「貨幣」の価値を否定し、旅を続ける男。


(Photo by MisterSven)

(Photo by MisterSven)


“物々交換”と聞いて何を思い浮かべるだろうか?
 
まだ貨幣経済でなかった時代の「必要なもの」を得る手段だと思う人が多いのではないだろうか。
 
そんな物々交換のプロジェクトを行ないながら各地を旅してまわった男がいた。


 

 

「物々交換」で交換される価値観

“物々交換”ってどうやったらできるものなのか?
 
アーティスト・柚木恵介氏の物々交換の場合は自分が持っている「物」を相手の「物」と交換し、交換してくれた人の記念のポラロイド写真を撮るという、いたってわかりやすい仕組みだ。
 
もちろん、その「物」の持っているストーリーを聞くこともできる。
 
彼は手作りの屋台を引いて物々交換をしながら旅を続けてきた。
 
彼が「物」と引き換えに得るものは、新しい「物」だけではなく出会った人と交わす予測不可能なコミュニケーション。
 
このコミュニケーションでは、新しい「価値観」に触れられるという。
 
それは、持っていた人が語る「物」に対するストーリーや、その人に起こった出来事についてなどさまざまな会話から感じ取れるものなのだ。

 
 
“貨幣を一切介さない”コミュニケーション

「貨幣」の物差しから離れ、コミュニケーションのなかから新しい価値を浮かび上がらせる本プロジェクト。
 
始めたのは、出会うことも話すきっかけのなかった人とコミュニケーションをとる手段としてだった。
 
2009年に始めてから7年間で、彼は数えきれないくらいの人々と交流してきているのだ。
 
これには一切の貨幣の交換が絡んでいない。
 
また、「物」も単なるコミュニケーションのきっかけにすぎず、彼の所有物になることはない。
 
そんな物々交換プロジェクトは、金銭の仲介がなくても人とつながることができることを証明してくれる。
 
近ごろ耳にする、“友達をレンタルする”システムは「金銭を払ってコミュニケーションをとってもらう」ものだが、同プロジェクトはそれとはまったく正反対なのだ。

 
 
インターネットでは調べられない「本当のストーリー」

「物々交換プロジェクト」は多くの人々との交流で成り立っている。
 
そのなかで聞いてきたストーリーとはどのようなものなのか?
 
それが知りたければ、直接柚木氏のところで直に話を聞くか、アートイベントに展示されている彼が撮ったポラロイド写真から想像するしかない。
 
彼のブログを見ても、個々のストーリーについては書かれていないのだ。
 
インターネットを使えば多くのことはわかってしまう時代だが、そんな時代だからこそ、彼そして彼と関わった人にしか知り得ないエピソードの価値は高いものになる。
 
たわいのないことかもしれないが、そこでしか聞けない話だから。

 
 
「人との交流」でしか味わえない「温かさ」

<タイでの物々交換プロジェクトの様子>

 

柚木氏のブログによると、「自ら人に関わりに行くこと」を信念に物々交換の活動している。
 
そこにはまた、「知らない人と話すなんて一番嫌なことだったのに、いつしか自分自身が変わろうとしている」と書き綴られている。
 
何百人、何千人と会話している人だからコミュニケーションが元から得意な人だと考えるかもしれないが、そうとも限らないのだ。
 
人と話すのが好きそうでも、実際のところはそうではない人もまわりにいないだろうか?
 
コミュニケーションが苦手でも、お金では買えない「人との交流」ができているのなら、それを大切にしていって欲しい。
 

現在開催中の茨城県北芸術祭では、柚木氏が「物々交換プロジェクト」の一環として約2ヶ月県北の市町をめぐり、そこで関わった436人のストーリーを記録してきたものを見ることができる。
 
詳しくはこちら

 
via. KOMOGOMO展のブログ, 茨城県北芸術祭情報サイト#KENPOKU, butsubutsukoukan, ゆのきけいすけびじゅつじゅんびしつ
 

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