「差別」の上手な“受け入れ方”

2016.10.10

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海外で、日本人はどのように思われているのだろうか。人の考えは様々だ。日本に対してプラスのイメージを持つ人もいればマイナスのイメージを持つ人もいる。そのイメージに、ときには傷つくこともあるだろう。しかし、「井の中の蛙」になってはならない。その全てを知っておく必要があるのではないだろうか。

中止の原因は、「日本軽視」

私たち日本人の中でも知らない人は多いだろう。この度、アメリカ『ボストン美術館』で行われた和装イベントが「日本人差別」であるとして中止になったのだ。この問題のイベントとは、フランスの画家、モネの作品『ラ・ジャポネーズ』の前で和服を羽織り、写真を撮ることができる体験型のイベント。しかしこれが「アジア文化に対する誤解を生む」、「着物の起源や歴史を無視したイベントだ。これはアジア人に対する侮辱である」として批判を浴びる結果になってしまった。そもそもこのモネの作品が発表されたのは、日本がアメリカから開国を迫られている真っ只中。そのため、この作品は「欧米諸国の植民地政策を表しているものである」という人もいる。そんな時代を表したこの作品で、着物を着て楽しそうに写真を撮ることは差別や欧米諸国の植民地政策に賛同していると考える人がいてもおかしくないのだ。ただ不思議なのは、このイベントは日本の世田谷美術館や名古屋ボストン美術館でも開催され、その時は一切抗議は出なかった。そして、アメリカで起きたこの出来事のことも日本ではほとんど報道されなかった。

あなたの知らない「日本人差別」

この出来事以外にも実は私たちが知らない差別は多々存在しているようだ。例えば、アメリカ大統領選挙に立候補しているトランプ氏のSNS。彼は、敵候補であるヒラリー氏を野次るために、日本の国旗を利用したという。また、今年行われたアカデミー賞の授賞式でも、同様の差別が起こった。式に登場したスーツ姿の日系米国人の子どもらに対し司会者が、「働きすぎ」と皮肉を含めたジョークを言ったのだ。そしてこの出来事は、「アジア人を笑いものにしている」とアメリカ中から批判を浴びた。日本ではこの時期、「アカデミー賞に白人ばかりがノミネートされている」という報道は耳にしたことがある人も多いだろう。しかし、私たちに関係する差別があったという事実を知っている人はどれほどいるだろうか。

あなた自身が「どう思うか」

日本は、自国のことに対して批判や抗議をすることは得意だが、他国のことに関して批判や抗議をすることは苦手ではないだろうか。例えば、最近国内で最も注目をされた批判は「東京五輪のエンブレムがパクリではないか」という問題であろう。デザインした側は否定していたものの、最終的には、違うものに差し替えられることとなった。しかし、私たちがもっと抗議しなければならない問題は多々あるはずだ。マスコミが流す情報ばかりを鵜呑みにし、大衆が批判することに便乗をするばかりではなく、得た情報を基に自分で調べ、考え、自分なりの考えを持つことも必要ではないだろうか。その上で、間違っていると思うことに対しては「批判をする」という選択肢も持たなければならないだろう。でなければ、いつまでも自分の力で批判をすることはできない。

私たちは「差別される」

テレビやインターネットなどを通じて、私たちのもとには毎日多くの情報が入ってくる。しかし、それを見るだけではなく、自分で「何が正しいか」を疑い、調べなければこういった差別があったという状況を私たちは知る由もない。日本人は海外で活躍しにくいと言われることが多いが、その一つにこの「差別」への免疫がないことも挙げられるのではないだろうか。実際、日本人に対する差別に対しても、差別と捉える人もいるし捉えない人もいる。相手は悪気がなくジョークとして言っている場合も多く、すべてを真に受ける必要もないのかもしれない。しかし、たとえジョークで言われたとしても、そこでショックを受けるのか、笑いとばすのか、それともそれは差別であるときちんと批判するのか、心構えをしておく必要がある。すべてを「差別」であると声を高々に上げる必要はないかもしれないが、自分で情報を得て、「日本人が差別されることもある」という事実を知ることは大事だ。そうでなければ、海外に出たときそのギャップに潰されてしまうだろう。

via.THE HUFFINGTON POST, Buzz Plus News, Record China, 会話アップ!, cakes, livedoor NEWS

※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

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