「ファスト・ファッション」という病気


(Photo by Marco)

(Photo by Marco)

「気温20℃超え」がすっかり当たり前となるくらい、暖かくなった東京。
 
街には重いコートを脱ぎ捨てて軽やかな春服を楽しむ人が溢れ、ショーウィンドーは鮮やかなパステルカラーの洋服で彩られる季節となりましたが、そんな楽しいショッピングの際によく見かける「洋服のタグや値札」
 
あなたは気に留めたことがありますか?
 
「MADE IN CHINA」「Tシャツ ¥1,999」「2枚で半額」
 
洋服店に溢れるこれらの表示には、実は「あなたが知りえない“ストーリー”」が隠されているのです。
 
 
たった1枚のTシャツに隠された“ストーリー”

マイアミで購入した1枚たった$6のTシャツ。
 
そのTシャツが「一体どこでどのように作られて、自分が今それを手にしているのか」
 
ジョージタウン大学教授のリボリ氏が、1枚のTシャツに隠された真実に迫った『あなたのTシャツはどこから来たのか?』という本の中では、「MADE IN CHINA」とタグ付けされたTシャツが、夜明けから日没まで課される女性たちの重労働の元で生み出されている事実を明らかにしています。
 
ただ問題なのは、「そのTシャツが劣悪な労働環境で働く人によって作られている」ということだけではないのです。
 
我々が「MADE IN CHINA」とタグ付けされた商品を手にした際に本当に知るべきこと。
 
それは「その商品は中国の人だけではなく、世界のあらゆる途上国の人たちの犠牲の元に作られている」という事実なのです。
 
 
タグは全てを語らない

(Photo by Kristina Wilde)

(Photo by Kristina Wilde)

リボリ氏によると、Tシャツに記載されている「MADE IN ◯◯」という国名は“その製品が縫製された場所のみ”が表記されるそうなのです。
 
つまり、そのTシャツがインドで染色され、カンボジアでプリントされようとも、縫製された場所が中国であれば「MADE IN CHINA」と記載されるだけなのです。
 
 
その1枚に、何人の“人生”が巻き込まれているのか?

(Photo by David Barnas)

(Photo by David Barnas)

そのような事実を知って考えるべきこと。
 
それは、「その1枚のTシャツを作るために、一体何人の貧困に喘ぐ人々の人生が関わっているのだろう?」ということではないでしょうか?
 
先日、フェアトレードに関する意識啓発を促すカナダの非営利団体「Canadian Fair Trade Network」がこのような広告を制作しました。“The label doesn’t tell the whole story.(ラベルでは全ての物語を語りつくせません。)”というメッセージが加えられたこの広告には、本来「MADE IN ◯◯」と簡潔に表記されるタグ部分に「カンボジアの9歳の少年がその商品を作るために強いられる過酷な生活」を詳細に記載しています。
 
この広告は、洋服に何気なくついているタグに隠された「様々な人々の人生の痛み」を訴えているのです。
 
 
縫製工場よりも“売春”が良い

(Photo by ken fager)

(Photo by ken fager)

このように世界各国を経由して、様々な人の手をかけて製造される、Tシャツ。
 
そのTシャツが、「1枚たった¥1,999」や「2枚で半額」で手にする事ができる状況は、異常であると思いませんか?
 
我々がそのような破格の値段で洋服を手にできる代償に、カンボジアでは「縫製工場よりも“売春”の方が良い」と考える女性が後を絶たないそうです。
 
こちらの記事によると、カンボジアでは「お金のない親に売りに出された少女が、ほとんど賃金も与えられず、半ば監禁状態で性労働を強制させられている現実」があるそうです。
 
しかし、そのような女性たちを国が保護し新たな“健全な仕事”として縫製工場での労働を与えると、彼女達の生活は「売春をしていた時よりも、一層貧しい生活」になってしまうそうなのです。
 
 
グロバリゼーションの落とし穴

(Photo by NYU Stern BHR)

(Photo by NYU Stern BHR)

グローバリゼーションによって、世界はより近くより密接に連携するようになった一方で、ヒト・カネ・モノの全てが国を超えて移動した結果、「富める国はより富み、貧しい国はより貧しくなる」という構図を作ってしまったように思います。
 
そしてその状況を端的に示すのが、このファストファッション産業における“搾取”です。
 
「ファストファッションによって巨万の富を生む先進国の大企業」と「服をいくら作っても、生活は苦しくなる一方の途上国労働者」
 
この“世界規模での弱いものイジメ”の構図は、グロバリゼーションの一つの落とし穴なのかもしれません。
 
 
「ファスト・ファッション」という病気

(Photo by thinkretail)

(Photo by thinkretail)

“狂った安さ”を売りにしたファストファッション産業に加担しないために、我々は洋服の製造過程を正しく理解し、その上で“適切な対価”を支払うべきではないでしょうか?
 
