ヴィーガンの枠を超えた「壁のない料理」が食べられる新宿の隠れ家コミュニティスペース みせるま| TOKYO GOOD FOOD #003

Text: Jun Hirayama

Cover: JUSTINE WONG

Photography: Jun Hirayama unless otherwise stated.

2017.7.6

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Photo by 撮影者

フェアトレード、ダイレクトトレード、ベジタリアン、ビーガン、ゼロウェイスト、昆虫食、未来食…。東京の街に日々増えていく、お腹をただ満たすだけではない「思想の詰まった飲食店」。

「海外からビーガンの友達が日本に来ていて、ビーガンメニューのあるレストランを知りたい」、「サードウェーブの先を行くコーヒーが飲みたい」、「フードロスがないレストランに行きたい」、「友達や恋人と健康にいい食事をしたい」などなど。そんなニーズに答える連載です。

「食べることはお腹を満たすだけじゃない。思想も一緒にいただきます」。その名も『TOKYO GOOD FOOD』。フーディーなBe inspired!編集部が東京で出会える、社会に、環境に、健康に、あなたに、兎に角「GOODなFOOD」をウィークリーでお届けします!

それでは第3回目の『TOKYO GOOD FOOD』いってみましょう!

WHERE IN TOKYO

第3回目は、2015年にオープンした東新宿にある「みせるま」。“プラントベースド”という聞き慣れないジャンルの食事を提供するコミュニティスペース。

今回は、ピースフルな笑顔が素敵な大山さんにオススメの一品や、お店の名前の由来、“GOODなポイント”などを伺いました。

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WHAT’S GOOD

Be inspired!(以下Bi):お店の一番のオススメの品はなんですか?

日替りブッダボウル(通称プレート)。4−5品の日替りおかずとスープ、酵素玄米か手作りサワドーパンか選べる。1200円(平日昼1000円)です。

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日替りブッダボウル
Photography: みせるま

Bi:オススメの理由はなんですか?

食べる人が何人か、何教か、アレルギーか関係なく、誰もが食べることができるプレートだから。

うちは最近ヴィーガンのお店として知られること多くなったのですが、正直言ってヴィーガンをやろうとおもってヴィーガンをはじめたわけではないのです。今でもあまりヴィーガンといわず「plantbased(プラントベースド、植物性)」っていったりしてます。それって決め付けると偏ってしまいじゃないですか。人もその場のバイブレーションも。(正直ヴィーガンだけではなく、極端な意見を持っている人は「自分以外、自分に所属していない物事」に対する攻撃的な部分があるから苦手です笑)それがやりたいわけじゃない。そうではなく世界中の人々が、宗教、文化、アレルギーなど関係なくみんな同じ釜の飯をたべることができるようと考えた結果として最終的にヴィーガン&グルテンフリーになっちゃったって感じです。

そして、この「同じ釜の飯」がこのプレートです。ワンプレートに主食、おかずを乗せてたべる。その人が何人か、何教か、アレルギーか関係なく同じものをシェアすることができるプレートご飯です。毎日来ても飽きないように、その季節の野菜を使っておかずをつくります。内容は私がどこかの国やお店で食べたものからインスピレーションを浴びてつくった完全フュージョンなので、よく「これはなんていう料理ですか?」と聞かれますが、よくわかりません。笑

最近感度の高いオシャレ女子たち(笑)の流行りにのっとって「ブッダボウル」とか語っちゃってます。

CONCEPT & PHILOSOPHY

Bi:お店のコンセプトや信念を教えてもらえますか?

みせるまは、カフェではなくコミュニティスペースです。お店自体は、静岡県牧之原市出身の仲良し二人組が始めました。

一人(今もいるオーナーの鈴木)が建築士で彼のオフィスと、もう一人がカフェ部門をやるということで始めたのがもともとです。それにフリーでコピーライターの仕事をしていた私がコミュニティディベロップメントをするという形で参加し、店のコンセプトを補強して、それに寄せた店のフレーム部分をつくり今のみせるまになりました。

去年カフェ部門を担っていた方が抜けることになり、以降鈴木克哉のszki architects、私とアニー(猫&店長)のカフェスペースを併せて「みせるま」になりました。私はもともと大学で発展途上国の政治&開発援助について勉強し、ゲリラの山に農村留学をしていた経験もあり、上記のような食事提供に至っています。

「みせるま」とは、1000年前の日本には、どの民家にも「見世の間(みせのま)」という客人をもてなす土間がありました。翻って現代では、デバイス一つでオフィス、カフェ、イベントスペースに随時流動する「流間(るま)」が確立しつつあります。これらを紡ぎ合わせたのが見世流間(みせるま)です。絶えず変化する新しい実験空間で、日々のもてなしをしたいという私たちの思いがこもっています。

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CHANGE SOCIETY

Bi:みせるまを通してどのように人々の意識を変えたいですか?また、社会や地球に貢献していますか?

人々の意識を変えたい!社会に貢献する!なんておこがましいことは考えてやってないのです。

来るお客さんが、このスペースで提供しているもの(フード、ドリンク、時間、イベントなどなど)を通して思い思いの時間を過ごす。そして楽しい気分で帰ってもらえたら嬉しいです。その過程のなかで人々の意識がかわったり、結果として社会に貢献していることにはなっているのかもしれません。しかしあくまでオプションでしかないのです。

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この狭い三角の形のスペースだからこそ、初めましての人同士の会話が自然に始まる(店の常連さんたちは本当にいい人たちが多いのです!)。近所のおばちゃん、サラリーマン、海外からの観光客が仲良く話をして盛り上がることも結構あります。こんなところから地球平和ってはじまるんじゃないかな?くらいに普通のこととしてやっていきたい。先ずは小さな三角から。

最近私は勝手に外のソロ活動を初めてフードロスを無くすみんなで作るゲリラクッキングイベントや、any social goodなイベントでご飯提供したりしてます。

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看板猫のアニー

「世界中の人々が、宗教、文化、アレルギーなど関係なくみんな同じ釜の飯をたべることができるようと考えた結果として最終的にヴィーガン&グルテンフリーになっちゃったって感じです」

そう大山さんが言うように、どんな人でも食べられる“壁のない料理”をみんなで食べたら、「楽しい空間」が生まれ、「平和な時間」が過ぎていくことが簡単に想像できる。

「ヴィーガンとかグルテンフリーとかよくわからない!」って人も、気張らずにフラっといけるコミュニティスペース、みせるま。次の休みの日に行ってみてはどうだろうか。

来週の『TOKYO GOOD FOOD』もお楽しみに!

みせるま

Website|FacebookInstagram

Address:新宿区新宿7−12−1

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大山さんと鈴木さんとアニー

szki architects:http://szkaa.com/

設計事務所としての過去の作品例

http://www.archello.com/en/project/artnshelter

http://www.archdaily.com/office/szki-architects

大山プロフィール:https://blog.earthommunity.com/profile/

※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

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