「投票権はないけど暴くことはできる」。“政治の裏金問題”を簡単に暴露するシステムを考えた19歳の少年

2017.9.19

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国のために働いてくれる国会議員を選ぶとき、私たち国民はそれぞれの議員について知っていることを基準とするだろう。しかし、議員の情報はまとまっていないし、検索にも時間がかかる。

アメリカにはそんな手間を一気になくすサービスを作り出した弱冠16歳の少年が存在する。彼が話す、「人々の手の届くところにデータを置くことが、社会をよくする」とは一体どういうことなのか。

政治家たちの“裏”が見えるサイト

Photo by Adaptor- Plug
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日本のニュースを賑わせる政治家たちの“裏金問題”。もうそんな話題にうんざりしている人も多いと思うが、もし議員が受け取るお金の動きが全て分かるとしたら、安心できるのではないだろうか。実はアメリカにはすでにそんな「公平なシステム」が存在している。

2012年に開発されたこのシステムは、Webページ上で政治家を検索するとその議員が受け取った献金の内容が詳細に分かるというものだ。どんな企業からどれくらいの献金があるか分かれば、その議員が力を入れている産業や功績が瞬時に読み取れる。このシステムはアメリカ紙幣の緑色にちなみ『Greenhouse』と名付けられ、インストールは無料なのでPCさえあれば誰もが利用できる。

「政治が正されるべきだと知るに十分な年齢」

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Photo by Priscilla Du Preez

このシステムを考え出したニコラスは驚くべきことに、当時まだ16歳だった。現在彼は19歳になり、選挙権を得たものの、16歳のときには選挙権はなかった彼がどうしてこのシステムを思いついたのか。

僕はこの世には献金に依存しない政治制度が必要だと思ったんだ。僕は投票するにはまだ十分な年齢ではないけど、政治が正されるべきだと知るには十分な年齢なんだ

(引用元:Greenhouse

当時、彼は献金の“闇”に気がつきシステムの制作に着手した。まだ投票権はなくとも、自分の未来のために行動を起こす必要があると思ったからだそうだ。

議員の汚職は過度な献金が影響していると思ったんだ。だったらそれをなくすために、国民が彼らを監視することが重要なんだよ。はっきり言って、彼らの献金額を見ると恐ろしくなる

(引用元:YourNewsWire

ニコラスのこのシステムは瞬く間に広がり、人々の大きな関心を生んだ。議員たちの経歴やSNSまでを見られる機能も追加して議員の人となりやポリシーも分かるようにし、国民が政治家を選ぶ簡単な方法を提供したのだ。

「見たい」ときに「見られる」ことこそ、正しい情報開示

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Photo by Vitaly

現在、このシステムは他の国でも活用できるよう改良が進められていて、世界20ヶ国の少年団体と協力関係を結んでいるそうだ。(参照元:CARPEJUVENIS)献金の情報を開示している国は多いが、それを見つけるまでに時間がかかることがほとんどで、膨大なインターネットの情報の中に埋もれてしまっているのが現状だ。情報は見せていても、国民が見たいときにいつでも見られる状態にしていなければ意味がない。検索して検索してやっと出会えるような情報は、政治の場にあってはならない。

人々の手の届くところにデータを置くことが大切だよ。そして透明性の向上が、社会をよくすることに繋がるんだ。ニュースの裏にあるお金の動きにも注目すべきだと思う。

(引用元:VICE

ニコラスはこのシステムによって資金に依存する政治の無限のループを止められればと思っている。(参考元:YourNewsWire)ただ、「知る」という力を手にしただけで、国民はきっと強くなるに違いない。

私たちも、将来のために「知る」努力を

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Photo by Avel Chuklanov

日本ではここ数か月、政治献金の問題で持ちきりだ。もっと議論すべき内容はあるはずなのに、政治献金の揚げ足取りで、かなり無駄な時間が割かれている。ただ、悪いのは献金をもらうもらわないではなく、その出どころや使い道がはっきりしていないことなのだ。ならば答えは簡単で、情報を詳細に分かりやすくいつでも見られるように開示すればいい。ニコラスが作ったシステムは、まさに日本にこそ必要だろう。

ただ、現状では日本にはそのシステムがないのだから、私たちも自分の将来のために自ら進んで知ろうと動かなければならない。私たちの「知ろうとする努力」が重要なのだ。小さな一歩かもしれないが、今の政治にあきらめず声をきちんとあげることでそれが熱を帯び、大きな力を生むに違いない。

※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

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