53杯目:「お酒に酔ってもセクハラはNG」。イギリスのナイトクラブから始まる“小さな改革”とは。#oktoask|「丼」じゃなくて「#」で読み解く、現代社会


 

いい音楽、いい雰囲気、そのなかで楽しい時間を過ごすための夜の外出=ナイトアウト。それなのに、もしもこちらが望まないかたちで体を触られるような「セクハラ」を受けたりしたらせっかくの夜は台なしになる。しかしイギリスの世論調査会社YouGov(ユーガブ)の調査では、実に女性の35%、男性の9%が「ナイトアウト中にセクハラを受けたことがある」と回答したという。

そんなお酒によるトラブルは避けて楽しもうと呼びかけているイギリスのボランティア団体「Drinkaware」(ドリンクアウェア)は、夜間の外出におけるセクハラについて警笛を鳴らしている。

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 誘ってもないのに体を寄せてくる、避けてもしつこく近づいてくる、こちらが嫌がっているのにやめないなど、万が一セクハラ被害にあってしまった場合、ほかの誰かが気づいてくれたらどれほど心強いだろうか。「大丈夫?」と一言かけてくれる人が来たらハラサー(ハラスメントをする人)が離れてくれるかもしれないし、少なくとも、過度に騒ぐことなく拒否の意思を伝えるきっかけになりやすい。


 

 とはいえ、セクハラを避けようとするがあまり「出会い」や「お誘い」を楽しめなくなるのでは、せっかくのナイトアウトの楽しみが半減するのも事実。

 ナイトアウト先で出会った「すてきな相手と距離を縮めること」と「セクハラ」の間にハッキリと明確な境界線を引き、万が一望んでもいないの触られたり、断ってもしつこくつきまとわれたり、ましてや一方的にキスされるようなことがあれば立派なセクハラ行為だと主張するべきだが、自分ではどうしようもないシチュエーションもあるだろう。

 だからこそ、少し様子が変に見える人がいるときは、友だちだろうとまったくの他人だろうと、一言「大丈夫?」と声をかけ合おう。 ドリンクアウェアは、ハッシュタグ・アクティビズム「#oktoask」(直訳:聞いてもいい)を通して、そんな呼びかけをしている。

 一方で安全の確保も忘れてはならない。目の前で行われていることがセクハラなのかどうか。自分だけで判断できないと思ったら、他の誰かに意見を聞いたっていい。助けに入っても安全か、必要に応じてセキュリティガードに頼むなど、冷静な判断をすることが大切だともいえる。


「ドリンクアウェアの#oktoaskのキャンペーンいいね。クラブでのセクハラがOKなわけない。」


 

 満員電車の痴漢行為や合意なしの性行為といったわかりやすい性犯罪と異なり、クラブのような場では、ある程度の接触も”お楽しみ”に含んでいいもんだと思われがちだが、被害者が不快に感じたり、やめてほしいと思った時点でセクハラ行為なんだと認識していい。

 また、ナイトアウトという”楽しい場に来ている負い目”を感じる必要はまったくない。シラフの状態で”やってはいけないこと”は、酔っているときだってするべきではないのだ。

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Photo by Yuri Catalano

 ナイトアウト先でのセクハラがまるで当たり前のようになってしまった背景には、ナイトカルチャーを形成する”猥雑さ”という魅力があるからだと想像するが、誰かの尊厳が傷つくような文化はいずれ衰退するもの。

 多様を肯定しようとするこの時代に目指すべきは、性的なダンスは表現として認められるが、勝手に相手の体に触ることは許されない”健全な猥雑さ”ともいえるような本物の文化の確立ではないだろうか。

 嫌がっている人にたった一言「大丈夫?」と聞くことで、性別も年齢も関係ない、人として当たり前ともいえる配慮をどんな場にいても忘れてはいけないという意識を広められる。そんな小さな心がけには、セクハラを容認してきた社会を少しずつ変えていくの可能性があるのだ。

Text by Madoka Yanagisawa
ーBe inspired!

 

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