負けるな」ではなく、「痛みが起こらない体質をつくる」というアプローチ。先述した小難しい話を思い出してほしい。漢方を常用することで、自然治癒力を高めることができるとはこういうことだ。

 これは生理に限った話ではなく、風邪の予防や肌トラブルの低減など、多岐にわたって当てはまるもの。既述のように、「手足が冷える」「食欲がない」という「未病状態」も、漢方による改善が期待できる(というより、昔からそれを行ってきたのが東洋医学)。

王さん:DAYLILYは薬局ではなく、私たちも薬剤師ではないので、漢方薬そのものは扱いません。けれどもDAYLILYが提供する毎日の「漢方ライフスタイル」を通して、漢方の良さを知ってもらい、本当に必要があるときに、本格的な漢方に触れてもらえれば嬉しいです。

小林さん:DAYLILYが漢方を知る入り口になれればいいよね。日本にある漢方のお店は入りにくいというか、なんか外観が強そうじゃないですか(笑)。敷居が高く見える。私たちがその敷居を下げる役割も担えれば嬉しいですね。DAYLILYを“漢方のライフスタイルブランド”だと言っているのはそういう面もあって。漢方は単なる薬じゃなくて、日々の生活に取り入れられるものなんだよって、それを知ってもらいたいんです。

 もしあなたが、繰り返される痛みや、なかなかよくならない病気の種に悩まされているのなら、日台コンビの挑戦を応援してみるのがいいかもしれない。今年中に日本でのポップアップストア出店を目指しているというから、かわいい漢方が日本に上陸するのも、そう遠い日の話ではないだろう。

 体に気持ちいい生活、始めてみませんか?

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DAYLILIY

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Top photo by Jun Hirayama
Text by Yuuki Honda
ーBe inspired!

 

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