「“いい服”は作りたくない」と言い放ち、服作りをする男。


(Photo by Reo Takahashi)

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「“いい服”は作りたくないんだよね」
 
服を作っている人の口からそんな言葉が飛び出してくるなんて、誰が想像するだろうか。
しかし、彼のこの「意味深な言葉」には「洋服に対するパッション」が集約されているのだった。
 
生活にちょうどいい機能、通称「ライフ・スペック」。
そう彼が呼ぶコンセプトをもとに、株式会社オールユアーズ(以下「ALL YOURS」という。)を昨年立ち上げた木村 昌史氏。

(Photo by Reo Takahashi)

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「ライフ・スペックの伝道師」という変わった肩書きの彼に、同社コンセプト「ライフ・スペック」の真髄を伝授してもらった。


 
 
「12年間、大手アパレル企業にいて、ゴミばかり作っている気がした」

(Photo by Reo Takahashi)

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大手アパレル企業に12年間就職していた木村氏。彼がアパレル業界に対して気づいたこと。それは「消費者目線で洋服が作られていないこと」だった。
 
「あまりにもトップダウンなアパレル業界のサイクルに『嘘っぽさ』を感じた。『うちのブランドの服ってかっこいいでしょ』と言わんばかりに上から目線で生産される服が市場にあまりにも多い。お客さんのことを考えて作られている服は少なすぎる」
 
悲しげにそう言い放った彼が「トップダウン(上から下)」とアパレル業界を表現するのは、アパレルの生産サイクルがあまりにもまだヨーロッパ的だから。
 
つまり、オートクチュールに代表されるように、着ることができる人が少なければ少ないほど“いい服”、タイトなシルエットで着辛ければ着辛いほど“いい服”、カシミヤなど手に入れるのが難しい希少な繊維で作られていれば“いい服”だということを指している。

(Photo by Reo Takahashi)

(Photo by Reo Takahashi)

そんなアパレル業界がはまった泥沼に「待った」をかけるべく、全く違う畑“テック業界”で行われている消費者を一番に考えた「ボトムアップ(下から上)」の姿勢を、彼は服作りに適用している。
 
木村氏は、おもむろに手に持っていた「iPhone」を眺めながらボトムアップなモノづくりの良さを説明し始めた。
 
「アップルのプロダクトはユーザーエクスペリエンス(ユーザーが製品・サービスを通じて得られる体験のこと)命で作られているんだよね。説明書なくても、触れば誰でも使い方がわかるくらいシンプルに設計されている。そんなユーザーフレンドリー性を重視し、低姿勢でモノづくりをしているのが最近のテック業界だと思う」
 
2000年初頭にiPodやiPhoneで頭角を現し、「ユーザーフレンドリー性(消費者目線)」を武器に既存のテック業界に新風を吹き込んだアップル。
 
そんなテック業界の黒船「アップル」のように、“生産者目線”の既存のアパレル業界を変えるべく、『すべてがあなた(消費者)のために』と社名に思いを込め「ALL YOURS」は昨年立ち上がった。

 
 
「ライフ・スペック」とはなんぞや

(Photo by Reo Takahashi)

(Photo by Reo Takahashi)

冒頭でも登場したライフ・スペックというALL YOURSのコンセプト。
 
一体ライフ・スペックな服とはなんなのか?
 
そんな質問に、伝道師である木村氏はこう答えた。
 
「まあ簡単に言うと、『何も気にしないで着られる服』。人が生活する上でストレスになるようなものをすべて取り除いた服だったり、快適になるような設計がされている、生活にちょうどいい機能を持った服だね」

 
 
「情報」ではなく、「機能」が詰まった服

(Photo by Reo Takahashi)

(Photo by Reo Takahashi)

なぜライフ・スペックというコンセプトを思いついたのだろうか?
 
