ビーサンをアートへ昇華。ナイロビの無職の人々が20年かけて築き上げた、「ゴミ」を「お金」にする方法


もうすぐ夏の大型連休がやってくる。海に泳ぎに行ったり、ビーチフェスの計画を立てている人もいるだろう。もちろん多くの人がそこで出た自分のゴミは持って帰っているはずだが、中にはごくまれにそのまま海辺に捨てていく人もゼロではない。では、そのゴミは一体どうなるのか。それらは日本から遠く離れたケニアの海にたどり着き、雇用を生み、そして我々に警告を与えはじめている。

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きっかけは観光客が捨てた、「ビーチサンダル」

 アフリカの東に位置するケニア共和制国家のナイロビにあるキワユビーチ。このビーチは世界中から多くの観光客が訪れる美しいリゾート地だ。しかし、それと同時に深刻なゴミ問題を抱えている。ゴミの多くはビーチサンダルで、観光客たちがそこに捨てて帰ったもの。そして世界のどこかの地域からたどり着いたものもある。その量は年間90トンにも及び、これらは自然に還ることのないゴミのため、ここに住む住民たちを苦しめていた。(参照元:CNN

 しかし、このビーチサンダルのゴミをアート作品や小物に変え、お金を生むことに成功した集団がいる。『Ocean Sole(オーシャンソール)』だ。彼らがこの活動を始めたきっかけは約20年前、Ocean Soleの代表で当時ナイロビで環境活動家として活動していたJulie Church(ジュリー・チャーチ)さんが、捨てられゆくビーチサンダルでモノ作りを楽しむ子供たちを見たことだ。彼女はそこでひらめき、カラフルなビーチサンダルの色を活かし、まずは小物やアクセサリーを作って販売することを開始した。(参照元:YOUNGECONOMICSUMMIT

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「ゴミの山」が生んだ「雇用」

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 最初は3人で活動していたのだが、ビーチサンダルのゴミはどんなに回収しても増える一方。だが、皮肉にも彼らが作った商品はゴミを出したかもしれない観光客たちに評判だったこともあって、事業はみるみると拡大した。今ではゴミを集める人、キレイにして選別する人、素材を切る人、そして作品を作る人と言ったように作業を分担し、計100人もの人たちがここで働いている。この仕事は、“40パーセントの国民が失業者”というナイロビの人たちの大きな経済的支えにもなっていった。(参照元:materia)従業員の一人はこう話す。

これまでは靴を買うお金さえなかった自分が、ナイロビで仕事を見つけたの。今は子どもに十分な食事と教育を与えられているわ。それに、最も素晴らしいことは私が従業員となったことで社会保障が受けられるようになったことね。

(引用元:BITTERSWEET

 またシングルマザーだと言う別の従業員も、「この仕事に就くまではナイトクラブで働くしかなかったが、今はゴミを集めることでお金が得られる」と喜んでいる。

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 しかし同時に、「環境を守ることができて嬉しい」、「自然が破壊されていることは知っていたから、この事業に参加できてよかった」と、雇用だけを利点だとしない声も聞こえてくるそうだ。(引用元:Ocean Sole FLIPTHEFLOP

 彼らはお金を生み出し、自分や家族を助けられたことを嬉しく思うと同時に、あくまでもこの活動は海洋保全であることを忘れていない。その給料はもちろん先進国に比べたら多額ではないものの、今でも収入の10パーセント寄付し、自然を守るための費用に回している。(参照元:Ocean Sole FLIPTHEFLOP

事業の拡大は「目的」ではない

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 そんな彼らの事業は現在、世界に向けても展開されており、ローマのファッションウィークに出展し、その存在をアピールしたり、投資家と組んでホテルなどにも置けるような大きな作品を作って購買者のターゲットも広げている。(参照:OceanSole公式Facebookページ)そして、販売地域も日本も含めた先進国に絞り、商品がより売れるように交渉を続けているそうだ。しかし「これがゴールではない」と、創設者のジュリーさんははっきりと言う。

グッズを買って支援してくれる人がいることは嬉しいですが、そこで終わりではありません。そこから購買者たちが自然について考えることが必要なんです。次にあなたは何ができるのか、“第二のOcean Sole”になるためには何が必要なのかを考えてもらいたいです

(引用元:YouTube

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 彼らは今、次なるステップとしてナイロビ以外のスラム街で自然を守りながら雇用を生むことを計画している。スラム街に行きついた多くのゴミが、また何かに化けることができないかと考えているのだ。

私たちのゴミを拾う、ナイロビの人々

 残念なことに、ナイロビは多くのゴミが流れ付く先の一つで、その量は年々増え続けている。そしてそれが環境だけではなく、街の景観も壊しているのだ。Ocean Soleはその問題も解決すべく、今では清掃デーなるものを設け、有志で集まった400~500人のボランティアたちとビーチのゴミを拾っている。

 「人々がゴミがどれだけあるのかの現実と向き合い、リサイクルに理解を示す必要があります」と、ジュリーさんは言う。

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 しかしそのゴミは一体どこから来たのか?実はその大部分が先進国で捨てられたもので、たまたまナイロビに辿り着いただけのものなのだ。となると当事者ではないナイロビの人たちがゴミを集め仕事にし、やっと得た賃金からも環境のために寄付をしているのだ。ゴミを出している当事者かもしれない私たちはそのことをどれだけ知っているのか。私たちの意識の低さを指摘するかのように、ジュリーさんはこう警告する。

人々は海がゴミで溢れかえっていることにもっと恐怖を抱くべきよ。そこがなければ何も解決はできません。

(引用元:YouTube

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 リサイクルや環境を守ることが叫ばれていても、実際にはこのままいくとゴミの量は10年後には今の2倍になるそうだ。私たちは彼らの活動を見て「素晴らしい」の一言で片づけてはならない。寄付することやリサイクルをすることで満足をするのではなく、まずはこの現状をもっと真剣に受け止めなければならないだろう。

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Ocean Sole

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All photos by OceanSoleFLIPTHEFLOP & OceanSole
Text by Asuka Yoshida
ーBe inspired!

 

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