「起業なんて自分とは誰か」を確かめるツールに過ぎない。


(Photo by Instagram)

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みなさんは、アメリカの心理学者アブハム・マズローが提唱した「自己実現理論」をご存知だろうか。
 
マズローは人間の欲求には下図のように、5段階あるという。


人は基本的に、低次の欲求が満たされた時、段階的に高次の欲求が現れるそうだ。
 
ピラミッドの頂上にあるのは「自己実現欲求」。
 
これは、自分の素質や能力を最大限に利用し、自らが決めた「あるべき自分」を欲求する状態だ。
 
それでは「自己実現」はどうやったら達成できるのか?

「起業は究極なる自己実現」
 
そう言ったのは「アフリカデザイン」&「伝統工芸」のコラボレーションを仕掛ける多国籍ブランド『Maki & Mpho』の設立者の1人であるMakiさん。

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彼女は「異なる文化を超えて人々が信頼関係を構築できるようにすること」を目標として掲げ、まだ知られていないアフリカの「今」を発信するデザイナーやクリエイターを世界に発信する。
 
そして、後継者の減少により存続が危ぶまれる「伝統工芸」と協業することで、新たなイノベーションを起こし、その価値をアフリカ、日本、世界に紹介。
 
Makiさんはきっぱりとこうも言い放った。
 
「結論から言うと、社会貢献とか全く考えてない」
 
目標からしても、社会性の強い会社を立ち上げた彼女の発言としては意外だった。
 
果たして、彼女の「自己実現」とは経済的な成功だけを意味しているのだろうか?
 
今回、Be inspired!はMakiさんの「起業」に対する信念について、直接お話を聞いた。

 
 
「最終的には『個人』なんですよ」

(Photo by Instagram)

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共同設立者でありデザイナーのMphoさんとアメリカの大学院時代に出会ったというMakiさんは、海外生活が長い。
 
13歳の時初めてアメリカに渡航以来、国内外の国際的な環境で育った彼女にとって「日本」に自分のアイデンティティーを見出すことは無理だ言う。
 
「帰国子女によくある話で、普通の人は大人になると落ち着くはずなんだけど、私は落ち着かなくて(笑)パスポートは日本だけど、それと自分のアイデンティティーは繋がってない。だからといって自分をアメリカ人だとも思ってない」
 
そんな彼女が「自分とは何か」という質問に出した答えが「個人」だった。
 
どこにも属していると感じることができないから、国や文化ではなく、自分のユニークさにアイデンティティーを見つけたという。
 
それが彼女の会社の信念にも反映している。

 
 
「アフリカデザイン」と「伝統工芸」の未知なる出会い

(Photo by PATIMES)

(Photo by PATIMES)

なぜ「アフリカデザイン」に対して「伝統工芸」を選んだのか聞くと、彼女はこう言った。
 
「私たちのブランド名にも出ているように最終的には、『アフリカ』『日本』っていう枠を超えて、MakiとMphoっていう『個人』にフォーカスしていきたいんです。それを考慮すると、ものづくりの中でも『個人』が反映されているのが伝統工芸。携わっている人たちのストーリーはまだそんなに知られていないじゃないですか。そこに秘められた価値をどうやって引き出すかっていうのが面白いところです」
 
彼女はビジネスを通して、「個人」の価値を世界に伝えようとしているのだ。
 
それには、既存する「ステレオタイプの破壊」がポイントとなるだろう。
 
アフリカの「ステレオタイプ」である「自然」や「ワイルド」とは真逆の「洗練」されたイメージをプロデュースしている『Maki & Mpho』。
 
「いわゆるアフリカって『自然』っていうイメージなんですよね。まだまだ経済的にも発展していないし。それも嘘ではないんです。でもそのインフォメーションばっかりに偏ってしまっている。謎の不均衡がある。こないだのトーク・イベントではいわゆるアフリカの『自然』を表した本と、あえて、モダンなアフリカのデザインの本を持って行きました。私たちがブランドを確立させていくことで、新しいイメージを発信していきたいんです。対抗するというよりは、違うストーリー、つまり意外性を発信するっていうのが第一ステップなので」

 
 
「私はリチャード・ブランソンみたいなロックなことがやりたい」

(Photo by Flickr)

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欧米で取り上げられることの少ない「アフリカのデザイン」や、「日本の伝統工芸」などの「ダイバーシティ」に注目し、更に「ステレオタイプの破壊」を目標とする彼女のビジネス。
 
やっぱり、いわゆる「社会派」な活動のように思えるが、彼女はそれが目的ではないと言う。
 
「言葉を選ぶのが本当難しいですけど『社会性』とか『エシカル』とか、そういうのに括られたくないっていうのがあって。一般的な消費者が『エシカル』って捉えると妥協が生まれる。『良いことしてる』って感じれる物だから良いっていう考え方に違和感があって。学生の頃に国際開発の勉強とか、NGOのボランティア活動をしてみてその矛盾性に気がつきました。その考え方だと、人を下に見ている。対等性がないと思うんです」
 