現在ニューヨークには、「ジーンズの医者」と呼ばれる、一つのジーンズを長くはき続けるためにあらゆる技術を施してくれる“職人”がいるそうですが、これは「一つの洋服ができあがるまでにあらゆる人々の手がかかっている」という事実を考えたら、当たり前の行為なのかもしれません。
 
私たちが「安い安い〜!」と群がる1枚のTシャツ。
 
その“たった1枚のTシャツ”に、様々な国のあらゆる人々の人生が関わっていることを知った以上、もうあなたは、簡単に洋服を捨てることはできないはずです。

安くて手軽に見えるファストファッションが、環境や人に対して払っている本当の代償とは何か。
 
まずは、ファストファッションの真実を知ること。
 
そして、自分なりに考えてみること。
 
そこからファッションをとりまく問題の解決の一歩は始まります。
 
 

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27 Responses

  1. Raninder より:

    Superb inimooatfrn here, ol’e chap; keep burning the midnight oil.

  2. 匿名 より:

    このような現実を知ってもファストファッションを利用してしまいます。私は学生なのでお金がないし、かわいいデザインのものを低価格で手に入れられるからです。世界の仕組みの問題なのでここで、私が買わなかったところで何も変わらないとも思います。わたしの気持ちの問題ですが。

  3. mottainai より:

    企業の問題というご意見もあるようですが、企業からすると「売れるから売る」のではないでしょうか。だとしたら「安くても買わない」という選択もすべきでは?
    食品に例えると、添加物だらけの安い食品ではなく、高くても無添加の食品を多くの消費者が買うようになれば、企業も売れない添加物だらけの食品は生産しなくなるでしょう。
    企業だけ、消費者だけの問題ではないと思います。

  4. 匿名 より:

    ファストファッションの大手だと、H&MやZARAでしょうか?彼らが作ったアイテムは必ずしもチャイナではなくて、第3国と呼ばれるカンボジア、バングラ、ミャンマー等で、1アイテムのオーダーが何万という単位ですね。そういうオーダーが入る工場って整備もしっかりしてるし、まあレベルに関しては普通でしょう。大手のファストファッション企業が生産入れる工場は、その企業が設けている品質基準や工場自体の基準があり、劣悪な環境でもないと思います。ただ、搾取というと、そうかもしれないですね。給料自体は上がってると聞きますが、まだ安い工賃と人件費だと思います。
    日本のメーカーの方が小ロットで短納期で品質にうるさい上に安く作ろうとするので、嫌われてる場合も多いですよ。
    一品番でも1000枚とかザラですからね。
    まとまって作れるのは日本だとユニクロくらいだと思います。
    ファストファッションが服の価値を落としたのは、あるかもしれないですが、日本のブランドがそれに勝てずに価値を生み出せず結局同調して、ズルズルと値段を下げちゃったのが、問題だとも思いますよ。

  5. Smll より:

    グローバルで最適化を求める場合、労働集約産業はコスト競争力のある土地で生産するのは当然のことです。企業は利益を最大化することが目的ですので、安いことを市場が求める以上、そうせざるを得ません。記事で同情してる国も、市場開放して安い労働力をうりにして、縫製工程という商圏を先進国から奪って、結果潤っているわけですよ。先進国の消費者に対し、高く買え、と自制を求めることは非常に難しいです。それならば各国が労働条件改善に本腰を入れるよう、働きかけるべきだと思います。

  6. 匿名 より:

    例えアメリカ製でも、工場で作業してるのはアメリカ人とは限らない。
    同じように、日本製でも日本人が作っているとは限らないのは、外国労働者の多い自動車産業を考えれば明らか。
    ○○製の表記は、もはや誇大広告ですね。

  7. rei より:

    フェアトレード自体には賛成だが
    取り扱われている商品が粗悪な物も非常に多い。中国産のやすいシャツの問題に触れているが 中国産のシャツに1900円出したい人がいますか?縫製は素人レベル。生地は粗悪
    薬品の匂いがひどい服も多い。
    どこがフェアなのか理解出来ない。
    まともな品質なら 見合った価格をつけても人は買います。
    いずれにせよ 良い品を大切に長く使う習慣は身に付けたいですね

  8. 匿名 より:

