「捨てられる運命の野菜」を「高級料理」に。料理も内装も“元ゴミ”から作られる一流レストランを始めた男


旅行中によったパーキングエリアで、ものすごく形の悪い獅子唐が200g、100円で売られていた。買って帰って焼く。ちょっとの醤油とカツオ節たっぷりをかけて食べると肉厚で、ほんのり甘くて、幸せな気持ちになる。

多くの野菜や果物は、少しでも形が悪かったり、傷がついたりしていたりする場合、廃棄食材になってしまう。食材は、味と美しさで美味しくなる、そうかもしれないけれど、ちょっとヘコんでるくらいでゴミ箱に投げ捨てられたり、叩き売りされたりするなんて、あんまりじゃないか。

そんな“死にかけ”の食材を確かな技術で蘇らせるレストランがある。それがNYにある「Graffiti Earth(グラフィティ・アース)」だ。ここでは、廃棄予定の食材を利用し、野菜を中心としたコース料理を堪能できる。

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グラフィティ・アースのシェフ、ジェヘンジャー・メフタ氏

インドで育まれた思想と料理

 Graffiti Earthのシェフ、Jehangir Mehta(ジェヘンジャー・メフタ)氏は、アメリカの人気番組、The Next Iron Chef(ネクスト・アイアン・シェフ)の2009年度の優勝者で、アメリカでは名の知れた料理人だ。インドで生まれ育った彼にとって、最も大切なものは家族だという。家族の健康を促進し、次世代に向けて持続可能な社会を実現するために料理人になったそう。

 “次世代により良い社会を引き継ぎたい”という彼の思想は、彼が主宰する子ども向けの料理教室「Gastro Kids After School」にも反映されている。 そして、彼は食事を取りながら、地球の持続可能性を考えるきっかけを作れる場として、Graffiti Earthをオープンした。彼の作る料理はインドにインスパイアされたものが多く、野菜を中心とした構成となっている。

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料理も内装もゴミで作られた、一流レストラン

 Graffiti Earthの料理は上述の通り、廃棄食材を中心に料理が作られている。しかし、アメリカのレストラン評価システム「Zagat(ザガット)」によると、30点満点のZagat独自の評価で平均28点、5点満点のGoogle Reviewでは4.7点、つまり、ほとんどの人が最高評価をつけているのだ。

 Graffiti Earthの料理には、妥協を許さないMehta氏の細部にわたるこだわりが反映されている。また、最小限の食材を提供してくれる仕入先のみと提携し、余った食材は他のレストランと共有し、ゴミをできる限る出さないよう心がけているという。Graffiti Earthを作るにあたり、彼は料理だけでなく、インテリアにまで再生可能な素材や廃棄予定の素材を利用したというから驚きだ。

 また、Graffiti Earthでは、料理だけでなく、Graffiti Earthの理念に共感する芸術家である、Shreya Mehta(シュレイヤ・メータ)氏のチームの作品を展示するアートスペースも用意している。ちなみに、Shreya氏はシェフと同じ苗字だが、特に血のつながりはないそう。

 火・空気・水・土の四元素にインスパイアされたみずみずしい彼女たちの作品は、Graffiti Earthの世界観にぴったりと馴染んでいる。

 ほとんどのマーケットにおいてゴミとして扱われる“死にかけ”の食材が、名実兼ね備えた高級料理に変身するレストラン。なんだか物語を聞いているみたいだけど、これは現実のものなんだ。

 大切な人と向き合いながら、美味しい食事に舌鼓を打ち、美しい絵を眺めながらも地球に“イイこと”ができる。この場所から私たちが学べることも多いだろう。

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All photos via Graffiti Earth
Text by Kotona Hayashi
ーBe inspired!

 

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