年間セックス率「最下位」の日本が、5歳から性教育が始まる国デンマークから学ぶこと

2017.2.13

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かなり乱暴な言い方になるが、日本人にとって「セックス」とは何であろうか?子供をつくるための手段?それとも欲を満たすための行為?みなさんは、セックスがコミュニケーションツールの一つであるという認識はあるだろうか?

最近ヤッてないカップルに贈る、「セックス推進キャンペーン」

「旅先でセックスしよう!」こんな大胆なテーマを掲げキャンペーンを行っているのは、デンマークの旅行会社『SPIES』だ。実はデンマークは日本と同じで、少子化が近年社会問題となっている。ならばその少子化を少しでも「食い止めましょう!」と、旅先でセックスをして子どもを作ることを促進する名目の“社会的”キャンペーンが同社によるものだ。

旅先でセックスをして子どもができたらベビー用品を3年分プレゼント、さらに、早く孫の顏が見たい母親たちが息子や娘のためにツアーを予約すると約18000円割引になるという。『SPIES』によると、旅先では男性も女性もロマンティックな気分になることが多く、普段の生活よりも51%もセックスをしやすい環境になるという。

ならばこのチャンスは生かすべきであると、キャンペーンを大々的に打ち出して、旅先のセックスを助長する動画まで作成した。少子化を食い止める…という表向き体裁はあるものの、明らかにセックスに焦点が当てられた動画である。しかしデンマーク国民から批判が殺到したというニュースはない。

※動画が見られない方はこちら

5歳から学ぶ「セックスについて」

それもそのはず。デンマークでは国営テレビでも「セックス」という言葉が何度も発せられているほどで、この国では性を隠すものだとは捉えていない。デンマークの性教育はなんと5歳から始まるそうで、男の子も女の子も自分の身体について知り、セックスを楽しむための知識を家庭で教えるのだという。(参考元:J・SPA!

デンマークは性教育の先進国だ。1967年に世界で初めてポルノを解禁し、その3年後から学校での性教育が義務教育課程に導入された。そして現在では、今の性教育にプラスしてポルノを授業に取り入れることを検討中だという。ポルノ…要するにAVについて学校で教育するなんてあまりにも非常識なように思うが、ここにはきちんとした理由がある。まずポルノ上で行われていることと現実的なセックスの違いをきちんと教育すべきであるということだ。ポルノにはない現実のセックスの喜びを探求できるよう、大人が導いてあげるべきだと考えている。

また、少年は99%。少女の86%が16歳までにポルノを見たことがあるいう調査記録があり、10代のうちからセックスについて議論することも重要であるとされている。性生活において賢明な決断を下せるようになるためには、性に目覚めた瞬間からそれについて教える人が必要なのだ。(参照元:RT

年間セックス回数、「最下位」の日本

それに対し、日本ではセックスはまだまだ「秘密にするもの」という意識が強いのかもしれない。初めて「性」について習う学校の授業でも、何だか重々しい雰囲気で保健の先生が明らかに「秘密のこと」というていで話を進める。男女が別々で授業を受けることも多く、とにかく気まずくて目を逸らしたくなってしまう生徒も多いだろう。

しかしデンマークではそんな日本の雰囲気とは真逆だ。性について学ぶとき、男女が別々になって授業を受けることなんてほとんどなく、むしろかなり突っ込んだ話も展開される。例え男性の自慰行為に話題が及んでも、笑いが起こるなど決して気まずい雰囲気はないようだ。(参照元:NEWYORKTIMES)

そのデンマークとは違う雰囲気が今の日本の性に対す閉鎖的な雰囲気を作り出しているのか、日本の年間性交率は1年に48回と世界26ヵ国中、最下位。(参照元:womanexite)また、25歳から29歳の未婚男性のうち25%が性交渉の経験なし。女性も29.3%と、4人に一人は性交渉未経験であることが明らかにされている(参照元:国立社会保障・人口問題研究所

人間との「セックス」の良さとは?

本来のセックスの楽しさや喜びを我々は知らないまま大人になってしまったらどうなってしまうのであろうか。AVで見るセックスが正しいセックスと理解してしまうのか、それとも今話題の「セックスロボット」さえあれば事足りる世の中になってしまうのであろうか。VRが台頭し2050年までにはセックスロボットとのセックスが、人間とのセックスよりも上回るというデータもある。(参照元:Bondara

日本では「セックス=下ネタ」のような印象があり、コミュニケーションツールであるとは今だ認識されていないように思う。(参照元:QREATORS)そんな日本では、この話が遠い未来のことであるようには思えない

しかしセックスは男女のコミュニケーションの一つである。テキサス大学の研究によると、セックスの動機は一般的に認識されている「子供を作るため」「性欲を満たすため」を含め、237つも特定される。このテーマについて研究しているトロント大学のミューズ博士は「私が前向きな目的でセックスをしていると、私の性欲や満足度は増加する。パートナーもおそらくそれを察知し、それが2人の関係にもプラスの効果をもたらす。私たちの満足感が2人の良好な関係につながるのだ」と述べる。(引用:THE WALL STREET JOURNAL)つまり「相手を喜ばせたい」や「距離を縮めたいから」などのポジティブなセックスはお互いの欲を満たす以上に人間関係にもプラスに影響するのだ(参照元:THE WALL STREET JOURNAL

私たち日本人も性に対してタブーなイメージをもつよりも、きちんとしたコミュニケーションの一つであるという認識をもっと高めたほうがいいのかもしれない。さもなければ、「人間がいなくてもセックスができる社会」がいつの日か訪れてしまうだろう。

※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

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