    久しぶりにこんなバカで腹のたつ記事をみました。
    現場も知らない低能な記者はこういう記事しか書けない。
    この記者様は普段何を着て生活していらっしゃるんでしょうね?
    生産に関わる国の労働者の方々の情を訴えるなら、消費者じゃなくて生産企業に訴えるべきだろ

  9. 匿名 より:

    たまに、【安く買った自慢】をしてる人が要るが全く自慢になってない件。

  10. 匿名 より:

    消費者は、品質と値段が、あっているか、で決める。それ以上でも以下でもない。

  11. 匿名 より:

    職場の絶対数が労働者の数よりも少ないから、雇用者にとって有利な過酷な労働条件が成立する。仕事量が多くなって、労働者が足りなければ、工場は労働者の獲得合合戦になるため、条件を改善せざるを得ない。途上国の労働者を助けたければ、今よりもたくさん仕事を発注するべきだから、この記事は根本的に間違っている。

  12. 匿名 より:

    敢えてファストファッションにこだわっている時点で記事に意図的なものを感じます。
    高価な洋服でも同じことと同じ資本原理が適用されるのではないでしょうか?
    ファストファッションと言っても本来の意味は製造までのサイクルがファストなのであって、消費サイクルがファストだとは誰も言ってないと思いますよ。要は何でも大切に着ようってことですね。

  13. 匿名 より:

    ファストファッションではなく、高く売られている物を買えば、作り手たちの貧困は解消されるのか?結局同じこと。彼らのところにはお金はまわらない。消費者が物を大事にすればするほど途上国の貧困は進む。よって、消費者の問題と言うより、社会構造と人の心が貧しいことの問題。ここに(物を大事にする)エコロジーを絡めると、論点はさらに複雑化する。

  14. 匿名 より:

    よくよく考えねばなりません。

  15. みか より:

    今意識改革を起こし、未来の子供の仕事や教育を守るために、現在貧しく働いている少年少女を見殺しにするくらいしか、一消費者には選択肢がないので、企業名でも出してください!

  16. 匿名 より:

    感謝して着用しましょう。という事ですよね、納得できます。作るのにかかる手間や面倒な作業のこと解る仕事をしています。こんなに破格で売ってもらえるなんて有り難いといつも思います。

  17. 匿名 より:

    私は陶器を作っています。同様のことが言えます。
    ニトリやイケヤがまさにそれです。グローバリゼーションで本当の価格がわからなくなっています。中国の陶器工場に行きましたが、そこでは貧困に苦しむ人々が月給2000円ぐらいで日本のホームセンターなどに並ぶ食器を作っています。氷点下に気候の中、窓もなく暖房もない工場で作っていました。
    ものづくりニッポンと言いますが、世界的な貧困イジメによる価格破壊で、日本の職人の仕事はどんどん減っています。そしてその技術を腐らせています。
    本当は、食器はニトリなどで売られているような値段ではつくることはできません。
    そのことを知らない人がほとんどです。流通を考えると、800円で売られているものの原価は、100円ぐらいです。
    とてもじゃないけど、国内では作ることができません。
    消費する国の人が、自国で作って自国で売るようにならないとこの先とんでもないことになりそうです。
    もう後戻りできないかもしれませんが…

  18. yuki より:

    簡単な労働よりも売春の方が稼ぎがいいというのは、人類史始まって以来変わっていません。

  19. 匿名 より:

    なに?じゃあ高い服を買えと?
    ペラペラで数万円の服なんてたくさんあるが反感買う記事だな

  20. 匿名 より:

    1枚1万円のTシャツより遥かに良い。

  21. 匿名 より:

    これは、【消費する側】の意識が変わる必要が有ると思います。

    バン②金稼いで、バン②使うのがやっぱ良いと思います。

    色んな業種にの方々にも、当てはまると思います。

  22. 名無し より:

    消費者に事実を知らせるのは大切ですが、この問題を解決するのは企業側の仕事です。
    企業を名指し批判した記事を投稿する方が効果がでるのでは?

  23. 匿名 より:

    安いTシャツを買わなければ、カンボジアの9歳の男の子の収入はどうなるのでしょう?1990円のTシャツを売るのに、アパレル会社はもっと高い仕入れ価格で買ったらダメなんですか?
    消費者に押し付ける話ではないと思います。

  24. 匿名 より:

    すぐボロくなるから捨てるっしょ

  25. Masa より:

    ハイファッションなどはどこで製造されてるんでしょうか?やはり原価とかもファストファッションとことなるのでしょうか?
    またスポーツブランドについても同様にお教えください。

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