3人に1人がDV被害者のアメリカで始まった学生による「DV被害者の無料の引っ越しサービス」の意義とは #MoveToEndDV|「丼」じゃなくて「#」で読み解く、現代社会 #043

Text: NEUT編集部

Photography: Meathead Movers

2017.8.22

Share
Tweet

パートナーからの殴る・蹴るなどの「身体的な暴力」、心を傷つけられる言動などの「精神的な暴力」、暴行を用いた性的行為の強要などの「性的な暴力」。

これらはどれもDV(家庭内暴力、ドメスティックバイオレンス)に該当する暴力の形態で、日本では女性の3人に1人が被害にあっており、男性の被害者の報告数も近年増えている。(参照元:内閣府男女共同参画局東洋経済オンライン産経ニュース

今日の言葉:あなたには価値がある!#MoveToEndDV
(画像内)あなたには健やかな恋愛をする価値がある!

統計上日本と同様に3人に1人の女性、そして4人に1人の男性がDVの被害にあっているアメリカ(参照元:NCADV*1。同国のカリフォルニア州で事業を展開する、スポーツチームの学生たちが働く引っ越し会社「Meathead Movers(ミートヘッド・ムーバーズ)」は、法的な相談や心身のケアの専門家が揃うDV被害者向けのシェルターや支援団体と連携して、無料でDV被害者の安全な引っ越しを手伝っている。

この活動は#MoveToEndDV(DVをなくすために)*2と呼ばれ、日頃よりDV被害者への対応のトレーニングを受けている学生の従業員たちが、支援団体から連絡を受けて引っ越しを手伝うというものだ。

彼らの事業が始まったのは今から20年前の1997年のこと。高校生2人が小遣い稼ぎに始めたものだったが、評判がよかったため大学を卒業したあとも続け、同社はカリフォルニア州で最大の独立系引っ越し会社となる。

(*1)年齢の比率は異なるが、アメリカの人口は日本の2倍以上のため、DV被害者数は日本より遥かに多いと考えられる
(*2)「Move」には引っ越しの意味もある

▶︎ハッシュタグ・アクティビズムについてはこちら

width="100%"

#MoveToEndDVの活動を始めたのは、DV被害者の引っ越しを手伝ったときの経験からだ。被害者を安全な場所に避難させることの重要性を感じ、会社として「無料の引っ越しサービス」の運用を決めたという。(参照元:Meathead Movers, #MoveToEndDV

width="100%"

width="100%"

Meathead Moversで実際に引っ越しを行なっている従業員の多くはスポーツチームに所属する学生たち。活動はボランティアではないため、DV被害者を助けるという社会貢献もしながらお金を稼げ、力仕事で身体のトレーニングができると、サービスの利用者だけでなく従業員からの口コミ評価も高い。

さらにこの事業は、アメリカで大きな問題となっている、スポーツチームやフラタニティーと呼ばれる学生クラブに所属する学生によるレイプ事件を抑制する教育の場ともなる。学生にDVやその他の暴力がどれだけ相手を傷つけるかをただ教えるよりも、実際にDV被害者の支援に携わりながら学べることは少なくないだろう。

DVの問題がなくならない日本でも、DV被害者の引っ越し費用を負担するサービスは整備されてきているようだが、DV被害者を助けるだけではなく学生への教育にもなる彼らの取り組みを参考にしてみてもいいかもしれない。

Meathead Movers

WebsiteFacebookTwitterInstagram

width=“100%"

※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

Share
Tweet
★ここを分記する

series

Creative Village