#011「“死に方”って、生き方と同じくらい自由じゃないの?」私が『三国志』を観ながら自殺について考えたこと|カミーユ綾香の「マイノリティ爆弾」


三国志、長いです。こんにちは、カミーユです。

去年からずっと、中国のドラマ『三国志』を観ております。大きな声では言えませんが、こっそり中国の動画サイトに無断でアップされてあるのないかなと思って、中国人の子に聞いてみました。いくつか動画サイトを教えてもらい、観ようとするのですが、サイトにアクセスすると何故か私のPCが異常な警戒音を発します。仕方ないので、TSUTAYAに貢いでいます。

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Photo by j_arlecchino

異なる“死に方”を選んだ、私の「推し武将、推し天皇、推し作家」

 数ヶ月ほどだらだら見続けているのですが、先日ついに、私の推し武将、周瑜(しゅうゆ)が死にました。嗚呼、周瑜!!作品によって描かれ方は違うのですが、今作の中ではサイコパスとして描かれておりまして、サイコパスに目のない私はサイコ周瑜を非常に気に入っておりました。諸葛亮孔明(しょかつりょうこうめい)をライバル視しており、でも決して追いつけず劣等感を抱くというキャラなのですが、死ぬときも病床でのた打ち回りながら、「天は俺を生んでおきながら、何故、諸葛亮も生んだのだ(既生瑜何生亮)!」と叫びながら憤死しました。嗚呼、憤死!

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Photo by Manuel Joseph

 周瑜の憤死を味わいながら、崇徳(すとく)天皇を思い出しました。
崇徳天皇は私の推し天皇なのですが、色々あって島流しにされて怒り狂って舌を噛み切って「日本国の大魔縁となり、皇を取って民とし民を皇となさん」とかなんとかわけの分からないこと言って、最後は天狗になりました。嗚呼、崇徳天皇!

 で、崇徳天皇となると今度は三島由紀夫が連想されます。三島由紀夫は私の推し作家なのですが、彼の「春の雪」という作品が映画化されたときに、崇徳天皇の歌がモチーフとされていました。三島由紀夫の最期は、簡単に言えば、色々あって自衛隊駐屯地に乗り込んで占拠して切腹して自害しました。嗚呼、切腹!

 死に方にも色々あります。周瑜は憤死、崇徳院は天狗、三島は切腹です。これって、大きくカテゴライズすると全て自殺なのではないかと思います。三島は明らかに自殺ですが、周瑜と崇徳院も自らを死(天狗含む)に追いやったわけでありますから、自殺の枠に近いでしょう。

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三島由紀夫
Photo by DietrichLiao

自殺を“絶対悪”と言い切る資格があるのでしょうか?

 となるとですよ、自殺って、絶対悪にされるものでしょうか。
例えばですが、無双の武将として気高く生きてきた周瑜が諸葛亮にプライドをボコボコにされて、そんな彼に、「周瑜、ガンバ、恥辱にまみれてもいいじゃない、死なずに生きよう、にんげんだもの」なんて言えなくないですか。島流しにされた崇徳院に対して、「崇徳院、ガンバ、流刑でも天狗にならずにいいじゃない、にんげんだもの」とか言えなくないですか。私はちょっと言えないんですよね。何故なら死に方って、生き方と同じくらい個人の自由だと思うからです。

 十代の頃、よく不法侵入していた近所の大学の図書館に、ストア哲学の本がありました。そこには、「ストア学派では、自殺は人間の自由の最高の表現であるとする」と記されておりました。この一節に、私は感動しました。有り難いことにこれまで自殺を願うことも実行することもなく生きて来られましたが、だからといって自殺を絶対ダメだと決めつけることには違和感がありました。それって、どうなの。生き方が自由なら、死に方も自由でしょ?きっと、生きられないほどの苦しみというのは、存在すると思うのです。英雄の挫折や作家の苦しみもそうであろうし、重病の辛さもそうです。そういう人に対して、自殺は絶対悪と言い切る資格は、果たして私達にあるのでしょうか。だってその苦しみを持っているのは、本人だけでしょう。本人しか知りえない苦しみであるのなら、それを知ったかぶりで諫めるのは驕りではないでしょうか。

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Photo by Giammarco Boscaro

 てゆうか、他者に対して自殺は駄目だと言い切るよりも、もうちょっと緩い言い方でいいんじゃないんでしょうか。私は自殺しないし多くの人(マジョリティ)は駄目って言ってるけど、決めるのはあなた次第、くらいでいいんじゃないでしょうか。なんかその方が自殺率減るんじゃないかという気がします。私は死なない、あなたは知らない。それでいいじゃないですか。自分の死に方くらい、自分で決めたっていじゃない、にんげんだもの。

CAMILLE AYAKA (カミーユ 綾香)

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北九州市出身。在日韓国人と元残留孤児の多く住む多国籍な街で育つ。
警固インターナショナルの代表としてアジア各国を飛び回りつつ、十数言語による語学スクールとインバウンド支援の多言語ウェブサイト制作会社を運営する一方、難病の重症筋無力症とパンセクシュアルというセクシュアリティの当事者として、様々なマイノリティの生きやすい社会を目指して精力的に活動中。「マイノリティの爆弾」を「マジョリティ社会」に投げつけるために2017年5月から本メディアBe inspired!で連載中。

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Photo by Keisuke Mitsumoto

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Text by Camille Ayaka
ーBe inspired!

 

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