「自分の価値は他人が決めるものなの?」。私が10代の頃に感じた違和感を、今Webで発信する理由。honeyhands magazineライター Ruru


 

私たちの暮らしている世の中には、誰かが決めた根拠のない“ルール”が溢れていて、私たちはそれを無意識のうちに正しいと思ったり、それに合わせないと人からどう思われるか気にしたりすることがある。例えば「女の子は“ムダ毛”の処理を怠っちゃだめ」や「女の子が体重50kgを越えたらアウト」、「デートに誘うのは絶対男の子から」など。

Photo by Ruru

そんな考え方に囚われている若者が多いなかで、“世の中の当たり前”ではなく自分の考えに従って自分の行動を決めていきたい若者を後押ししてくれるメディアがある。イギリスとカナダに住む2人の日本人の若者が運営する、社会問題やフェミニズム、メンタルヘルス、セックス等について独自の視点で書いているブログマガジン「honeyhands(ハニーハンズ)」だ。

今回Be inspired!はその2人にインタビューを行ない、彼女たちが社会の問題に興味を持った理由や、自分たちの媒体を使って若者に何を届けたいのかを前編・後編にわけて紹介していく。前編は、イギリスでひょんなことからフェミニズムに出会い、日本で当たり前になっていた“女性の体についてのルール”に縛られなくていいことに気づいたRuruにフォーカスを当てる。

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—バックグラウンドを教えてください

神奈川県出身、日本の高校を卒業してそのままイギリスの大学に入学して、1年間ファッションメディア、3年間ファインアートフォトグラフィーを勉強しました。23歳です。

—現在は何をしているの?

ロンドンの古着屋さんでバイトしています。あと一応、就活中。

—社会の問題にはいつ興味を持った?それはなぜ?

社会問題については、はっきり覚えてないけれどフェミニズムという言葉を知って考え始めたのは大学1年のとき。課題で論文を書かなくちゃならなくて、たまたま選んだアーティストがドイツのHannah Höch(ハンナ・ヘッヒ)というフェミニストのアーティストで。

彼女は女性として男社会で生きることについてや当時(20世紀前半)のドイツの女性について作品を作っていて、調べていたら共感することがたくさんあって、「これがフェミニズムなんだ」って思ってそこから興味を持ち始めた。

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でも今思い出すと小さい頃からなんで女の子だからこうしなきゃいけないの?って思ったこともあるし、「決まりだから」で片付けられている規則や、同性愛を笑ったり差別したりしている人が理解できなかった。

それから歴史が好きで以前は大学で国際関係学を学びたいと思っていて、ずっと海外と日本の文化の違いや問題などに興味があったことも関係していると思う。あとはその時々で出会った人や映画、本などから影響を受けたからだんだんと気づいたら考えるようになっていたってところかな。

—自分をフェミニストだと思う?そうならフェミニストになったきっかけは?

思う。考え始めたきっかけは上に書いたようにハンナ・ヘッヒです。それ以前だと高校生のとき初めてイギリスに短期留学できていろんな国籍、人種の人に出会って、ずっと自分の見た目や体型を大嫌いに思っていた自分は「日本の美の概念」に囚われていたのだと感じた。

それでフェミニストなんて言葉は知らなかったけれど、そのときから自分の価値を他人の基準で測るなんておかしい、自分の好きなようにしていいんだと考え始めた。

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—今住んでいる国と日本でのフェミニストの受け入れられ方の違いはどう?それについて思うことは?

正直、日本には夏休みしか帰ってないし私の友達は同じように海外に住んでたことのある人がほとんどだから実際に日本社会でフェミニストと言ってどう反応されるのかはわからない。イギリスでもアートやファッションをやってる友達がほとんどだし…。

でもhoneyhandsの前に個人で書いていたフェミニズムブログがあって、それを始めたきっかけは、英語だと若い女の子、ブロガー、ユーチューバーがフェミニズムやセクシュアリティについて話してる記事や動画がたくさんあるのに、日本語でフェミニズムって調べるとどこかの大学の論文とかしか出てこなかったからだった。イギリスではトップショップでフェミニストって書かれたTシャツを売っているくらいで、ちょっとトレンドだって感じるかな。

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—honeyhandsではどんなトピックを書いてきた?それはどうして書きたいと思った?まわりの人や読者の反応はどう?

