「今着てる服に“誇り”を持ってますか?」若き女性が訴えるトレンドではなく、自分を信じる“幸せな消費”


 

ワンシーズンのうちに何度も新たな製品が市場に流れ、トレンドが目まぐるしいスピードで変化するファッション業界。自分の好みすら把握できないまま、ただ闇雲に「トレンド」に便乗している人が大半ではないだろうか?

しかし実は、ただただトレンドという言葉に踊らされる“残念な服選び”はあなた自身を不幸にする。一瞬の快楽のために何度も消費と廃棄を繰り返すことに疲れてきた人もいるのではないか。実は、その疲労感はファッション業界が持つ課題にもつながっているのだ。

学生時代にソーシャルビジネスのバッグブランドを立ち上げ、現在は衣服生産のプラットフォームを提供する「シタテル株式会社」に勤務する若尾真実さんは「最近になり、服を売る人も、作る人も、着る人も、みんなが“誇り”を持てるのが理想的なんじゃないかと、少し見えてきた気がします」と語る。

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彼女がシタテルに入社したのは、「プラットフォームやテクノロジーの力であれば、個人の力やブランドの力だけでは解決できないファッション業界の課題に根本からアプローチできるのではないか」と考えたから。今回のインタビューでは、彼女が持つ“ファッションへの違和感”を伺いながら、次世代のファッションを紐解くキーワードを考えたい。

「私たちの着ている服が、誰かを不幸にするかもしれない」。身近な社会問題を知った学生時代

 現在24歳の彼女がファッションに目を向けるようになったのは大学生時代のこと。ファッションといっても、単に服でオシャレを楽しむことではない。もともと国際協力に関心があり、ソーシャルビジネスを勉強していた際にファッション業界の課題に触れることになる。実は自分と無関係ではないところに国際問題がある事実を知り、大変なショックを感じたそうだ。


私たちが普段から当たり前に着ている服の中には、実は過酷な労働環境から生み出されているものがあると知りました。つまり、自分が安く服を買える裏で、知らない誰かが不幸になっているかもしれない。その事実を知らないままにしておくのが嫌だったんです。

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 ファッションにおける国際問題とは、いわゆる“ファストファッション問題”である。低価格で流行の服が手に入るのは、消費者にとっては嬉しいことだ。しかし、その安価で大量生産された服は、劣悪な労働環境のなか人々が必死の思いで作り上げたものかもしれない。

 若尾さんは、自らがリーダーとなりソーシャルビジネスのプロジェクトを立ち上げた。仲間たちとバングラデシュにあるクリーンな労働環境の工場を見つけ、実際に足を運び、直談判。トートバッグをチームで企画・デザインし、生産背景を伝えながら販売することで、この社会問題を解決しようと試みたのだ。トートバッグは学生の間で話題になり、全国各地から注文が来て、約2000個を完売した。プロジェクトは今もなお後輩たちに引き継がれている。とはいえ、たった一つのブランドが業界の課題を根本から解決することは難しい。

業界の「負」を変えるのは、私たち

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 ただ、若尾さんは「ファストファッションやトレンドを否定するわけでも、フェアトレードやソーシャルビジネスを肯定したいわけでもない」と語る。たしかにファストファッションが問題の一因となっていることは間違いではないが、意識を向けるべきは“長く大切に着たい服を選んでいるか”だ。

 ファッションは次々にトレンドが変わる。企業は利潤を追求するために、大量発注することでコストを抑えるが、シーズンを過ぎたら売れない服が大量に余ってしまう。消費者は、来年には流行りが終わって着れなくなるような服を安く買う。その歪みが、生産者に押し寄せるファッション業界には、こうした解決すべき“負のサイクル”がある。


ファッション業界がトレンドによって潤ってきたのも事実です。私もこれまで「今年の流行り」を気にし、トレンドに追いつくために服を買っていました。でも、トレンドを追いかけるのって疲れるじゃないですか。本当はそう思ってる人もいるはずです。可愛いと思って買った服が来年には着れなくなるのは、自分じゃなくて周りの価値観で買っているということですよね。

