1世代ごとに寿命「−10歳」。ゴミ化する「現代食」に変革を起こす料理人ジェイミー・オリバー


現代の食を取り巻く問題に、真っ向から立ち向かう「食の革命家」がイギリスに存在する。世界中の人々にそのクリエイティブな料理で愛されている彼の名は、ジェイミー・オリヴァー氏。

彼は、学校給食を通して未来を担う子供逹への食の教育や、学校を中退した若者などに料理を教えるなど、食を通してあらゆる社会貢献を行っているのだ。近代化して健康的な食事から離れてしまった現代の日本人にも、彼の革命が今必要だ。

ジャンク化が止まらない世界

 世界の途上国の飢えが問題視される中、先進国と呼ばれる国では、飽食するほど食べ物があるにもかかわらず、その食べ物が工業化、ジャンク化し、不自然なものとなり、私たちの健康を蝕んでいる。

 日本でも私たちが口にする加工食品やインスタント食品には必ずと言ってよいほど、たくさんの添加物が入っている。利益主義の現代では、法に触れていなければ、健康よりも利益を重視して防腐剤などの添加物をふんだんに使うことができる。手軽で安価なコンビニ食品や加工食品、インスタント食品などの食品表示を見れば、そこにたくさんの添加物が記載されていることがわかるだろう。

(Photo by Erica Minton)

(Photo by Erica Minton)

世界有数の不健康国「アメリカ」

 ジェイミー氏は過去にTED Talksで「今こそ食の革命が必要だ」と訴えた。そのスピーチの中で彼は、アメリカが世界有数の不健康な国であることや、きちんとした家庭料理を知らない環境で育った子供達が食の知識がなく若くして病気にかかっていること、現代食のせいで、アメリカ人の寿命が1世代ごとに10歳も短くなっていること、統計上アメリカ人の3分の2は太り気味か肥満だということなどを明かした。(参照元:TED

 そして、その原因は、他でもなくジャンクフードを子供の頃から食べる環境だと警鐘を鳴らした。また、アメリカの学校給食には香料や砂糖が添加された牛乳が出されているということも語った。牛乳1パックに入っている砂糖は、なんと缶の炭酸飲料と同じ量だという。その理由はその方が子供達が牛乳と飲むということからだそうだが、それは子供の健康を考えられているものとは思えない。

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(Photo by Red Maxwell)

学校給食などを中心に子供に食の教育をする

子供に食の教育を」というスローガンを掲げてキッチンガーデンというプロジェクトをしているジェイミー氏。次の世代を担う子供たちに正しい食の知識を与えること、つまり「食育」で、ジャンクフードの連鎖を断ち切る。彼は「料理」を、算数や国語のような生きるのに必要不可欠なスキルだと考えている。料理を知ることで、健康な体を維持することができ、長く生きることができのだから。

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(Photo by foodrev)

 キッチンガーデンプロジェクトでは主に、ジェイミー氏率いる専門家チームが、子供達に野菜を種から育てることを教え、収穫し、料理して食べる楽しさを教え、食の大切さを体験させている。もちろんジェイミー氏オリジナルの健康に気を配ったレシピで料理する。

 また彼は、学校を中退した若者や、失業中の若者に本格的な料理を学ぶチャンスを与える「フィフティーン」というプロジェクトもロンドンで立ち上げている。なんと彼がこれまでに育成した若きシェフは164人にも及ぶ。

 

“若い人の中でも才能はあるのに、家の事情などでその才能を隠されてしまっている若者が多いと思うんだ。僕がフィフティーンを立ち上げたのは、そんな彼らの才能が、情熱や有意義な仕事を通して開花させることが目的なんだ”

 そう彼は自身のホームベージで語る。彼は社会的に弱者になる若者たちにも、才能が同じように与えられていることに気がつき、チャンス次第で彼らの道が開けると信じ、このプロジェクトを立ち上げた。ジェイミー氏はもはや、ただのクールな料理人ではなく、社会全体の食に通じる問題に目を配り、自らが実行し、革命を起こしているのだ。

 

“フィフティーンは、僕だったらこういう風に教えてもらいたいと思うことをやってるんだ。そこにはたくさんの僕の好きなことや、情熱を感じることが含まれている。ただの料理ビジネスではなく、仲間や家族のためでもあるんだ”

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(Photo by foodrev)


無駄な食べ物を無くそう!

 ジェイミー氏の活動は「食育」だけではない。日本でも大きな社会問題である「食品廃棄」にも取り組んでいる。彼のウェブサイト「FOOD WASTE」によると、イギリスの各家庭で年間約10万円(£700)の食べ物が捨てられており、国民全体に計算すると約170億円(£12億)にもなるという。しかも食べ物だけではなく、水や肥料などの育てる段階で使われた資源や、交通に使われる燃料なども合わせると、莫大な量となる。

 この現状に危機を感じた彼は、各家庭でできる「食べ物を無駄にしないための10の秘訣」を「FOOD WASTE」で公開している。

「食べ物を無駄にしないための10の秘訣」

1.一週間の食事を計画し、買い過ぎを防ぐ
2.冷蔵庫や戸棚をチェックして、買うものをリストにつける
3.「賞味期限」と「消費期限」の違いを理解する
4.熟しすぎた野菜や果物も食べる
5.食べ物を買うことや食べることを意識する
6.形が小さいため無駄にされる若鶏の卵を買う
7.冷蔵庫の気温設定を確認する
8.パスタやお米をきちんと計る
9.余り物は保存袋に入れ冷凍させ、忙しい日の食事にする
10.ジェイミーの本を見て、もっと節約する

(参照:FOOD WASTE)

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(Photo by Arun Joseph)

「一人が変われば、社会が変わる」

 欧米の食文化にフォーカスしてきたが、現代の日本の食文化も絶望的だ。遺産遺伝子組換え作物、食品添加物、農薬を使用した作物など「不自然な食品」が市場に溢れ、「もったいない」の精神も薄れ「年間約1,700万トン」もの食品廃棄物を排出している。(参照:農林水産相) 

 そんな中、「一人が変われば、社会が変わる」と信じ、未来を担う子供達に食の大切さを教え、無駄になる食べ物への解決策を模索するジェイミー氏。彼の料理は、美味しいだけではなく、「食を通じて社会を良くしたい」という“熱い思い”が込められているのだ。革新的で本質的な発想を世の中に提案し続けている食の革命家ジェイミー氏は、日本の食に革命を起こすきっかけを与えてくれる存在なのではないだろうか。

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(Photo by foodrev)

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Text by バンベニ 桃
ーBe inspired!

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