#12「安い=非倫理的」というファッション業界のイメージを変えるためにブランドを立ち上げた二人の大学生|Bi編集部セレクト『GOOD WARDROBE』


「服をただ着るのではなく、マニフェスト(宣言)として着よう」。そんなモットーを持つBe inspired!の編集部がセレクトしたブランドの詰まった「人や環境、社会に優しく主張のあるWARDROBE(衣装箪笥)」を作り上げる連載、『GOOD WARDROBE』。

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今回紹介するのはNYを拠点とする親友の二人組、Clementine(クレモンティーヌ)と Kai(カイ) が立ち上げたアップサイクルファッションブランド、「Not From Concentrate(ノット・フロム・コンセントレート)」。同ブランドは古着をすべて手作業でアップサイクルし、エキセントリックな洋服に生まれ変わらせ、お手頃なファストファッション価格で販売している。

新品を調達しなければならないジッパーやファー、アップリケはすべてPOC(ピーポー・オブ・カラー=非白人)の女性が経営するビジネスから仕入れ、ブランド運営以外にも二人はニューヨークに位置するライカーズ刑務所でファッションのワークショップを行なっている。

ファッション業界が抱えるあらゆる問題に、文字通りDIYで挑戦するNot From Concentrateについて、今回二人の創業者のうちの一人、クレモンティーヌが答えてくれた。

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ブランドのルックのために撮影中のクレモンティーヌ(左)とカイ(右)

ーまずはじめに、ブランド名の由来を教えてくれる?

Not From Concentrate(直訳すると、「濃縮還元ではない」。日本でいえば、ジュースなどに表記される「天然100%しぼりたて」を意味する)は、「天然100%しぼりたて」のジュースとかけて私たちのブランドが“ヘルシー”だってことを表してる言葉遊びなの。小さい頃、「天然100%しぼりたて」って書かれた小さいオレンジジュースのパックをいつも買って飲んでたから懐かしいっていうのもある。その当時は意味は知らなかったけど、私の単語帳のなかに「天然100%しぼりたて」が追加された。それに、ファッションもジュースと同じで、どこからきたものかわからないのにみんな消費するものでしょ。

ーブランドを始めたきっかけは?

私たちは「サステイナブルなファッション」と「今どきイケてるファッション」の間に溝があるって感じてたの。だからその溝を埋めるためにこのブランドを始めた。

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ーNot From Concertrateではどんなものを売っているの?

すべての商品がビンテージの服をもとに作ったものだよ。大量に集めたビンテージの洋服に、どうやって新しい命を吹き込むのか相談して、アップサイクルしてる。

ー洋服をカスタムして新しい服を作るうえで「リメイク」ではなくて「アップサイクル」と呼ぶのはなんで?洋服においてアップサイクルってどういう意味?

ファッション業界とサステイナブル業界で認知されている言葉がアップサイクル。生産された服は人間の生態システムの一部であり、常に進化していくもの。アップサイクルは、服が着られたあとの段階(aka ゴミ箱行き)にたどり着く前に、もともと作られたときよりもいいものにすることを目的としてる。リメイクはそのプロセスのこと。「アップサイクルするために、リメイクする」って感じで。

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ー服がアップサイクルされるプロセスについてもう少し詳しく教えて。

たった今もしているところなんだけど、生地を切るところから裁縫まで私たちが全部手でやってるよ。さくらんぼ柄のジャンプスーツとリバーシブルのレインコートもそうだけど、私が服に絵を描くこともよくある。バナナジーンズはカイ。カイはミシンを使うのがすごくうまいの。手作業の工程がたくさんあるんだ。でも、今後はビンテージの生地を使ってプロに頼んで生産を拡大していこうって話にもなってる。

ーブランドのスタイルへのインスピレーションはどこからくるの?

見た目の面では、滑稽でカラフルであることがすごく大事。私たちが作りたいのは、ハッピーで楽しくて、同時に実用的で着やすいもの。

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ーどうして「ファストファッションの値段」であることが重要だと思う?

「安いものを買う」=「ファストファッションみたいに倫理的じゃない」ってイメージを変えたいの。でも、全部手作りだからすっごい大変。今後他のところとコラボレーションとかして生産を拡大させたら、値段設定は高めにしないといけなくなるのが正直なところ。やっぱりそう考えると、値段があれだけ安いファストファッションってどうやってるんだろうね。こわいよ、実際。

ージッパーとかファーを、POC(ピーポー・オブ・カラー=非白人)の女性が経営しているビジネスからだけ買うのはなぜ?

ファッション業界の生態系を考えると、すべての段階において“ヘルシー”であることが私たちの責任だと感じているから。ファッションってこれまではエリート階級の白人が、大きなビジネスレベルでやるものだったでしょ。社会的に立場が弱い人や経済的に恵まれていない人たちにも参加してもらって、そのシステムを壊そうとしてる。

ー刑務所でファッションのワークショップを行っているのもその一部?

繰り返しになるけど、忘れられがちなファッションのすごいところ(自己表現、アイデンティティの形成、楽しい色彩)を、服従を強制されて、可能性が制限されているような場所で広めるのが私たちのミッションだから。刑務所って全然クリエイティブさがない場所でしょ。

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ーどうやったらファッションが社会を変えられると思う?

おー、難しいね。いろんな方法があると思うよ。まずはファッションビジネスとサプライチェーンの透明化が必要だろうね。グラマラスな部分だけを見せるようなファッション業界の傾向を変えなきゃいけないね。誰がこの服を作ったの?使わなかった部分の布はどこにいったの?これは社会・環境に対する義務だよね。それができたら、値段の問題がある。現状では安い服にいいことはない。それを変えようとしているのが私たちのブランドなわけだけど、今はこの小さなビジネスを継続させることとか、サステイナブルな生産を続けることをまず優先せざるを得ないんだ。

Not From Concentrate(ノット・フロム・コンセントレート)

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▶︎これまでの『GOOD WARDROBE』

#011 “意識が高い”ことはクールなこと。ファストファッションの代替案を目指すカナダのフェアトレードブランド

#010 「ソーシャルメディアは精神面によくない」。現代人のSNSの使い方を皮肉ったファッションブランドとは

#009 「マス受けは望まない」。消費者と環境と“ワタシ”のために服を作る英国ファッションブランド

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#018 日系アメリカ人家族の心の傷を漫画化。マイノリティの歴史を記録に残すことの大切さを訴えるアーティスト|GOOD ART GALLERY

All photos via Not From Concentrate
Text by Noemi Minami
ーBe inspired!

 

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