「“誰でもいい”は多数派に加担することと同義」。「投票したい人」がいなくても選挙に行くべき理由。


 

こんにちは。紅子です。突然ですが10月22日は何の日か知っていますか?

ハロウィンも近い日曜日なので、いろんなイベントで街は賑わいそうですが、その前に全国で衆議院議員選挙ってやつが行われます。参加するのは誰かというと、日本国籍を持つ18歳以上の人全員です。

そんなこといっても政治とかよくわかんないし、どこから追いついて良いかもわからない。入れたい候補もいないし多分行かないと思う。

今回はそんな風に考えている「あなた」に読んでほしいです。

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「投票したい人」がいなくても選挙に行くべき理由

 選挙が始まるとだいたい騒がしい選挙カーがあちこちを走り出して、掲げる公約について一生懸命話してる。でも、選挙権を持ち始めたばかりの18歳や20代はおろか、30代や40代にも「政治の動きに全然ついていけてない」って人はたくさんいる。

 なんとなく北朝鮮は怖そうだし、経済は成長してるとか首相は言ってる。何が本当で、何が嘘?なぜ世の中の意見は割れているのか。具体的にキャッチアップできない中で「選べ」って言われても困ってしまう。

 でも、「投票したい人がいない」と棄権する人は、ほんとにそこまで各政党のことを知っている?

 「自分の今の生活がどうなってほしいか」って考えてみたらいい。仕事やお給料は安定してる?将来にどんな不安がある?

 理想の生活には、個人の努力ももちろん必要だけど、その土台を作るのは政治。逆に言うと、政治によって決められる経済や安全保障のシステムがきちんとボトムアップされていないと、個人がいくら努力したって報われないままになってしまう。今回は、投票に行くその前に、選挙の基礎知識を少しでもさらっておけるような内容をまとめました。

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そもそも「シュウギイン」「サンギイン」ってなに?

 国会というのは、①衆議院②参議院の二つから成り立っています。

①衆議院

 衆議院は、参議院よりも物事を決めるときの決定権がやや強いです。任期は4年。ただし、衆議院は決定権が強い反面、何か大きな問題に直面すると4年の任期を満了する前に解散してしまうことがありえます。

 たとえばこんな時。

○内閣不信任案が可決されたとき
衆議院の中で、内閣(国会の中で総理大臣とその他の国務大臣からなる国の最高機関)に対して「これ以上あなたたちに任せられません。クビ!」という案が野党から提出され、それが可決されたとき

○(事実上*)首相が判断したとき
たとえば何か大きな政策を実行する前に国民の信を問いたい場合や、ねじれ国会(衆議院には与党議員が多いのに、参議院には野党議員が多い状態)によって国会での審議が進まずラチがあかない時に、メンバーを選挙で選び直して再編成したい、そして今なら選挙に勝てそう!と(事実上*)首相が判断した場合など。

 
 なお、今回の選挙はこの解散によって行われることになりました。

※解散権について
今回の衆院選に使われる税金はおよそ600億円とも言われています。つまりきちんとした理由や説明なく、むやみやたらに解散するようなことはあってはいけません。衆議院の解散を決める権利が誰にあるのかについて、憲法の条文には「天皇の国事行為」と書かれていますが、一方で天皇は国政に関与する機能を持たないとも定められているため、解散を決める権利は結局誰にあるのかという議論は、おおむね内閣であるという見解で一致しているようです。

 しかし今回の解散の際には、やや安倍総理の独断ともとれる解散だったことに加え、「衆議院解散は首相の専権事項である」と菅官房長官が話していたことが注目を集めました。これについては根拠がないため疑問の声も多く上がっています。

②参議院

 参議院は、衆議院よりも物事の決定権がやや弱い代わりに、任期が6年と長く、その間の解散がありません。そのため内閣は参議院を無視しづらく、じっくりと国のことを審議できるので、衆議院での暴走を防ぐ役割も持っているといえます。

 ただし、参議院は6年間ずっと同じメンバーで運営している訳ではなく、3年に一度のペースで参議院全体(242人)のうちの半分(121人)ずつを選挙で再編成します。つまり、一度選挙で当選した半数(Aグループとする)の任期が3年目に差し掛かったところで、今度は前回入れ替えにならなかったもう半数(Bグループ)の任期が満了し、選挙で再編成する番が回ってくるということです。

 今回10月22日に投開票が行われるのは、衆議院の議員を選ぶ選挙、つまり国政についての決定権が強く、より政治を大きく動かす選挙なのです!

