「細くて可愛い女の子」しか出さない広告の時代の終焉

Text: Noemi Minami

Photography: Chloe Sheppard

2017.2.2

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若干20歳にして、イギリスのDAZEDi-D、そしてナイロンジャパンで引っ張りだこの若手フォトグラファー、クロエ・シェパード

パステルにドリーミーでどこかノスタルジックな彼女の写真たちは若者の心情を良く捉えている。そんな彼女の作品に一貫するテーマは「コンプレックス」だそうだ。思春期の間ずっと自身が持てなかったクロエは「なりたい自分」の世界観をモデルと写真の表現で具現化している。

今回、そんなクロエがクリエイティブな若者の間で人気の自費制作の小冊子、ZINEを製作。その名も『Lust For Life(人生への欲望)』。スコットランドのドラッグに溺れる若者のカルチャーを描いたカルト映画『トレインスポッティング』の中で使われるイギー・ポップの曲と同題なのはあえてか、偶然か。といっても『トレインスポッティング』が公開された年はクロエが生まれる前年。彼女こそデジタルネイティブ、まさに今の若者ということだ。

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さて、その『Lust For Life』は英国の日刊タブロイド紙The Sunが45年間連載した『ページ3』という、女性のセクシーな写真をあげるコラムにインスピレーションを受けたそうだ。

女性を性の対象としてか捉えない『ページ3』は人権団体やフェミニストから批判を受け、「No More Page 3(『ページ3』をやめて!)」というキャンペーンで217,000個の署名が集まり、2015年1月に静かに廃止となった。まさに『ページ3』が象徴する社会の中の「完璧な女性たち」こそ、クロエを苦しめてきた。

だからこそ、『ページ3』に対して皮肉にも同じような構成で、様々な人種や体型の女の子の自然体の美しさを捉えたのが『Lust For Life』なのである。

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デジタルネイティブを代表するクロエは、やはりソーシャルネットワークをポジティブに捉えている。

ソーシャル・メディアはパワフルな道具。みんなが教育の場として使い、今までテレビとか広告の中で見てきた女性像以外にも色々な「美」があることを教えてくれる。いまだにそういう「理想の女性像」が存在するのは女の子にっとってはうざいの。(引用元:DAZED

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SNSは、その中毒性やプライバシーの観点から批判の声もあげられる。しかし、従来の広告やエンターテイメント業界と違い、「売る」ために選択されたイメージ以外にも個人が自由にアップロードできる。そのためクロエが言うように、本当に様々なイメージを見ることができる。そしてアーティスト同士も簡単に繋がることができるのがSNSの利点。これからは、クロエのようなデジタルネイティブ世代のアーティストがこれまでとは全く違う感覚と手法を持ち合わせてどんどん活躍していくだろう。

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※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

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