「アジア人は表情豊かじゃない」そんな発言を撤回させるべく動き出した怒れるアジア人たち #ExpressiveAsians|「丼」じゃなくて「#」で読み解く、現代社会 #048

Text: Shizuka Kimura

Cover photography: Remi Yuan

2017.9.26

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日本の伝説的漫画「攻殻機動隊」がハリウッドでの映画化決定を果たし、その主役が日本人ではなく白人系女優スカーレット・ヨハンソンだという事実がアメリカで問題になった。

原作では主人公がアジア人なのに、映画では白人がその役を演じていることをWhitewashing(ホワイトウォッシング)と呼び、近年これは有色人種に対する差別ではないかと議論されている。

それにもかかわらず、2016年に出版されたある著書の中でのハリウッド業界人のある発言が多くのアジア人を怒らせている。

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アジア人は表情が豊かでない

社会学者の Nancy Wang Yuen(ナンシー・ワン・ユエン )さんの著書「Reel Inequality: Hollywood Actors and Racism」の一節で、ハリウッドの配役を決めるあるディレクターが「アジア系俳優は表情が豊かでないから配役しにくい」と発言したことが述べられている。

この一節に対してツイッター上で、多くの人が怒りの声をあげた。アジア人は表情が乏しいという偏見に対して、表情が豊かであることを示すため、#ExpressiveAsians(表情豊かなアジア人)を用いてさまざまな感情を表すアジア人の写真をSNS上に投稿する動きが高まっている。

始まりは、Maurene Goo(モーリン・グー)さんというアジア系の女性が中指を立て怒りを表しているこの投稿だ。

他のアジア人女性は、「これが私が本当に輝いているとき」と題してアジア人としての自身の感情表現の豊かさを証明するために大きく表情を変えたセルフィーを投稿している。

また、欧米の俳優が体全体で表現するよりも複雑な感情を香港人俳優トニー・レオンは目だけで表すことができると、アジア系俳優への注目を促すような投稿をしてこのムーブメントに参加している人もいる。

さらに表情が豊かかどうかという問題は、人種による違いではないことを訴えるため、あえてアジア人以外の俳優の表情が豊かでない画像も。

このムーブメントによって、今まで見過ごされていたアジア人に対する偏見が広く知られ、改めて人種問題について考える人が増えているようだ。後を絶たない人種問題に対し、他の人種からアジア人はどう見られているのかを理解し、ひとつずつ偏見をなくしていくしかないのだろう。

同時に、それらについて考えることはアジア人の魅力とは何かを再発見する機会だとポジティブに考えることもできる。あなたも#ExpressiveAsiansに参加してみてはどうだろうか。

※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

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