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2つの選出パターンの違い

 現在の日本の選挙には、①選挙区制②比例代表制の2つの選出パターンが存在しており、私たちは選挙区制によって選ばれる選挙区候補と、比例代表制によって選ばれる比例代表候補の2つに投票することになっています。

①選挙区制

 選挙区制というのは、地域ごとに候補者と定員数が異なり、私たちは自分の住んでいる(住民票を置いている)選挙区から候補を選んで投票するシステムになっています。なお、定員が1人分しかない選挙区のことを一人区(いちにんく)、または小選挙区と呼びます。

 選挙区候補の投票は、自分の住んでいる(住民票を置いている)地区の選挙掲示板に貼られているポスターの中から候補者を選び、投票用紙に候補者氏名を書いて投票します。

②比例代表制

 比例代表制というのは、地域で区切らず全国から集めたトータルの票数で決める枠のことです。選挙区候補は個人名で投票しますが、比例代表は『政党名』で投票します。

 参議院選挙における比例代表の場合は、政党名、もしくは特に推したい候補がいた場合は個人名(比例代表候補一覧の中から)で投票することができ、万が一個人名で投票した候補が当選しなかった場合でもそれは「その党への票」としてカウントされるため、死票にはなりません。

 しかし、今回は衆議院選挙です。衆議院選挙の場合、比例代表での投票は政党名のみとなっており、個人名で投票すると無効になってしまうので注意が必要です!

 比例代表制では、その選挙における比例代表全体の投票数と、それに対して各政党がどれだけ票を獲得したかという、「ドント式*」という計算方法で各党の取れる議席数が決まります。

※ドント式の計算方法
各政党の得票数を1,2,3…と整数で割っていき、出た数の大きい順に議席を配分していきます。比例代表では、その政党が獲得した議席の座に党内の誰が就くかというのは、党内であらかじめ決められた順位にもとづいて決定します。つまり、50人が所属するA党が比例で20議席を獲得した場合、A党内であらかじめ決められた1位〜50位のうちの上位20名が当選することになります。

選挙区制の抱えるデメリットは?

 以上が選挙区制と比例代表制の大きな違いになりますが、選挙区制の性質として、比例代表制よりも民意が反映されにくいというデメリットが存在します。

 たとえば、とある選挙区での定員数が2人だったとします。その際、

自民党…20%
公明党…13%
希望の党…12%
立憲民主党…12%
共産…11%
維新…11%
社民…10%
諸派(*)…6%
無所属…5%
(ここでは分かりやすいように政党数を絞って書いていますが、上記以外の政党も存在します)

 
 上記のような得票比率になった場合、パーセンテージでいうと自民公明、すなわち現在の与党の合計支持率は全体の33%ということになりますが、少なくとも今回の選挙で与党の政策ややり方に異を唱えているその他の党(諸派、無所属はここでは除きます)に投じられた票は合計すると56%に上ります。

 しかし、選挙区制は比例代表制と違い、ドント式などのシステムが用いられず、単純に候補者の得票数だけで順位づけがなされるため、得票数が多くても順位が下であればその票は死票となってしまいます。

 ややこしいのでさらに別の例を挙げます。

 たとえば上記とは別の選挙区で、定員が1人であったとき、1位の候補者の得票数が5万、2位の候補者の得票数が4万9999票だった場合、例え1票差であっても前者は当選後者は落選という結果になってしまい、後者に投じられた4万9999人分の声はなかった事として死票になってしまうのです。これでは正確に民意が反映されていないのでは、といった声も多く問題視されています。

 したがって、選挙区制というのは大きな政党にとっては有利で、小さな政党にとっては不利なシステムといえます。

 与党に対して反対の意向を示す候補者が複数立候補するために票が分散し、合計すれば与党を上回る票数も、順位でいつも与党を超えることができず、これではいつまで経っても届かない民意が多いということで、昨年の参議院選挙のときから思想や政策などが比較的近い野党(今回は主に立憲民主党、共産党、社民党の3党)が選挙区ごとに譲り合って候補者を1人にしぼり、まとまった得票を目指すといった野党共闘も行われています。なお、野党共闘によって立候補した候補のことを野党統一候補と呼びます。

※諸派とは、公職選挙法に基づいて指定される、「国会議員が5名以上所属している」「直近の衆院選で得票率が2%以上あった」などの政党要件を満たしていない党、もしくは政治団体のことを指します

