バナナがインドの女性を救う。「土に還る生理用ナプキン」とは?


生理用品の値段が高い!

これは日本の多くの女性が抱えている不満なのではないだろうか。自分でコントロールすることが出来ない上に基本的に毎月必要な消耗品だからこそ、安くして欲しいと思ってしまうもの。

一方インドでは、そもそも生理用品が手に入らないという根本的な問題が存在する。これは、インドの女性の健康や教育、仕事などに関わる深刻な問題だ。

インドの人口の16%の女性しか使っていない生理用品という「贅沢品」。

Photo by Sean Ellis

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 実は、インドでは人口の16%の富裕層の女性しか生理用品を買えないという。(参照元:CNN)インドの人口の70%は田舎の農村地域に集中しており、田舎と都市の経済面や生活の質の格差は著しい。(参照元:ACADEMIA)農村では一人が1年で平均的に健康のために費やすお金はたったの約111円ほど。(参照元:NCAER Center for Macro Consumer Research)生理用ナプキンは一つにつき約9円から22円かかるため低所得者にとっては贅沢品なのである。(参照元:CNN

 それでは、ナプキンの代わりに何を使うのかというと、ボロ布や乾いた葉っぱ、または灰が使用されるそうだ。無論、衛生面を考えると安全とは言えない。不衛生な物をナプキン代わりに使う女性たちの中には病気にかかったり、最悪の場合は死に至るケースもある。

 また、生理用品が買えないのを理由に学校や仕事を休む女性が多く、インドの女性は仕事や学校を一年で最高50日間も休んでいるそうだ。(参照元:Forbes)これではキャリアや学業への遅れは避けられない。さらに、The 2011 Nielsen studyによると、北インドでは生理が始まってから学校にいくのをやめた少女の比率は30%にまで上るという。生理用ナプキンが買えないという事実は、女性たちの人生に長期的にも影を落とす。

立ち上がったのは、MITの女性機械工学者たち

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 そんな現状を知り、ショックを受けたアメリカの名門MIT(マサチューセッツ工科大学)の女性機械工学者たちが立ち上がり、2015年に生理用ナプキンブランドSaathiを起業した。「Saathi」とはヒンドゥー語で「仲間、連れ、友」を意味する。生理用品が女性の大切な「お供」であることからこの名前をつけたそうだ。

 もともと、創設者の一人であるクリスティン・カゲツが在学中に行っていたプロジェクトが基盤となっている同社は、都心でナプキンを一つ約24円で販売し、農村地域には無料で配給する予定。

 同時に、インド国内の87%の女性が生理の知識がない(ユニセフ調べ)という状況を改善するために、NGOのEkal Vidayalayaと共に、農村地域の女性に対して生理に関する教育を行うプログラムを発足。

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 商業発表は2017年の2月にインドのアフマダーバードで行われた。 2017年内になんと100万個ものナプキンをインドの農村地域に支給する予定だそうだ。

環境問題にも挑戦

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 100万個を無料で配給することを目指す社会起業家精神もさることならが、Saathiの唯一無二の特徴はプロダクトが捨てられるはずのバナナの木の幹から出来ているところにある。

 生理用品がインドだけでも43,000トンのプラスチックのゴミになっていることに衝撃を受けた創設者たちは環境に負担がかからず、安くて、ローカルに生産され、地元の労働者へ利益となるような素材を探していた。そして出会ったのが、バナナの木だ。

 バナナの木の幹は吸収性が高く、ナプキンの素材として適していた。6ヶ月以上にわたる試行錯誤の上、開発されたナプキンはパッケージにいたるまでの工程で一切化学物質やプラスチックを使っておらず、人の肌にも環境にも優しい。当然のことながらバナナの木の幹は生物分解性があるため、一般的な生理用品は腐敗して土に吸収されるのに500年かかるところを、Saathiのナプキンは6ヶ月で土に還るのだ。

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 しかもこれまでインドのバナナの産業内ではバナナの木の幹は捨てていたため、これをSaathiが買い取ることによって、現地の業者の人の利益にもなるような仕組みになっている。

 ナプキンを買うことができず苦しんでいたり、将来への機会を逃しているインドの女性たちを救うだけでなく、同時にゴミを減らすオプションを提示し環境問題へも挑むSaathi。普段「生理用品」についてあまり考えるきっかけもないかもしれないが、インドの多くの女性の人生、そして社会を変える力を持っているようだ。

 「土に還るナプキン」はすでにアメリカ国内からもラブコールを受けているようで、インド以外の国際展開も考えているそう。ゴミの排出量世界トップ10にランクインする日本(参照元:GLOBAL NOTE)にも必要な商品なのではないだろうか。

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Saathi

All photos by Saathi unless otherwise stated.
Text by Noemi Minami
ーBe inspired!

 

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