消費者が「そこまで愛着のない服を買っている」という状況は、企業も生産者も消耗していくばかり。だからこそ、消費者である私たち自身が、服を選ぶ価値観を自分自身の中に持つことが大切なのだと気づきました。

 トレンドを楽しみながらも、丁寧に想いを持って作られた服を長く大切に着たり、着なくなったら誰かにあげたり。もっとみんながハッピーになれるファッションの在り方があるんじゃないかと。

 

洋服は、機械からぺろっと出てきたわけじゃない。

 若尾さんは大学卒業後、PR会社を経て、シタテル株式会社に入社を決めた。シタテルは「服を作りたい人」と「服を作る工場」をマッチングするプラットフォームであり、ウェブ上のチャットで、誰もが自由に衣服を生産できる世界を作っている。


創造力を持った人が、必要な時に必要な分だけ作る。服を縫う人、デザインする人、着る人が、より近くてシンプルな関係になる。シタテルはその仕組みを構築するサービスを提供しているので、私の目指すビジョンが叶うのではないかと思いました。

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 シタテルは、国内300以上もの縫製工場や生地メーカーと提携。生産ラインの稼働率をテクノロジーで可視化し、稼働していない時期を洗い出すことに成功した。工場の閑散期を利用することで、小ロットでの生産が実現しやすい環境を作り出している。

 現在サービスを利用している多くは、国内外のコレクションに挑戦するデザイナーズブランドや個人のデザイナー、オリジナルチームウェアを作る企業。“想いを込めたものを必要な分だけつくれる”というインフラがあることで、コミュニティ内で服を作って着たり、身近な人がデザインした服を買うことができたりする。


店頭に同じ服が何枚も並んでる光景からは、一つ一つ誰かが頭を悩ませてデザインし、誰かがミシンで手作業していることを想像できないじゃないですか。機械からペロッと出てきたのかなって。でも本当はそうじゃなくて。作り手やデザイナーの顔が思い浮かぶような服なら、「もっと大切に着よう」とファッションへの価値観が変わるはず。

つまり、服を売る人も、作る人も、着る人も、みんなが“誇り”を持っている状態が、幸せな消費と生産を増やしていくと思うんです。ひいては、消耗しているファッション業界を変えていくかもしれない。

テクノロジーと人が手を取り、想いを持って作りたい服を作ることができ、自由に衣服が作れる環境を作る。世界中の人が着たい服を着られることで、彩り豊かな人生を送れるようにする。それが私たちのビジョンです。

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トレンドよりも、自分を信じる。ファッションは“身体と一体化するアイデンティティー”

 ひょっとすると「オシャレ」の定義が変わるかもしれない。ファッションを「トレンドに乗っています」とアピールする手段手段だけでなく、「自分のアイデンティティーを示す手段」だと思うことで、私たちの生活はもっと豊かになり、オシャレを通して幸せな人生を送れるはずだ。


服は自分の身体と一体化するもの。着ていることがブランドメッセージへの共感を表し、選んだ服が着ている人のアイデンティティーになります。最近、自分の価値観を持っている人、コミュニティで服を買う人、ものを大切にする人たちがオシャレだという風潮に変わってきているように思います。シタテルがそういった時代の変革を、服づくりの観点から支えていくことで、ファッション業界全体が明るくなるのではないかと思っています。

 若尾さんが描くファッションの未来に共感したなら、一度立ち止まって自分に問いかけてみて欲しい。「今日着ている服を、私は本当に好きなのだろうか?」きっとそのとき、次世代のファッションを紐解くキーワードが「誇り」だと気づくだろう。

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シタテルPR MAMI WAKAO

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All photos by Elena Egorova
Text by Mitsufumi Obara
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