#003 ゴミはいつ「ゴミ」になるのか| マイノリティに目を向ける。UNITED PEOPLE アーヤ藍の「シネマアイ」


この連載では、毎回、ユナイテッドピープルが届ける映画を少しずつ紹介しながら、世界で起きている問題に触れたり、そこから日本との繋がりを見つめたりするような記事をお届けしていきます。

(Photo by Reo Takahashi)

(Photo by Reo Takahashi)

途上国への支援食糧の2倍を捨てている日本の「フードロス」

 忘年会、新年会が増える季節。宴会となれば、帰り際にはテーブルの上に食べ残しがあることだろう。自宅の冷蔵庫の中の食材が賞味期限切れになり、処分することも増えるかもしれない。

 棄てられる食料、いわゆる「フードロス」。その量を知っているだろうか。

 世界では、生産される食料の3分の1が廃棄され、その重さは13億トンにのぼる。日本では年間約1700万トンの食料が廃棄され、このうち、まだ食べられるのに棄てられている量は、500〜800万トンだ。

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(Photo by(C)Mischief Films)

 一方、世界で食料を必要としている人たちへ送られている食料援助量は、世界全体で約400万トン。援助量の約2倍の食料が、日本では捨てられていることになる。

 そんな矛盾が生じているフードロスを、なんとか減らそうと立ち上がった一人の男性がいる。

 オーストリア人のジャーナリストで、自称「食材救出人」でもあるダーヴィド・グロスだ。

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(Photo by(C)Mischief Films)

 「捨てられてしまう食材を救い出し、おいしい料理に変身させよう!」

 そう考えたダーヴィドは、植物油で走れるように自ら改造した車に、ゴミ箱でつくった特製キッチンを取り付け、ヨーロッパ5カ国の旅へと出発する。

 各地で食材の無駄をなくすために、ユニークでおいしく楽しい取り組みをしている人々に出会っていく様子を映像に収めたドキュメンタリーが『0円キッチン』(原題:wastecooking)だ。

※動画が見られない方はこちら

 例えば、一般家庭を突撃訪問し、捨てる予定の食材や賞味期限切れの食材を回収、それらをグルメシェフとともに美味しい料理に大変身させる。

 あるいは、欧州議会の食堂で総料理長とともに、余り食材を使ったゲリラ料理を行ない、議員や職員たちに突撃インタビューをするなど…。

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(Photo by(C)Mischief Films)

 分かりやすく「捨てられる」食料だけではない。

 規格外野菜は市場に並ぶことなく無駄になっている。「食べられる」ことが知られていないために、活用されていない野草や自生の果物も多い。

 さらに、未来の食として可能性を秘める昆虫食にも、この作品は触れている。

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(Photo by(C)Mischief Films)

 そんな様々な視点からフードロスをとらえた映画『0円キッチン』。通底しているのは「明るく楽しく伝える」ということ。

 「楽しくないと廃棄食材を減らす真意は伝わらない。」

 そう映画の中で語るダーヴィドの想いが形になった、明るく楽しい、エンターテイメント・ロードムービー『0円キッチン』は、2017年1月21日(土)からアップリンク渋谷ほか全国で順次公開になる。

(Photo by (C)Mischief Films)

(Photo by(C)Mischief Films)


公式サイト:
http://unitedpeople.jp/wastecooking/

監督ダーヴィド来日のためのクラウドファンディング実施中:
https://motion-gallery.net/projects/zerokitchen

 

「宝物」と「ガラクタ」は紙一重

 『0円キッチン』を見ていると、捨てられる予定の「ゴミ」にまだまだ「命」が宿っていることを感じる。

 同じように「ゴミ」とは何かを考えさせられる映画が『台北カフェ・ストーリー』だ。

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(Photo by(C) 台北カフェ・ストーリー)

 ある姉妹が台北で念願のカフェを開く。

 横着な元同僚や友人たちが”開店祝い”に持ち寄ったのは、自分がいらなくなったもの。店内はあっという間に”ガラクタ”だらけに。

 邪魔になるため、処分しようと思っていたところ、ある日訪れたお客さんが、姉妹にとっては”ゴミ”でしかない古いレシピを、ぜひ欲しいという。それを聞いた妹はふと物々交換をすることを思いつく。

 以降、姉妹のカフェでは、「自分がいらなくなったもの」を持ち寄り、「自分がほしいもの」を持ち帰る、物々交換が広がっていく。

※動画が見られない方はこちら

 誰かにとってのガラクタが、誰かにとっては宝物になりうる。

 ある人の手元にあれば、ゴミ箱に入れられ、物の「命」が終わりを迎えるのに、別の誰かの元に行けば、まだまだ「命」が続く。

 モノの価値はどこにあるのか。自分にとって大切なモノは何か。

 そんなことを、穏やかにじんわりと考えさせられる作品だ。

(Photo by (C) 台北カフェ・ストーリー)

(Photo by(C) 台北カフェ・ストーリー)


公式サイト:
http://www.taipeicafe.net

市民上映会開催情報:
http://goo.gl/8U6e8b

 
 これから、クリスマス、年末年始と、物を買うことも、逆に片付けることも増える時期。食べ物も物質的な「モノ」も、そこに宿る命をいま一度感じるためのキッカケを、2作品を通じて得てみてはどうだろうか。

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Text by Ai Ayah
ーBe inspired!

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