オーストリアの若手農家が見出した、“サードウェーブコーヒーのゴミ”に潜んだビジネスチャンス


オーストリアで一流大学を卒業したある2人の若者が選んだ道は、農業。それも、「都会ならではの農業」だった。

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@Elena Seitaridis

 サードウェーブコーヒーブームが到来してから久しい。東京には多くのスタイリッシュなコーヒーショップがオープンし、街でコーヒーを飲みたいときに困ることなんてもう想像もできないだろう。これはどこの国の都市にもいえることで、コーヒーブームは世界的。

 オーストリアの首都、ウィーンは歴史的にコーヒーカルチャーが盛んで、1日に77万リットルのコーヒーが消費されているそうだ。

 しかし、その代償といえるもののひとつが「コーヒーかす」の存在。コーヒー豆には多くの栄養素が含まれているにも関わらず人々がコーヒーから摂取している栄養はわずか1%。残りの99%はゴミとして捨てられている。ウィーンで毎日捨てられるこの「コーヒーかす」の量はなんと44トン。

 そんな現状に「農業チャンス」を見出した2人の若者がいた。Florian Hofer(フロリアン・ホーファー)と Manuel Bornbaum(マニュエル・ボーンバウム)だ。オーストリアの一流大学で機械工学と農業科学を勉強した2人が6ヶ月かけて考え抜いたのが都会ならではの農業、「コーヒーかすを使ったきのこ栽培」だった。

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フロリアン・ホーファーとマニュエル・ボーンバウム
© Karin Hackl Photography

 フロリアンとマニュアルは2015年にコーヒーかすできのこを栽培する「Hut & Stiel(ハット&スティール)」というスタートアップを設立。彼らの人生の哲学が、このビジネスにはそのまま反映されている。それは、環境に優しい、資源を無駄にしない、サステイナブルで質の高いプロダクトを作ること。

 ハット&スティールはウィーンのローカルなコーヒーショップやレストラン、ホテルから「コーヒーかす」を買い取り、それを使って市内できのこを栽培する。

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@Elena Seitaridis

 収穫したものは数時間のうちに契約しているレストランや個人に貨物自転車でお届け。使ったあとのコーヒーのかすは堆肥として再利用する。これは彼らがいうところの「きのこサイクル」である。

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© Karin Hackl Photography

 自家製のきのこを使って、バジルソースやトースト用のペーストの製造もしており、ウィーン市内のレストランやマーケットで販売も行なっている。

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© Karin Hackl Photography

 彼らのビジネスの根底にあるのは、彼らのプロダクトを通して消費者をインスパイアし、その消費者が行動を起こせるようなきっかけを作りたいという思い。そのため、自分たちのビジネスモデルや技術は透明化しており、ワークショップなどを通して知識を広める活動もしている。

 2017年1月には気候・エネルギー基金と農業省、農林省、水管理委員会から、オーストリアでもっともサステイナブルなビジネスを行うスタートアップとして『グリーンスター賞』を獲得した。

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@Elena Seitaridis

 都市でなるべくゴミを出さないような形できのこを栽培し、自転車で配達。環境に優しいと同時にローカルなコーヒーショップやレストラン、ホテルとの関係性を深めながら行うこのビジネス。

 「モットーは、みんなで力を合わせればもっといいことができる」だと話すハット&スティールだが、実際に「コーヒーかすを使ったきのこ栽培」は比較的にどこの都市でも始められることで、「みんなでやること」を彼らは望んでいる。

Hut & Stiel(ハット&スティール)

Website

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© Norbert Habring

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All photos via Hut & Stiel
Text by Noemi Minami
ーBe inspired!

 

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