着たい服が着れるのは「特権」。差別だらけのファッション業界に立ち向かう一人の若者。


雑誌やネットでお気に入りのブランドやスタイルをチェックして、休日にショッピングに出かけて服を買う…。そんな光景は日本の若者のありふれた日常のように思えるかもしれない。でも実はそれが「特権」だったと聞いたらあなたは驚くだろうか?

好きな服が着れるという「特権」

 値段的に気に入った服が買えない、というのは規模は違うにせよ誰もが一度は経験しているかもしれない。しかし今回は経済面の話ではない。日本を含む世界のファッション業界が、服のターゲットを限定しすぎているという事実について考えたい。

 サイズ一つをとってみても、大抵のショップは一定以上“細い人”のものしか用意していない。プラスサイズの人や、トランスジェンダーで身長の高い人が女性の服を着たい時はどうすればいいのだろうか?また、健常者だけを考慮して作られた服が市場を埋めているという事実を否定できる人はいないだろう。

 ファッション市場が設定しているスタンダードに当てはまらない人々にとって買い物は一種、「挑戦」と言ってもいいのかもしれない。そういった意味で、好きなように好きな服を着れるのは「特権」なのだ。

 そんな不平等なファッション業界に立ち向かうため、みんなが着れるファッションブランド「REBIRTH GARMENTS」を立ち上げたのが、アメリカ在住のSky Cubacub(スカイ・クバークブ)。

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スカイ・クバークブ
Photo by Matthew Butler

 シカゴ在住のデザイナー兼服職人のスカイ・クバークブは生まれてきた体と心の性別が必ずしも一致しているわけではないジェンダー・クイアである。また、“有色人種”であり、精神障がいを抱えているため、健康な白人異性愛者が“社会の普通”とされているアメリカではいくつにも重なるマイノリティというわけだ。

 そんなスカイ・クバークブだからこそ、生み出せるのがカラフルで奇抜なスタイルのクールな服たち。100%オーダーメイドなためこれまでメインストリームのファッション業界が無視しつづけてきた人々の希望を完璧に具現化できる。

Grace DuVal

Photo by Grace DuVal

みんな違ってみんな美しい。

 スカイ・クバークブの服を実際に購入した人々のリアクションはポジティブなものばかりだという。

 

REBIRTH GARMENTSの服はマイノリティ・コミュニティにポジティブな影響を与えている。服を買った友達はみんな自信と希望が持てたと言ってくれる。クライアントやモデルと一対一で徹底的に話し合い、彼らに合った服を作っているからファッションデザイナーっていう要素は自分の活動の一部にしかすぎなくて、どちらかというと自由に服を選ぶ権利のないマイノリティの人々に必要なものを提供するのが使命って感じる。

 そう話すスカイ・クバークブはRadical Visibility(ラディカル・ビジビリティ:「過激に目に見える」という意)というムーブメントの先駆者である。ラディカル・ビジビリティとは社会が目にしたくないところ(体型、セクシュアリティ、身体障がいなど)にスポットライトを当てるようなイノベーティブなデザインを用いた服。あらゆる理由でマイノリティとされる人々を社会に無理やり溶け込ませるのではなく、胸を張って主張させるのだ。

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Photo by Grace DuVal

 そんなスカイ・クバークブのファッションの裏には揺るぎない信念がある。

 

全ての人が美しいって、心の底から信じている。みんな自分の美しさを認め、他人の美しさを受け入れられるようになればいいだけ。美に多様性があるのは当たり前だって知ればいいだけ。社会に埋め込まれた「美の基準」から意識的に解放される必要があるかもしれないけど。

変わらなければならないファッション業界

 様々な理由でマイノリティとされる人を考慮した服を作るのは、精神的な面で非常に大事だが、同時に地球のためにも必要である。ファストファッションブランドの服は長く着れないし、買うべきではないのだ。

 

ファストファッションは安いし買いたくなるのはわかる。でもそれを続けたら、限界に達して、資源はなくなる。ファッション業界は、石油業界の次に環境に悪いんだ。製造の過程でも多くの人の命が奪われているのにも関わらず、未だに続いているのがおかしいぐらいだよ。

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Photo by Grace DuVal

 環境面、労働環境面そして消費者に差別的だという面でもファッション業界には改革が必要だ。REBIRTH GARMENTSは将来のファッション業界があるべき姿を見せてくれているのかもしれない。あなたがこのブランドの服を買って着るかどうかは個人の自由だが、スカイ・クバークブの言う「全ての人は美しい」という信念から私たちが学べることは多いのではないだろうか。

 
 

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REBIRTH GARMENTS

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All photos by REBIRTH GARMENTS unless otherwise stated.
Interview by Nanao Imazu
Text by Noemi Minami
ーBe inspired!

 

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Photo by @its.matthew.butler
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