接客も監視カメラも一切なし。あえて“相手にしない”ことでお客さんと信頼関係を築く「値段のない無人パン屋」


最近、国王が約半世紀ぶりに来日し日本との関係強化も期待されているサウジアラビア。そんなサウジアラビアの主要都市の1つでありイスラム教の聖地としても知られるメッカに、無人販売スタイルで、どこかユニークなパン屋が存在する。その名も『The Honesty Bakery(正直なパン屋)』。

店内にスタッフは一人もいないし、カメラや監視員のような人も配置していないし、パンを製造しているスタッフとお客さんのコミュニケーションも一切ない。そこにあるのは「パン」と「Trust box(信頼の箱)」と呼ばれるレジ代わりの集金箱のみ。

The Honesty Bakeryのオーナー、ガジ・ハッサン・タス(Ghazi Hassan Tass)氏によると、多くの人が忘れてしまった「人を信じること」で、パン屋を運営し、貧困を救い、利益も出しているのだとか。

 先述したように、店内にはTrust boxと呼ばれる集金箱のみが置かれ、お客さんに信頼されるために丁寧な接客をしたり、監視カメラやセキュリティを設置し万引きなどを常に疑ったりしない。なぜなら、まずお店側がお客さんを信用することを意思表示することで、お客さんの信用を得られると考えているからだ。「何もしないこと」が彼らにとっての「極上の接客」と言えるかもしれない。

 しかし、ここで気になるのが、誰からも監視の目がないため、お金を払わないでパンを持っていくお客さんが来てしまうということ。しかしオーナーのガジ氏は、お金がなくて食べ物に困っている人を助けるために、“あえてスタッフを置かず、あえて監視しない方針”をとっているという。お金を払うか、否かは完全にお客さんの判断に委ねているのだ。

 果たしてこのパン屋は、この方法で収益を上げているのだろうか?全く心配はいらなようで、GOODTHINGSGUY.COMによると、全くマイナスということはなく、むしろ利益を創出しているという。現在、このスタイルで既に1年半もお店を続けているそうだ。 (参照元:GOODTHINGSGUY.COM

 一般的に店員とお客さんとの信頼関係がいいお店を作るため、細かくて丁寧な接客や、安全面を配慮したセキュリティを重視しているお店も多いだろう。しかし今回紹介したThe Honesty Bakeryは、は「あえて人と接さないこと」でお客さんからの信頼を得て、利益を生み出しているのだ。人と信頼関係を築きたい時、「まずは自分から人を信じること」が、大事なステップであるとこのパン屋から教わっている気がしてならない。

Text by Nozomi Hasegawa
ーBe inspired!

 

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