“社会のきまり”の一歩外で考えたい若者へ。彼女が日本のタブーまでオープンに話せるマガジンを始めた理由。honeyhands magazineライター Hikari


普段人と話をするとき、どんな話題で話しているだろうか?楽しくて笑いあえるトピックなら人を選ばず話せるけれど、お互いの考え方について、社会に対して思うことについて、ましてや一般的にはタブーとされている身体やセックスの話については誰とでも話せるわけではないだろう。

Photo by @bluemarinanaka
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そんなトピックをもっとオープンに話せたら楽ではないだろうか。単純に自分から話題に出せばいいのだが、人に直接話す勇気がない場合は社会問題やフェミニズム、誰もが抱く不安な感情、セックス等について独自の視点で書いているブログマガジン「honeyhands(ハニーハンズ)」を読んだり、運営している2人の若者たちに自分の思いをシェアしたりすることも手段の1つだ。

そんなhoneyhandsを作っている2人がどうして社会の問題に興味を持ったのか、自分たちの媒体を使って若者に届けたいことは何かをインタビューする企画の後編は、留学先のアメリカで政治観や社会問題、文化の違いなどをオープンに話すのが普通だったことから、様々な考え方を知ることに興味を持ち、それが他人を理解したり受け入れたりすることにつながると気づいたHikariにフォーカスを当てる。

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Photo by @ericauv

—バックグラウンドを教えてください

神奈川県出身。高校・短大では英語や異文化について学び、卒業後はアメリカのニュージャージ州にある大学の国際関係学部に編入して、2016年に卒業したよ。

—現在は何をしているの?

アメリカの大学を卒業後、カナダのワーホリのビザを取得してアメリカからカナダに引っ越して、今はUrban Outfittersでセールススタッフとして働いてる。

—社会の問題にはいつ興味を持った?それはなぜ?

社会の問題についてちゃんと興味を持ち始めたのはアメリカの大学に編入してからかな。国際関係学部では、世界の歴史や経済、政治、文化、言語、宗教などを学んだのだけれど、授業外でも仲良しの友達や親しい教授と日本のランチテーブルでは会話に出てこないような政治観、社会問題や文化の違いなどについてオープンに話すことが普通だった。

あたしはいつも好奇心旺盛で知れるものは全部知りたいって思っていたから、みんなが話していることについて「これってどういうこと?」って質問したり、レポートのテーマにしてリサーチしてみたりした。それから日本では考えようとか知ろうとか思う前に知るチャンスのなかったものに直接接していくうちに、「もっと知りたい!」ってなった。今もまだまだ勉強中!

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—自分をフェミニストだと思う?そうならフェミニストになったきっかけは?

YES :) でも別に「あたしはフェミニスト!」ってアピールしたい気持ちがあるわけではないよ。ただナチュラルにジェンダーの平等についてサポートできたらって思ってたら、それはフェミニストだと思う。自分がフェミニストだって、ちゃんと意識し始めたのは2014年の9月。はっきりと覚えてるのが、Emma Watson(エマ・ワトソン)の国際連合でのジェンダー平等を訴えるキャンペーンHeForSheについてのスピーチを聴いたときに「あたしはフェミニストだ!」と思ったということ。

そのあと、「もっと知りたい!」が始まって、大学は女子校だったからフェミニズムについて話すことも多かったし、教授と女性の権利についてのクラスを開講して、卒論でもジェンダー平等について書いたよ。でも日本にいたときは考えることもなければ、気づいてすらいなかった。

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Photo by @tennysonmusic

—今住んでいる国と日本でのフェミニストの受け入れられ方の違いはどう?それについて思うことは?

フェミニズムに興味を持ってから日本には3週間しか帰っていないから実際に肌で感じることはないけれどインターネットで見ている限り、そこまでは広まっていなくても記事では書かれているんだなあと思った。

私が暮らしてきたアメリカやカナダでは、もはやフェミニストでいることがトレンドみたいになってて、それは違うんじゃないかって思うけど、それと同時にたくさんの若者が真剣に学んで呼びかけたり、何か意味のあるものや正しい情報をシェアしたりしているのはインスピレーションになるな、とも思う。

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Photo by @ericauv

—honeyhandsではどんなトピックを書いてきた?それはどうして書きたいと思った?まわりの人や読者の反応はどう?

