高齢化する日本に今必要!“ギブアンドテイク式”の「お年寄り」も「若者」も得をする出会い系サイト


 

「お年寄りを大切にしなければならない」ということは、多くの人が理解しているだろう。しかしお年寄りを大切にしたならば、何かしらの“得”が自分にもあっていいのかもしれない、そう考えたことはないだろうか。

そのような考え方は道徳心に反しているようにも思える。しかしこれからの高齢化社会を乗り切るためには、何かを与えた分だけきちんと還ってくるようなギブアンドテイク式の仕組みが必要なのだ。実は、海外ではすでにそのような取り組みが開始されており、功を奏しているのだとか。

「若者」と「お年寄り」を繋ぐ、「出会い系サイト」

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Photo by Ondergronds

 スマホで出会い系アプリにアクセスし、気になる異性の写真やプロフィールをチェックしてメッセージを送る。近頃、誰かと出会うのはなんとも簡単になった。しかしオランダ・アムステルダムで話題となった「出会い系」は一味違う。若者がスマホから検索している“出会いたい相手”は、恋人候補でなくなんと、「お年寄り」なのだ。

 そんな一風変わったマッチングサイトの正体は『ONDERGROUNDS(オンダーグランズ)』。若者とお年寄りのコミュニケーションを促進させるために立ち上げられたサービスで、若者はONDERGROUNDSのサイトから自分が話したいと思っているお年寄りを選び、会うためのアポイントメントを取り付けていく。

 そこで見事にマッチングしたら互いが決めた駅で待ち合わせをして、一緒に地下鉄や電車に乗り込み会話をするのだ。初めて会った者同士が隣に座り20分ほどの時間を過ごす。“移動の時間を利用する”というなんともカジュアルに設定された雰囲気の中で、若者は自分が経験したことのない時代の話を尋ね、そしてお年寄りたちはそんな彼らの要望に応えるかのように自身の経験を事細かに話していくのだ。サイト内には登録しているお年寄りたちの顔写真やプロフィールが詳細に書かれているため、マッチングのズレも少ない。

誰もが胸に抱く「知らない誰かと話したい」を、形にした

 このサービスを考え出したのは、オランダに住むジュリアンさんとマノンさん。彼らは若者が知らない人と話す機会が少ないことに気が付き、年齢や生活環境の違いを越えて普段は話すことのない者同士を結びつけるべきだと考えたことが始まりだ。(参照元:A City Made By People

特に今の若者はインターネットの普及によって、孤立しやすい社会の仕組みの中にいると思います。スマートフォンを手にしていたらいつでも友人と繋がることができ、どんなに多くの人に囲まれていても日常で知らない人と会話をすることなんてほとんどないでしょう。でも、想像して欲しいんです。電車やトラム(路面電車)でたまたま隣に座った人の過去をふと覗いてみたいと思うことは誰にでもあるはずなんです。

(引用元:POPUPCITY

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ONDERGROUNDSのユーザーのカリーナさん
Photo by Ondergronds

 知らない者同士が話をする…それを追及した結果、若者とお年寄りが一番正反対であり最も互いが楽しめる組み合わせだと思ったそうだ。そしてこのマッチングは見事にぴったりとはまった。サイトに登録をしているお年寄りの一人、カリーナさんはこう語る。

うちの近所にもたくさんの人が住んでいるけれど、平均年齢はかなり高くて、若者と交流する機会はほとんどないんです。人々は、遅かれ早かれ自分の人生にとってなにが重要か、どんなことに幸せを感じるのか疑問に思うときがあると思います。そんな想いを私たちの世代は経験し、自分なりの答えを出してきました。若者たちも同じように感じる瞬間があると思いますが、その想いを私たち世代は共有できるんです。そういった意味で私たちのような年寄りと出会うチャンスがあることはとても重要なことだと思います。

(引用元:THE PROTOCITY.COM

 お年寄りだけではなく、若者たちも自分たちとは異なる誰かと会うことを常に求めている。そんな両者の需要をうまいこと満たしたのがONDERGROUNDSなのだ。サイト登録料や利用料はなく、もちろんジュリアンさんとマノンさんに収益があるわけでもない。しかしこのマッチングサービスは、若者からもお年寄りからも好評であったため期間を限定して今までに4回も行われた。(参照元:nrc.nl)今ではオランダ国内にとどまらず世界での展開も視野に入れている。

お年寄りの「隣人」になれれば、居住費は「タダ」

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Photo by Humanitas

 このように、どちらかが無理をするのではなくお年寄りと若者の両者の求めているものをうまくマッチングさせる取り組みは他にも行われている。例えば、同じくオランダに月30時間お年寄りと時間を共有することで学生はそこでの居住費がタダになるという老人ホーム、『Humanitas(ヒューマニタス)』がある。

 この施設の目的は、お年寄りたちの近くに「良き隣人」がいることでお年寄りたちの生活を活気づかせること。学生たちに課せられる制約は特になく、一緒に食事をとったり、ただ話をするなどお年寄りの迷惑にならなければ時間の使い方は自由である。学生たちもお年寄りから学ぶことも多く、お年寄りだけではなく学生たちにとってもプラスとなるポジティブな関係が生まれているようだ。誰かが誕生日の際はパーティーが企画され、幅広い年齢層が一緒になることでまた違った盛り上がりを見せている。(参照元:Huffington Post

 またブラジルに580校もの校舎をもつ語学学校『CNA English School』も、Skypeを使って生徒と世界の裏側にいるお年寄りがランゲージパートナーとなる学習サービスを開始した。生徒は自分たちが学びたい言語を母国語とするお年寄りと話すことでスピーキング力がアップし、お年寄りは誰かと話す機会に恵まれる。まさに両者にとって好都合のサービスであろう。

「思いやり」より、「ギブアンドテイク」

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Photo by Humanitas

 周知の事実だが、日本の高齢化は今後ますます進み、2060年には2.5人に1人が65歳以上、4人に1人が75歳以上になると言われている。(参照元:内閣府HP)これは世界的に見ても最も高い数字だ。そんな深刻な状況の中、今社会で推進されていることはお年寄りを尊敬する心を育てたり、お年寄りを大切にすることである。

 だが若者とお年寄りが世代の格差を越え、心地よく暮らしていくためには若者とお年寄りの「ギブアンドテイク」が確立された「マッチング」ではないだろうか。もちろん“思いやり”や“道徳心”も必要な要素の一つではあるが、そんなきれいごとばかりに頼ってはいられない。

 「お年寄りを若者が大切にする」という構図ではなく「お年寄りも若者も得をする」という考え方のほうが、より社会を活気づかせていくはずだ。

 先述した通りオランダではすでに様々な取り組みが行われているが、オランダの高齢化率は18.23パーセントで日本の26.34パーセントに比べると低い。(参照元:GLOBAL NOTE)だがそれにも関わらず、高齢者と若者が上手に付き合える仕組みが次々と生まれている。 

 インターネットの普及によって、今の時代、誰もが簡単に出会いたい人と出会える時代になった。だからこそ、思いやり精神ばかりに頼るのではなく“気づき”と“アイデア”によって、若者とお年寄りのマッチングが成立するサービスが日本にも数多く生まれて欲しい。

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Photo by Humanitas

Text by Asuka Yoshida
ーBe inspired!

 

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ondergronds1 2017-06-01 10.06.45
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