老舗NPOとスタバが手を組んだ。「食料廃棄のインターネット化」で救われる多くの“食と人の命”。


「世界では食料が過剰生産されているのに、飢餓が無くならない」この矛盾した2つの事実に違和感を感じたことはないだろうか。

また同時に、それを社会問題と感じて解決したいと思っても、どう行動すればいいのか分からない、或いは、3日後にはその意識すら忘れてしまう、という経験は今までになかっただろうか。

現在、全世界で生産される食料品の少なくとも3分の1がゴミとして廃棄され、7億9400万の人が飢餓で苦しみ、最悪の場合には命を落としている。

これらの問題に35年以上取り組んできたアメリカの老舗NPOが、スターバックスなどを巻き込んで、テクノロジーを利用した取り組みに乗り出した。

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「アメリカの貧困問題を、余剰食料を活用することで解決したい」

 1967年から貧困問題を解決するための活動を続けてきたのは ”FEEDING AMERICA”というNPO団体。彼らは、一言でいうと「余った食料を、食料が足りない人に届ける」活動をしている。

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 アメリカでは現在、8人に1人が「フードインセキュリティ」と呼ばれる“食料に貧窮した状態”に置かれている。(参照元:Feeding America)一方、「食料廃棄問題」も同時に抱えていて、食事にありつけず苦しんでいる人がいるなか、まだ食べられる食料をゴミ箱に捨てるというこの矛盾を解決するためにFEEDING AMERICAは2つの活動をしている。

 「フードバンク」と「フードパントリー」だ。「フードバンク」とは、寄付された食料をすべて集約する倉庫のこと。アメリカに200ものフードバンクが点在する。そこからフードパントリーや炊き出し、ホームレスシェルターなどに食料が配送される。「フードパントリー」は、フードバンクや一般提供者から寄付される食料を、ネットワークに登録した食料貧窮者に“直接”配達する役割を担う。

食料廃棄を解決する革命的アプリ“MealConnect”

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 これまで50年ほど、アメリカの食べ物が必要な人々と、余った食べ物を繋ぐ架け橋となってきたFEEDING AMERICAだが、実は幾つか問題を抱えていたという。それは、大量の食事を取りに回ることや、寄付された大量の食事を整理して届けることは、手間と時間がかかりすぎているということ。
 
 そこで、 2017年にFEEDING AMERICA が始めたのが“MealConnect” というアプリサービス。アメリカ全土に広がる「オフライン」のフードバンク・フードパントリーと食料提携者を、アプリで「オンライン」につなげる、巨大な食のセーフティプラットフォームを形成したのだ。

 MealConnectの仕組みは、飲食店などで廃棄食料が出た際にこのアプリを使ってフードバンクにその廃棄食料を提供することだ。そこから、食料とこの食品の受給を待つ人とをフードバンクがマッチングさせる。パソコンやスマートフォンなどどんなブラウザからでもアクセスできるため、使いやすく、アクセスしやすく、行動しやすい仕組みになっている。

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“MealConnect”の革命性

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 これまでBe inspiredでは、食料廃棄問題を解決するための数々の方法を紹介してきた。

 例えば、消費期限間近の食品を割引価格で販売する事業者と消費者をつなぐアプリ「PareUp」や、飲食店の売れ残り食品を割引価格で買えるアプリ「MealSaver」。

 どちらにも共通して言えるのは、利用する対象が消費者だということだ。それに対して、MealConnectが対象とする利用者は企業であり、今までにスターバックスや、世界最大のスーパーマーケットチェーンであるウォルマートや、アメリカを中心に様々な食品の加工・販売を行うゼネラルミルズ、他の飲食店やホテルなども参画してきている。そのため、今までよりも規模の大きい単位での寄付が可能になり、大きなインパクトにつながる。

  “MealConnect”の革命性はそれだけではない。今までフードバンクやフードパントリーでは廃棄食料を回収してから、再配送するのに「時間がかかること」が悩みの種だった。しかし、アプリが開発されたことで利用者と廃棄食品を即時に繋ぎ、よりスピーディーな輸送を可能にし、事業者にとってもアクセスしやすい直接的な仕組みを作ったのだ。

食料廃棄問題に取り組むテクノロジーのムーブメント

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  MealConnectが行ったのは、食料廃棄の“IoT化”である。IoTとは、「Internet Of Things」の省略で、「モノのインターネット化」と訳される。アプリを利用して、廃棄食料と提供食料とを、「オンライン」で繋いでいるのだ。

 今回紹介したMealConnect以外にもこれまで、インターネットを利用した廃棄食品をなくすサービスがリリースされてきた。

 アメリカでは「PareUp」、フランスでは「OptiMiam」、デンマークでは「Too Good To Go」、ドイツでは「MealSaver」。欧米で食料廃棄問題にIoT(モノのインターネット化)を持ち込むことがある種のムーブメントになってきている中で、食料廃棄大国である日本に目を向けてみると、このようなテクノロジーを駆使した食料廃棄に対するサービスは未だローンチされていないのが現状だ。

 日本の食品廃棄の問題を革新的に解決に導く余地はまだたくさん残っている。例えばスターバックスは、日本の各都道府県に1200もの店舗を展開している。もし、これら全店舗でMealConnectのようなアプリを導入すれば、日本の食料問題に対して大きなインパクトをもたらすはずだ。

All photos by Feeding America
Text by Ayane Kumagai
ーBe inspired!

 

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