①セックス
あたしが小学校から高校にかけて受けてきた日本の性教育って、本当に知っておくべきことを満たしてないな、と思う。今の時代はインターネットで全部検索できたり、かといってその情報が100%あってるなんて保証は全くなくて。

それにセックスは多くの人が興味のあることだけれど、軽々しく話すものじゃないとか、恥ずかしいことだと思ってる人もたくさんいるから友達や家族に話すのが難しくて、一人で悩んでしまったりすることも少なくないと思う。だったらあたしが自分の経験を書いたり、友達にインタビューしてみたり、実際に経験したことを赤裸々に読んでくれている人にシェアしたい。このトピックもアメリカに来て、真剣に考えるようになったかな。

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Screenshot from honeyhands

②見た目
見た目について思うことはたくさんあって、あたしは日本ではぽっちゃり体系で、化粧をしないと外を出歩きたくないと思っていたけれど、北米では痩せすぎって言われたり、すっぴん+部屋着で出かけることもあったり、文化によって違うけれど、それでも一番大切なことは「自分や自分の身体が心地いいこと」じゃないかなって思う。

今まではムダ毛やおっぱいについて記事を書いたんだけど、どの文化でも「こうあるべき」とか「これがベスト」みたいな基準があって、それって首をしめてるだけだなあと感じるときもある。それに痩せていても、毛を剃っていなくても、化粧をしていなくても、太っていても、人がみて魅力を感じるものはそれぞれ違うなと過去数年で学んだ。

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Screenshot from honeyhands

③LGBTQ+
LGBTQ+も、少しでも多くの人に知ってほしくて書き始めたの。アメリカでの大学での仲良しの子たちはみんなレズビアンかバイセクシャルで、ストレート(異性愛者)だったのは、あたしだけ。

LGBTQ+の人たちは世間でマイノリティになりがちで、だからこそ社会では厳しく当たられたりして、同じ人間なのにストレートだったら、マジョリティだったらそんなに偉いのかと思わされるくらい。そのコミュニティの人たちは、どんな想いをしていて、社会ではどういうふうに扱われているのかって知って、それをシェアしていきたいなと思ったの。

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Screenshot from honeyhands, Illustrations by @7_art__

—honeyhandsでは社会問題だけじゃなくて、人の内面にある感情とか悩みについても書いているけど、それを書くことにはどんな意味があると思う?

”Heartbreak”は失恋だけではなく、友達が遠くに引っ越したり、スーパーで買った卵が家に帰る途中に割れたりしたときに感じる様々な“heartbreak”があるわけで、人それぞれ感じ方も違うし、たまに「こんな風に感じてるのはあたしだけなんじゃないか」ってどん底に落ちたり。フェミニズムにも関連するけど、「女性が怒るなんて!」とか「男性は泣くべきじゃない!」とかって思うこともね。

あたしは「不安」に悩まされることがあって、そのことを記事にしたときに、たくさんの人からメッセージをもらって「こう感じているのはあたし一人だけじゃないんだと思えました」とか、そういうメッセージにまた「あたしも一人じゃないんだな。書いてよかった」って思えた。

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Screenshot from honeyhands

記事に書かれているのを読めば同じように感じたことがなかったとしても、人の価値観や物事の感じ方について理解できるかもしれない。SNSで見ている人たちが完璧な人生を送っているように見えても、どんな人でもネガティブになったり、幸せになったり、人生は山あり谷ありで、もっとそういう悩みを話せる環境があればいいのにとも思う。

あたしもhoneyhandsを読んでくれている人たちがオープンに話してくれることで「蛙化現象」などの新しいことについて学べているから、読者の人に対してあたしはいつもオープンに両手を広げて迎えたいし、「どんなことでも聞きたいです!」って思っていることを知ってほしい。

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Photo by @bluemarinanaka

—日本社会や日本の若い子に対して何を思う?