それは今、市場に出回っている洋服は、機能ではなく、情報がたっぷり詰まっているからだという。
メディアなのか、セレブなのか、誰かが決めた3ヶ月〜1年で終わってしまう「トレンド」と言う名の「情報」が。
 
「洋服は『製品寿命』が来る前に、『情報(トレンド)の寿命』がきて、着られなくなってしまうことにとても違和感があった。それで、トレンドじゃないところで消費される服を作りたいと思った」

(Photo by Reo Takahashi)

(Photo by Reo Takahashi)

木村氏の“トレンドに左右されたくない”という強い思いが込められたALL YOURSの服は、「情報」ではなく、「機能」が詰まった服なのだ。
そんな彼らのコンセプトであるライフ・スペックをもとに作られた服は、「DEEPER’S WEAR」というブランドで展開されている。

(Photo by deepers wear)

(Photo by deepers wear)

生活しやすさ、動きやすさ、耐久性など。「情報」に流されて生産、消費されるのではなく、「機能」をぎっしり詰めて作られているアメリカンワークウェア。リーバイスやディッキーズなどのブランドが100年以上も前からやっている要素を、2015年7月に「ライフ・スペック」と再定義し、「DEEPER’S WEAR」として洋服に吹き込んでいるのが木村氏であり、ALL YOURSなのではないだろうか。

 
 
人を「アクティベイト」させる洋服。

(Photo by Reo Takahashi)

(Photo by Reo Takahashi)

先日7月1日で、1周年を迎えた「ALL YOURS」。
 
「立ち上げの当初は『ライフ・スペック』という機能性を武器にプロダクトを売ろうとしていた。でも1年経過し、お客さんに“あること”を気付かされた」としみじみと語る木村氏。
 
ALL YOURSの代表的なライフ・スペックな服「DEEPER’S WEAR」は2つ。
撥水性スウェット「ONE SWING(ワンスイング)」と伸縮するジーンズ「HIGH KICK(ハイキック)」。

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少し雨が降っている時、外出したくても、雨だからやめとこうと諦めてしまった経験はないだろうか?
 
そんな時、「ONE SWING」があれば、雨に濡れても水を弾くので、外出するのが億劫だった気持ちを一掃してくれる。

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また、木村氏自身も趣味の自転車を乗るときに愛用している「HIGH KICK」は、ストレッチがきき、動きやすさがズバ抜けていて、自転車を軽快に乗ることはもちろん、ジッとしているデスクワークでも体に負荷をかけずに履くことができる優れものだ。

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そんな生活の中で感じるちょっとしたストレスをなくし、人を「アクティベイト」させる機能を持ち合わせた服が、DEEPER’S WEARの特徴であり、最大の魅力なのだ。
 
雨の日に出かけたり、自転車乗ったり、ガーデニングしたり、踊ったり…
 
お客さんに気付かされた“あること”。それは、機能の良い「商品」を売るのではなく、ALL YOURSの服を着た時にお客さんがしている“「体験」を売るほうがいいということ”だった。

 
 
「“いい服”を作りたくない」の真意

(Photo by Reo Takahashi)

(Photo by Reo Takahashi)

取材時に木村氏が言った「“いい服”は作りたくない」という言葉。
 
彼がこの時に意味した「いい服」とは、市場で一般的に言われている“いい服”のこと。
 
希少な素材や高級な繊維を使用した服。または、流行りの服。つまり、ヨーロッパ的なアパレルの産業サイクルで生産される服や、情報(トレンド)で消費される服のことだ。
 
果たしてそれが“いい服”だとあなたは思うか?
 
「少しくらい粗悪な素材でも、ケアをしないで、長持ちする服の方が“いい”と思う。洋服は情報ではなく道具だから」
 
木村氏のこの言葉からも汲み取れるように、市場の「いい」という価値観は変化し始めているのではないだろうか。
 
これからの時代、必要なのは、希少性でも、ハイスペックでも、トレンドでもない。
ストレスフリーで生活にちょうど“いい服”なのかもしれない。
 
「ちょうどいい機能」が詰まったALL YOURSの服を一度着てみれば、文字では決して伝わらない木村氏の服作りに対する「パッション」と「ライフ・スペック」を体感することができるはずだ。

(Photo by Reo Takahashi)

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<ALL YOURS WEEKEND STORE>


(Photo by Reo Takahashi)

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(Photo by Reo Takahashi)

(Photo by Reo Takahashi)

住所:東京都目黒区東山3-18-9-B1F
 
ウェブサイト:http://www.allyours.jp/
 
ブログ:http://allyoursjapan.blogspot.jp/
 
取材・撮影場所:レインボー倉庫

(Photo by Reo Takahashi)

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