①体型、見た目。
体型や見た目は私がフェミニズムについて考えるきっかけになったもので、ティーンの頃は本当に自分の見た目の全てが嫌で仕方なかったけど、今では何であんなに頭がおかしくなるほどそのことに囚われていたんだろうと思う。

これは今でも見た目を気にしてる友達をたくさん知ってるし、自分がティーンのとき誰かに「そんなこと気にしなくていいよ、世界にはいろんな人がいていろんな美しさがあるんだよ」って言ってもらいたかったから書こうと思った。身近な話題だから共感できる人も多いと思うし評判もいい。「記事を読んで自分を好きになれた」ってメッセージをもらえてすごく嬉しかった。

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Screenshot from honeyhands

②国籍や人種について。
イギリスで差別されたことはたくさんあるし、海外に長く住んでいた人はわかると思うけど自分のアイデンティティや人種、国籍についていろいろ考えて悩んだ。

こういうトピックで書こうと思ったのは、それが現実に起こっていることだと知ってもらいたくて、特に友達同士間でも起こるカジュアルレイシズム*1については悪気がなくしてる人もいるだろうから、一歩下がって自分がされたらどう感じるかなどを少し考えて欲しいと思ってる。

(*1)人種差別の形態の1つで人種や民族、肌の色などに対するステレオタイプや偏見を基にした日常生活の中でのカジュアルな言動(ジョークを含む)を指す

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Screenshot from honeyhands

Who am iシリーズ」(個人的にやってるフォトインタビュープロジェクト)は自分がイギリスに住んで「外国人」になったとき、アイデンティティや日本人としての自分に向き合わなくてはいけなくなって、さまざまなバックグランドを持つ人、例えば「異なる人種の親から生まれた人」や「生まれた国と育った国が違う人」は彼らのアイデンティティについてどう感じてるのか気になって始めた。

日本だと多くの人が日本人の両親の元で生まれて日本で育ってるけれど、イギリスにはいろいろな人がいて興味深いと思ったし、私は日本で生まれ育った日本人だけどイギリスで「外国人」扱いされることに疲れたり疎外感を感じたりしたからそういった気持ちをシェアしたいなと思った。このトピックの記事を読んだ似たような境遇の人からポジティブなメッセージをもらったよ。

③インタビュー記事。
自分の思いを書くだけでなく、できるだけいろんな人にインタビューしたいと思ってるから興味を持った人にはどんどん声をかけてる。

有名、有名じゃないとかには興味はないし、私が個人的に「知りたい!」と思った人に自分からメッセージしてるよ。みんなそれぞれいろんな体験や思いがあると思うからそれをシェアできる場所を作りたいと考えてる。

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Screenshot from honeyhands

—honeyhandsでは社会問題だけじゃなくて、人の内面にある感情とか悩みについても書いているけど、それを書くことにはどんな意味があると思う?

情報サイトというよりは想いや考えをシェアする場所にしたいと思ってる。他人や違った意見を知ることは考えが広くなることにつながると思う、だから自分たちだけじゃなくゲストライターを迎えたり、インタビュー記事もできるだけたくさん書いていきたい。

現実はハッピーで素敵なことばかりではないし他人の悩みや思いを知って共感して1人じゃないと思えたり、こういう生き方や考えもあるんだって知ることができれば、みんながお互いにもっと理解しあえたり、「これが普通!」っていう価値観の押し付け合いやプレッシャーは減るんじゃないかなと思うから。

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Screenshot from honeyhands

—日本社会や日本の若い子に対して何を思う?

