27杯目:伝統よりも大事なことがある。17カ国で未だに続く「女性器を切除する風習」を2030年までになくそう。#EndFGM|「丼」じゃなくて「#」で読み解く、現代社会


FGM(Female genital mutilation)」という言葉を聞いたことがあるだろうか。

「女子割礼」または「女性器切除」などと呼ばれることもある。一部の地域で現在まで続く風習だが、国際社会から女性の権利を侵害しているという理由で批判されている。実際のところ、FGMとはどのようなものなのだろうか。

Photo by UNFPA Tanzania

Photo by UNFPA Tanzania

「女性の性器を切除する」という風習

 FGM(Female genital mutilation)は、アフリカ、中東、アジアの一部の地域で今もなお続く、女性の性器を切除する通過儀礼のことだ。世界30ヶ国で2億人の女性がFGMを施された経験があり、ソマリアやギニア、ジプチにおいては15歳から49歳の女性の9割以上にのぼる。

 彼女たちは、幼児から15歳までの低年齢で、数人に押さえつけられて無理やり性器の一部または全部を切除され、トゲなどで穴を開けたところに糸を通し、性器を縫って塞がれる。そして結婚するまでは、性器をほぼ塞がれたままで過ごさなければならない。

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Photo by The Advocacy Project

 FGMは少女の処女性を保つためだとされ、その風習のある地域ではFGMを受けていないと結婚できない。また、4000年以上の歴史がある風習のため、家族がその辛さを知っていても世間体を気にして拒否しないことが考えられる。

 このように低年齢で選択の余地のないまま、将来結婚させられる男性が求める処女性や世間体のために女性の身体をひどく傷つけるFGMは、それが行われている国の「男尊女卑」の甚だしさを表している。(参照元:Unicef, United Nations, United Nations Population Fund, WHO, 日経ビジネスオンライン

利点のない「性器切除」がもたらす危険性

 FGMは医療の専門家ではない人物により、不衛生な刃物で麻酔をせずに施されるため、女性の身体にかなりの危険が生じる。

 出血多量や感染症、出産の際のリスクなどを引き起こし、死に至るケースもある。また、死亡とまでいかなくても排尿と生理のために残されたわずかな穴を通じて尿をするたび生理が来るたび、甚だしい痛みに耐えなければならないのだ。

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Photo by @vinspired

 世界には男性の性器に施される通過儀礼も存在する。ユダヤ教徒やイスラム教徒、アフリカやオセアニア、アジア、ヨーロッパの一部の地域の男性が受ける、男性器の包皮の一部を切除する割礼の場合、性器を清潔に保てたりHIVの予防になるなど医学的に利点がある。

 しかしながら、女性器の切除の風習はそれと異なり、医学的な利点が全くない。したがって、伝統的な風習であったとしても女性の身体を傷つけ、身体的そして精神的な後遺症を残すFGMには廃止すべき理由がある。(参照元: United Nations, United Nations Population Fund, WHO, 日経ビジネスオンライン

スーパーモデルが取り組んだ「性器切除」の撲滅

 FGMに対する取り組みをした人といえば、80年代から90年代にかけて大変な活躍をしたソマリア出身の世界的スーパーモデルのWaris Dirie(ワリス・ディリー)が有名だ。人気の絶頂の1997年にはマリクレール誌のインタビューで自身が経験したFGMの苦しみを話し、多くの人に読まれた。

 同年には国連のFGM廃絶大使に任命され、基金への資金提供を募ったり政治家や有名人に働きかけるなど精力的に活動し、結果的にアフリカの14の国々が法律でFGMを廃止した。さらに彼女は1998年に出版した自身の著書『Desert Flower: The Extraordinary Journey of a Desert Nomad(砂漠の女ワリス)』のなかでもFGMについて綴っているが、これはベストセラーになっただけではなく映画化もされた。彼女の活動は現在にいたっても続けられている。

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中心でトロフィーを持っているのがワリス
Photo by Lynne Featherstone

 ワリスの姉はFGMによる出血多量、従妹は感染症で死亡している。一方、ワリス自身は運よく1ヶ月程度で治癒したが、ロンドンで縫合された部分を開く手術を受けるまで度々激しい痛みを抱えていた。

 また、13歳のとき父親にラクダ5頭と引き換えに老人との結婚を決められたが、その結婚から逃れるために家出をし、ソマリアの首都から在英ソマリア大使の祖父とロンドンまで渡り、路上生活を経てスーパーモデルとなったバイタリティ溢れる彼女でも、乗り越えるのに困難を極めたのがFGMによる精神的な苦痛だったという。(参照元:日経ビジネスオンライン, 映画 デザートフラワー公式サイト

2030年までに「性器切除」をなくせるように。#EndFGM

 国連が2017年2月に設定した目標は「2030年までにFGMをなくす」というものだ。国連は「#EndFGM(FGMをなくそう)」のハッシュタグを使い、国際社会や世界の市民に向けて「性器切除」の問題の提起をしている。

※動画が見られない方はこちら

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少女たちの権利を話し合う、人権運動家のマララ・ユスフザイ(右)と多くのチャリティ活動を行う俳優のフリーダ・ピント(左)
Photo by DFID – Department for International Development

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Photo by @monaeltahawy

 これには国連だけでなく、その他の国際的な組織やNGOなどの団体も取り組んでいる。具体的にどのようにしてこの風習をなくすのかというと、UNFPA(国際連合人口基金)とUNICEF(国際連合児童基金)が共同でFGM廃絶プログラムを先導し、AU(アフリカ連合)やEU(ヨーロッパ連合)などの機関の力を借り、FGMの廃止を法律で定めていない国の政府が法を整備するように働きかけている。(参照元:United Nations

 私たちにとっては遠い国の話かもしれないFGMの問題。そんな問題も自分のことのように考えられる人が増えれば、世界はより良いものになっていくのだろう。

Text by Shiori Kirigaya
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