日本人はユニークでオリジナルよりも“一般”でいることを望む人が多いように思う。別にそれはそれでいいけど、そんな人たちは“少し変わっている人たち”のことを悪く言う必要もなければ、プレッシャーを与える必要は全くないとも思う。“一般”も普通だし、“少し変わっている人”も普通。意見を言うにせよ、考えを受け入れるにせよ、どの服を買うか、何を食べるかとかだけじゃなくて、かわいさ、美しさまでも一般化されて、自分は何に本当に魅力を感じるのかがわからず、惑わされているなと感じる。

でも、それはどこでも同じかもしれない。どこにいてももっと広い視野で話ができたらなと感じるし、自分をもっとアピールできる環境になればいいって思う。海外生活を通して日本人でよかったって思うこともあって、それは日本人は北米の人たちに比べて、本当に礼儀正しくて、思いやりがあって、空気が読めること。それに、みんな自分がどう動くべきなのか知ってる気がするし、他の国よりも宗教的な人が遥かに少ないからこそ、オープンな考えを持てるんだなあとも思うこともある。

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Screenshot from honeyhands

—そんな社会や若者にhoneyhandsを通して伝えたいことは?それを日本の若い子に伝える難しさを感じる?

難しさとは違うけれど、あたしはもっと読者の人と近い存在でいたいと思っていながらも発信しているのがコメントしづらい内容だから、リクエストや寄稿してくれる子がいても「匿名でお願いします」って言ってくる子もいる。それでやっぱりまだhoneyhandsが取り扱ってる内容は恥ずかしいのかなと思ったり。

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Photo by @ericauv

伝えたいことは、人種や宗教、文化、言語、習慣など国によって物事の感じ方や考え方は本当に違うし、もちろん人それぞれってこと。それを知って、自分なりに考えを持ってもらえたらなって思う。

何も知らずに固定概念で物事を判断するよりも、他の考え方をオープンに受け入れてほしい。honeyhandsではあたしが日本でいたときに知りたかったようなことを書きたいって思ってるし、読んでくれている人には常に素直でありたいと思ってる。

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—これからどんなトピックを扱っていきたい?最近考えているのはどんなこと?

今まで書いてきたセックス、感情、人権(フェミニズムやLGBTQ+など)についてももっとしっかり学んでシェアしていきたいと思う。それからもっと他の社会問題も取り上げていきたいし、honeyhands読者の意見や悩み、知りたいことについても答えていきたい。

あとはもっといろんな人にインタビューしたり、自分の作品をシェアしたい人たちをサポートできる場所にもしたい。honeyhands内のプロジェクトとしては、ドキュメンタリーを作ったり、紙媒体化したり、イベントを開いたりしたいなと思ってるよ。

<honeyhandsを一緒に作っているRuruからHikariへ>

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私が個人でブログを書いていたときにひかりが「一緒にやらない?」って声をかけてくれて、ちょうどそのときブログじゃなくてちゃんとウェブサイトにしたいと思ってたのだけれど私はそういうの作ったりするのすごく苦手で…。誰か一緒にやってくれないかなと思ってたから、まさにピッタリなタイミングだった!

私は意見が強くて頑固なわりにはすごく適当でめんどくさがりなのだけど、ひかりはいつも冷静だしきっちりしてるからいつも助かってる。1人じゃこんなにきちんとウェブサイトにして毎週更新したり、 Tシャツ作ったりなんてできなかったと思うし。2人ともお互いを信頼してるからこそ意見をはっきり言い合えて話し合えるから、これからももっとhoneyhandsで一緒にいろんな活動をしていきたいと思ってるよ。

 

 Hikariの考えていることから何を感じ取っただろうか。彼女のように考えたり悩んだりしたことをオープンに話してくれる人の存在は、自分の感じていることを人に話したり単純に自分が知らなかった考え方を知ったりするきっかけになるだけではなく、自分とは異なる考え方を持つ人は敵ではなく対話するべき相手なのだと教えてくれる。そうやって違う考え方を持つ人をも受け入れることで、自分は本当はどうしたいのか、とより考えを深められるのかもしれない。

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Hikari

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Photo by @bluemarinanaka

Twitter:@hikarilillynaka

Instagram:@hikarilillynaka / @hikfilm

<honeyhands>

Website:www.honeyhandsmag.com

Facebook:www.facebook.com/honeyhandsmag/

Twitter:@honeyhandsmag

Instagram:@honeyhandsmag

Instagram online shop:@honeyhandsmag.shop

 

honeyhandsを作る若者へのインタビュー企画の前編はこちら

Text by Shiori Kirigaya
ーBe inspired!

 

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