彼女は、社会性やエシカルという要素がハイライトされることによって、起業の本質であるビジネスモデルやイノベーションにおける価値がバックグランドに押しやられてしまうことに違和感を感じている。
 
Makiさんは、『Maki & Mpho』が追求する究極的なグローバル性や質、ストーリーへのこだわり、アフリカが最先端であることの証明の「結果」としての、「社会貢献」を目指しているということだったのだ。
 
そんな彼女のロールモデルはリチャード・ブランソン氏。
 
リチャード・ブランソンとは名門レーベル「ヴァージン・レコード」や「ヴァージン・アトランティック航空」などの創設者であり、様々な分野で大成功を収めているイギリスの実業家。
 
ブランソン氏の成功しているビジネスアイディアは「お金を稼ぐ」ことではなく、「彼が何をしたいか」「社会に何が必要か」から生まれでてきたものだという。
 
「私はリチャード・ブランソンみたいなロックなことがやりたい。起業して、成功して、社会性もある、それがインスパイアです。『起業』、『起業家』っていうものに可能性をすごく感じていて。そういう人が増えれば世の中もよくなる」

(Photo by a2ua)

(Photo by a2ua)

今後、オランダへのビジネス展開を考えているという彼女。
 
「今の時代はBorn Global(生まれた瞬間からグローバルな存在)。世界を拠点にするって難しいことの方が多いし、効率も悪いかもしれないけど、それをいかに実現できるかっていう挑戦なんですよね」
 
彼女のバイタリティーとモチベーションの高さには驚かされるばかりだが、次の言葉には呆気にとられた。
 
「私たちが頑張る事で、他の人が自己実現をポジティブに考えてくれるような『ロールモデル』になりたいんです。まだまだだけど、こういうのを成し遂げたいって表明するも大事だからね。挑戦しないなら死んだ方がマシだ(笑)」
 
「自己実現」を「起業」によって達成しようとしている彼女はすでに輝いていた。
 
人生でやり遂げたいことを見つけられた時点で、大変でも、とても充実した人生への第一歩なのかもしれない。

 
 
「自己実現」のその上にあるもの

(Photo by szajkoder)

(Photo by szajkoder)

実は、晩年マズローは5段階の上に更にもう一つの段階があると唱えていたそうだ。
 
それは「自己超越」。
 
見返りも求めず、エゴもなく、何かに貢献している状態。
 
Makiさんが目指すのは、起業して、成功して、そして行われる「自己満足」のためじゃない「社会貢献」。
 
もしかしたら、その状態が「自己超越」なのかもしれない。
 
『Maki & Mpho』は今月8月の終わりにケニアで開催されるジャパンフェアに参加する。
 
現地の企業や学生との交流も予定しているそうだ。
 
『Maki & Mpho』がこれから、世界中で活躍することを期待したい。
 
 

■Maki & Mpho
アジア・米国でのビジネス実績があり、2015年日本起業家賞(クリエイティブビジネスカップ賞)受賞者や東京都主催のTokyo Startup Gateway 2015のファイナリストとなったマキと、モザンビーク系南アフリカ人テキスタイルデザイナームポが結成したデザインブランド。アフリカの今を発信する独自のテキスタイルアートと日本の伝統産業を活用した商品でグローバル市場に挑む。
 
ウェブサイト:http://www.makiandmpho.com/
 
Maki & Mpho LLC(所在地:東京都渋谷区、代表:ナカタマキ、呼称:マキエンドムポ)は、合同会社シーラカンス食堂(所在地:兵庫県小野市、代表:小林新也)と共に、2016年8月27日、28日にケニア・ナイロビで開かれる「第6回アフリカ開発会議(TICAD Ⅵ)」の現地公式サイドイベントとして、ジェトロが主催する「TICAD Ⅵ ジャパンフェア」に共同出展します。
 
■ TICAD VI ジャパンフェア 概要
主催:  ジェトロ
後援:  経済産業省、外務省、総務省、農林水産省、国土交通省
会期:  2016年8月27日(土曜)~28日(日曜) 2日間
開催地: ケニア・ナイロビ
会場:  Kenyatta International Convention Center (KICC)​
 
■シーラカンス食堂
プロダクトデザイナー兼ブランドプロデューサー小林新也のデザイン事務所。日本固有の文化と地域資源から新たなビジネスを生む事業を行う同社は、経済産業省のJapanプロデュース事業「More Than プロジェクト」連続採択事業者としても実績(2014-16)があり、播州刃物の取り組みでは、2015グッドデザイン賞ベスト100、特別賞(ものづくりデザイン賞)を受賞。
 
ウェブサイト:http://www.c-syoku.com/

 
via. Maki & Mpho, シーラカンス食堂, motivation-up.com, Mov
 

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