米ハーバードの大学生が提唱。「苦手な人」と話すことがあなたの人生を「豊か」にする。


情報が溢れる現代社会は、一見すると昔に比べて多様な価値観に触れる機会が増えているように見える。しかし実際はその逆で、自分と合わない情報や合わない人と接するチャンスは減少しているかもしれない。

ユーザーの関心が高い投稿を優先して表示するというSNSのアルゴリズムが導入されたことで、わたしたちは無意識のうちに自分が好む情報しか入手できなくなっているし、個人主義と謳われる現代では信念や思想が異なる人と関わらずに生活することもできる。

このような世界は確かに居心地よいものかもしれない。しかし結果的にわたしたちは、思想の近い人たちの間でだけ頻繁に情報のやり取りを行い、外部と遮断された同質のコミュニティーの中で偏狭的な考えを強めているのである。

いま必要なことは、自分と異質なものを早急に拒否することではなく、合わない人と積極的に話すこと、そして違いを理解しようと努めることではないだろうか?

Photo by Scott Webb

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好きな情報しか流れない情報社会

 2016年のアメリカ大統領選を考えてみたい。

 SNSを主戦場とした新たな時代の選挙戦。日本のメディアはトランプ氏の性差別や人種差別の問題を大々的に取り上げていたが、実はこうした情報はアメリカのトランプ支持者にはあまり届いていなかったという。SNSのアルゴリズムが一人一人の偏好を学習した結果、支持者にとって好ましくない情報は排除されていたのだ。(参照元:select all

 インターネットが人々に多様な情報を与え価値観を広げるというのはもはや空想。現実は、人々の溝を広げる構造になってしまったのだ。

合わない人とマッチングするサービスって?

 当時ハーバードビジネススクールの学生だったヘンリー・サイ氏は、お互いの立場を理解する気配がない「ヘイト合戦」を目前にして大きな違和感を感じたという。

反対の立場の人を悪者扱いすることは簡単だ。〔…〕でもそれは何かおかしい。〔…〕もちろん相手に同意しなければならない訳じゃない、だけど理解するための時間すら作ろうとしないなんて、全くフェアじゃない。

(引用元:The Washington Post

 
 そう考えた彼は、クリントン氏の支持者とトランプ氏の支持者の間の対話を促進することを目的にしたサービスをオープンさせたのだ。両陣営の支持者が一対一で対話をできるマッチングサービス、Hi From the Other Sideである。目的は相手を説得するためではなく、相手との差異を認め「理解すること」だ。

多様性に富んだチームがうまくいく

 思想や立場が異なる人と関わるのは確かに面倒くさいし骨が折れることである。そして、例えば組織を考えた時、わたしたちは同質なチームのほうが成果を出し、多様性に富むチームはより大きな対立を生むと考えてしまう。

 しかしそれは大きな間違い。最近の研究結果でチームの多様性が維持されている組織のほうがビジネスとして成功することが明らかになったのだ。(参照元:Harvard Business Review

多様性によって生じる議論と違和感は、創造性と深い思考を促す重要な誘因である。

(引用元:Harvard Business Review)

 このような議論は、歴史を見てもわかるかもしれない。

歴史が証明しているのは、あらゆる組織はーー世界帝国から資本主義企業までーー多様性を維持しているときに栄え、「栄えている」という事実のゆえに均質的な個体を結集させ、結果的に組織としての多様性を失って滅びる、ということである。

(内田樹著、『街場の現代思想』、文藝春秋、2011、111頁)

多様性は人生の刺激!

 価値観や嗜好が似る人たちばかりと関わっていると多様性が失われてしまう。今まで書いたことを踏まえるとそのデメリットは2点ある。まずは「偏向的な情報しか入らず異質なものとの対立が深まるということ」。それだけではなく、「ビジネスなどにおいて組織の創造性が停滞し、継続が難しくなってしまうということ」である。

 価値観の異なる人と関わることは、自分にとってまだ見ぬ世界が広がっているということであり、新しいアイディアが生み出される可能性が無限にあるということだ。それは、平坦で連続的な日常へのワクワクした刺激に他ならない。自分と合わない人と積極的に関わることで日常を明るくしてみてはいかがだろうか。

Text by Reina Tashiro
ーBe inspired!

 

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