「昆虫を食べることで多様な食文化に触れて欲しい」。昆虫・珍肉が食べられる高田馬場の獣肉酒家 米とサーカス|TOKYO GOOD FOOD #006

Text: Jun Hirayama

Cover: JUSTINE WONG

Photography: Jun Hirayama unless otherwise stated.

2017.8.3

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フェアトレード、ダイレクトトレード、ベジタリアン、ビーガン、ゼロウェイスト、昆虫食、未来食…。東京の街に日々増えていく、お腹をただ満たすだけではない「思想の詰まった飲食店」。

「海外からビーガンの友達が日本に来ていて、ビーガンメニューのあるレストランを知りたい」、「サードウェーブの先を行くコーヒーが飲みたい」、「フードロスがないレストランに行きたい」、「友達や恋人と健康にいい食事をしたい」などなど。そんなニーズに答える連載です。

「食べることはお腹を満たすだけじゃない。思想も一緒にいただきます」。その名も『TOKYO GOOD FOOD』。フーディーなBe inspired!編集部が東京で出会える、社会に、環境に、健康に、あなたに、兎に角「GOODなFOOD」をウィークリーでお届けします!

それでは第6回目の『TOKYO GOOD FOOD』行ってみましょう!

WHERE IN TOKYO

第6回目は、お馴染みになってきたカナダ人イラストレーターJustine Wongによるトップイラストにも描かれている“虫”が食べられる高田馬場のディープな横丁エリアに佇む「獣肉酒家 米とサーカス」。「虫は嫌いだから」とこの記事を読むのをやめないでくださいね。(笑)

昆虫だけでなく、ジビエとも呼ばれるシカ、イノシシ、アナグマのお肉から、ワニ、ラクダ、カンガルー、トド、ヤモリなどの珍しいお肉まで食べられる居酒屋です。

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鹿肉のステーキ

“害虫”や“害獣”という「いかにも存在しないほうがいい生き物」と一般的に認識されている存在の概念を変えたい。そんな大きなビジョンを持って運営されている「米とサーカス」PRの宮下 慧さんにオススメの一品や、お店のコンセプト、そして“GOODなポイント”などを伺いました。

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WHAT’S GOOD

ーお店で一番オススメの一品はなんですか?

「6種の昆虫食べ比べセット」です。(写真は5種)

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コガネムシ、ゲンゴロウ、ハチノコ、カイコ、イナゴ

ーその理由はなんですか?

2050年には世界人口90億人を超え、食糧が不足すると予測される中で、新しい食糧の可能性として昆虫食に注目しているからです。

現在、世界中の約20億人が1,900種以上の昆虫を食べており「虫を食べるなんて、気持ち悪い」と言われる方々は当然多いと思いますが、この感覚は共通では無いのです。

そこで、まずは私たちが害虫ないし害獣として扱われる生き物をおいしく調理して提供することで、これらを有益な食料=命として多くの皆様に、そして次世代に伝えていくことができるのでは、と考えています。

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CONCEPT & PHILOSOPHY

ーお店のコンセプトや信念を教えてもらえますか?

お店のコンセプトは「“美味しいは楽しい” × “楽しいは美味しい”」です。国や地域ごとの食のルーツや宗教上のルールなど、様々な価値観を受け入れ、先入観を捨てて「多様な食文化」に触れてもらうことを目指しています。

先人たちから伝わった「命をいただく行為」を神聖なものとして捉え、感謝と共に飲食店として次世代のお客様に「美味しい」と「楽しい」をつなげる世界観を作っていきたいです。

ーお店のオープンの経緯は何ですか?

弊社代表 宮下正徳が、友人の母の飲食店でたまたま鹿肉を食べ、美味しさに驚いた事から始まります。

ちょうど害獣問題が社会的に問題視されだした頃でもあり、フレンチのジビエのような高級料理としてではなく、日本各地で昔から食べられてきたようなシンプルな料理として、誰もが食べられるような安価で鹿肉を広めたいと思い、2011年に米とサーカスを立ち上げました。

ー店名「米とサーカス」に込められた意味は何ですか?

「米とサーカス」という店名は、愚民政策を批判する言葉として知られる「パンとサーカス」から引用しています。

本来は、権力者から与えられる「パン(=食糧)」と「サーカス(=娯楽)」によって、市民が政治的盲目に置かれていることを指摘した、マイナスの意味の言葉です。が、私たちは一大衆として食事も娯楽もどっちも欲しがるよね!だからどちらも提供しよう!と逆説的に、ちょっぴり皮肉もこめて名付けました。

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ヤモリの姿揚げ

CHANGE SOCIETY

ー米とサーカスを通してどのように人々の意識を変えたいですか?また、社会や地球に貢献していますか?

人類の歴史を大きく振り返ると、狩猟から農耕に移行したことで人々は定住するようになり、食糧を奪われることに対しての害虫・害獣という価値観が形成されたといえるでしょう。

現在の地球の飢餓人口は約8億人と言われ、今後の人口増加に伴いこのままではこの数字はさらに増えると予想されています。

これはもちろん世界の命題ですが、今私たちが出来る事をミクロな視点で考えています。“害虫・害獣”として殺され、捨てられてしまう生き物を食べることで、現代人が忘れがちな「命を頂く」という行為を見つめ直してもらうこと。また、今でもアジアやアフリカ、南米の諸国で食べられている昆虫を食べることで、「多様な食文化」の存在を知るキッカケを作りたいですね。

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宗教的要素、菜食主義者、多種多様な価値観を受け入れ、先入観を捨て「多様な食文化」に触れて欲しいと考えてます。

そう宮下さんが言うように、まずは恐れずに昆虫を食べてみてほしい。筆者も取材時に6種類の虫を頂いたが、さばかれていないそのままの姿の昆虫を噛み締めた時、「命を頂く感覚」を久しぶりに感じることができた。

普段「食べよう」とは思わない昆虫や珍しい肉が食べられる「米とサーカス」に次の休みの日や、近くに行った際に行ってみてはどうだろうか。今まで味わったことのない食体験があなたを待っている。

来週の『TOKYO GOOD FOOD』もお楽しみに!

米とサーカス

WebsiteFacebookInstagram

Address:〒169-0075 東京都新宿区高田馬場2-19-8

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※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

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