自分の周りは結構オープンな人が多いけど、一般的に考えたら全体的に情報源が限られていてその情報を鵜呑みにしてしまっている気はする。

例えばフェミニズムについての情報も少ないし、日本のTVや雑誌などの主要メディアしか見てなかったら「女の子は毛は剃らなきゃ」「女の子1人で旅なんておかしい」「ハーフ=白人種とのハーフで、彼女たちは可愛い」というような概念がついてるように思えるし、そう言った発言を平気でしている人もよく見る。

日本に住んでたら確かに日本人としての考えだけで間に合うのかもしれないけれど、それだけでは窮屈だし少し外を見たら色んな考えがあるよって思うから、もっと自分で情報を選択して考えていけるようにできればいいのになと思う。

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—そんな社会や若者にhoneyhandsを通して伝えたいことは?それを日本の若い子に伝える難しさを感じる?

一番伝えたいのは見方は色々あって一面だけではないということ。私ももちろんまだ勉強中だけれど上でも書いた通り、日本の普通は世界の普通じゃないから、おかしいと思ったら誰かが「それってどうなの?」って言っていかないと変わらないと思う。それに今はインターネットもあるし自分から発信していけば同じ思いを持ってる人とも繋がれる時代。そこで仕方ないって諦めてたら変わらないから少しずつでもポジティブな方に動かせるようにしたい。

honeyhandsでは難しそうな話題を扱ってるけれど私たちも普通の20代の女の子で、だからこそ自分たちの目線で話すことが大事だと思ってる。そういう問題は意外と身近な話なんだよーってね。

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フェミニズムや人種問題については、やっぱりなかなか伝わらない気がする。私がどんなに友達に「今のままで十分可愛いし気にしなくていいよ!」って伝えてもやっぱり10人いて私しか可愛いって言わなかったらなかなか自分を可愛いって思うのは難しいのだと思う。でもこういう問題について日本の子にも伝えたほうがいいって信じてるから、これからも諦めないで書いていくつもり。

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—これからどんなトピックを扱っていきたい?最近考えているのはどんなこと?

「アジア人の女の子として生きる」というトピックにフォーカスしたいなと思ってる。韓国や中国など他のアジア圏の人にもインタビューしたい。あとはセクシュアリティとかかな。セックスについてとかを話すイベントもしたいなと思ってるよ。

<honeyhandsを一緒に作っているHikariからRuruへ>

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Photo by @tennysonmusic

あたしはhoneyhandsみたいなものをやりたいなって思ってたときに、るるがフェミニズムのブログをやっているのを知っていたし、お互い海外で生活しているからいろんな文化について話したりしてて、るると一緒に何かしたい!と思ったから誘ったのを覚えてる。

るるとあたしは正反対な意見の時もあれば、全く同じように感じることもあって、だからこそ「これどう思う?」って意見がほしいときとか「いいと思う!」だけじゃなくて、どこがよくて、どこを直したらもっとよくなるとかも言ってくれたり、るるははっきり素直に思ったことを言ってくれるからやりやすいし、信頼できる。これからもhoneyhandsでるるとやっていくのは楽しみ :)

 

 Ruruの言葉から何が伝わってきただろうか。自分が知らずのうちに囚われていた“見えないルール”の存在に気づいたとき、新しい考え方で物事を見ることができるようになる。マジョリティの考えにただ従って行動するのと違って、すべて自分で判断して生きていくのは決して簡単ではないけれど、当たり前という呪縛から解放されたぶん自由になれて、どうしたら自分が心地よく生きられるのか考えていくうちに自分という存在への理解が深められるのかもしれない。

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Ruru

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Website:http://rurururiko.com/

Instagram:@yourlocalpinkgirl

<honeyhands>

Website:www.honeyhandsmag.com

Facebook:www.facebook.com/honeyhandsmag/

Twitter:@honeyhandsmag

Instagram:@honeyhandsmag

Instagram online shop:@honeyhandsmag.shop

 

honeyhandsを作る若者へのインタビュー企画の後編はこちら

Text by Shiori Kirigaya
ーBe inspired!

 

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