「普通の顔」が、あなたの価値観をひっくり返す


モデルでもなく、有名人でもない。
 
この顔の主は誰?


 
 
巨大に引き延ばされる、一般人の“顔”

私たちが街で、ポスターなどの大きく引き伸ばされた「顔」を見るとしたら、それは常に整った顔だちの女優やアイドル、もしくはスポーツ選手などの有名人だ。
 
私たちが普段目にする「大きな顔」は、広告媒体として宣伝のために使われる「綺麗な顔」である。
 
そんな「顔写真」の概念を覆し、世界に衝撃を与え続けているアーティストがいる。
 
その名もJR
 
謎に包まれたフランスのストリートアーティストだ。
 
JRが自身のアートで最大のモチーフとしているのが、人間の「顔」である。
 
被写体となるのはモデルや有名人ではなく、その土地に暮らす一般人。
 
JRのプロジェクトは、とにかくスケールが大きい。
 
人の顔を巨大に引き延ばしたモノクロ写真を、壁や電車、家の屋根などに貼っていく。
 
街全体を巻き込む壮大なアートだ。

 
 
敵と味方が交互に並ぶ「Face2Faceプロジェクト」

プロジェクトの内容は、イスラエル人とパレスチナ人に思い思いの顔をしてもらって撮って写真を大きく引き延ばし、タクシードライバー、弁護士など、同じ職業の人同士を並べてイスラエルとパレスチナの街中に貼るというもの。
 
パレスチナの街角に大きく貼りだされた人の顔。
 
交互に並べられたパレスチナ人とイスラエル人の顔を見て、パレスチナ人は首をかしげる。
 
敵だと思っているイスラエル人の顔がどちらなのか、わからないのだ。
 
人種の差や宗教の違いはあっても、情報が削ぎ落された「顔」の中には敵も味方も存在せず、相手も自分たちと変わらない同じ人間であることに人々は気付かされる。



 
 
女性の哀しみと怒り、生きる力を映し出す「Women are Heros(女こそがヒーロー)」

(Photo by JR)

(Photo by JR)

度重なる戦争、貧困、暴力、抑圧の犠牲となる女性達の尊厳を取り戻すため、JRは、ブラジル、インド、カンボジア、そしてアフリカの様々な都市で女性達にインタビューし、撮影した写真を巨大なプリントにして、現地の人たちと共に壁や屋根に直接貼った。
 
プロジェクトについてJRはこう語る。
 
「さまざまな大陸に行っていろいろな話を聞いても、彼女たちの複雑な葛藤をすべて理解できるわけではありません。
 
ただ傍観するしかなく、言葉も出ず、意見も言えず、涙を流すしかないこともありました。
 
僕は彼女たちの写真を撮って貼るだけです。」

(Photo by JR)

(Photo by JR)


(Photo by JR)

(Photo by JR)


 
 
アートで世界を変えることは出来ないが

(Photo by JR)

(Photo by JR)

JRの作品を見ていると、一般人の飾らない顔の中に、その人の生きざまや悲哀、力強さ、美しさが満ち溢れていることに気付かされる。
 
目は口ほどにものを言うという言葉があるが、声にならない訴えやその人の本質を表すのに「顔」は、時として、言葉よりも雄弁なのかもしれない。
 
「アートで世界を変えることはできない」とJRは話す。
 
「しかし、アートで世界の見方を変えることはできる」と。
 
その人間の人種や生い立ち、宗教、価値観など、あらゆる情報を削ぎ落して裸になった“顔”の中に、私たちは何を見るのだろうか。
 
そこには普段カメラの前に立つことのない素人の顔にしかない力強さがある。
 
瞳の綺麗さやシワの深み、おちゃめな表情。
 
どんな人間の顔も美しく、それは人種や宗教、性の垣根を超えた普遍的な美があるということが見る者は気づかされる。
 
では、私たちを差別や戦いに走らせるものとは一体何なのだろうか。
 
裸になった「顔」を突きつけられて、私たちは今一度考えさせられることになるだろう。

 
 

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