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「棄権」と「白票」は何の意思表示にもならない。

 「選挙で投票したい候補がいないから、その意思表示に棄権、もしくは白紙投票(白票)する」という声をちらほら耳にします。

 端的にいって、棄権と白票は何の意思表示にもなりません。

 まず、棄権について。

 依然投票率の低さが深刻な日本の選挙ですが、投票率が低くても低い中で順位が付き、当選者は決まってしまいます。もしこれが、「全体の投票率が○○%以下だった場合この選挙は無効」なんてシステムがあったとしたら、少し話は違うのかもしれません。しかし、投票率が低かろうと、入った票の中から当選者は決まります。「入った票を元に民意を確認する」選挙において、はなからゲームに参加しない人のことなんて考慮されません。「投票率が低いのかあ。じゃあもっといい政治をしよう」みたいな流れにもなりません。その「いい政治」というのが何なのかを問われるのが選挙なのですから。

 国民はお客様ではなく主権者なので、「いいサービスが受けられない」ってボイコットしてたら船は勝手に流れの速い方へ漂流してくだけです。いい方へ行きたいなら自分で舵を取るしかありません。

 白紙投票、すなわち白票も同じです。

 白票とはつまり白紙委任ということになるので、誰も選ばないという意思表示どころか「好きにやってください、誰が選ばれても大歓迎します」って言ってるのと同じことになります。そして何より、「誰でもいい」というのは、多数派に加担することと同義です

 6人でランチを食べに行ったとして、3人はパスタが食べたい、2人は和食が食べたいと言っていたとします。そのとき残りの1人であるあなたが「どっちでもいいよ」と言ったとしたら、結局あなたの意見はどちらにもカウントされずに、「パスタ3:和食2」という、結果的にパスタ勢に有利な答えを生むだけになります。

 その時もしあなたが「和食がいい」と答えたら、少数派だった和食の声はより尊重されて、「パスタも和食もある店探そう」とか、「ランチは二手に分かれてデザートで合流しよう」とか議論が深まったでしょうし、「インドカレー食べたい」とか新たな選択肢を提示したら、それはそれでパスタ勢の1人が「あ、私も」とか動くかもしれないし、結局あなたもパスタ派だったとしても、3:2と4:2がつくる結果は誰が見ても納得の具合が違うんじゃないでしょうか。そして何より、きちんと意思表示に参加したあなた自身が、自分はそこに居る当事者の1人であることを自覚するのではないでしょうか。

 「選ばないこと」は意思表示になりません。「ない」ものは「ない」。選挙で大事なのは、ベストな候補を見つけることではなく、少しでもベターな候補を選び、ワーストに勝たせないことにあります。

 たとえ「-100」と「-130」と「-200」の候補しか居なかったとしても、「-100」を選んで「-130」と「-200」の比重を減らすことはできます。これが本当の「意思表示」です。

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ベターもワーストもわかんない。そんな「あなた」へ

 とはいっても、自分にとってのベスト、ワーストがどこの政党なのか誰なのか、全然わからないって人も多いと思うので、選挙の前になると開設される「えらぼーと」というサイトをお勧めします。

 今起きている政策や問題について、説明を読みながら設問に答えて行くと自分の考えに近い政党や候補が出てきます!ほんと画期的だなといつも思うこのサイト『えらぼーと 2017 衆議選』。ぜひ試してみてね。

▶︎えらぼーと 2017 衆議選

※動画が見られない方はこちら

 もし10月22日は予定アリってひとがいたら、期日前投票も出来るのでぜひめんどくさがらずに行ってください。投票所は、だいたい家からそんなに遠くない場所にあります。家に投票用のハガキが届いてるはずなので(住民票を実家から移してないよって人は実家に届いているはず…!)それを持参してね。

 万が一忘れてしまっても、身分証などを提示すれば投票できます!手ぶらで行っても大丈夫!

 それから、最近は投票率を上げるべく「選挙割」を行なっている飲食店なども増えてきているので、投票を済ませた際に係の人から投票証明書を貰うと、お得な待遇が受けられるお店も結構あります。

▶︎選挙割まとめサイト「センキョ割

 投票自体は「たったの5分」で終わるので、ぜひその1票を棄てずに投じましょう!

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BENIKO HASHIMOTO(橋本 紅子)
神奈川県出身。音楽大学卒業後、アパレル販売をしながらシンガーソングライターとして活動を続ける。2015年5月に結成されたSEALDs(=自由と民主主義のための学生緊急行動)に参加しSNSやデモ活動を通して同世代に社会問題について問い掛けるようになる。
Instagram: https://www.instagram.com/benistagrammm/

Text by Beniko Hashimoto
ーBe inspired!

 

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