#008「ヤクザの街出身の女にありがち」。私が喜んで「危険な男」と「ブスと叩かれるアイドル」に愛情を注ぐ理由 | カミーユ綾香の「マイノリティ爆弾」


 

新大久保よりこんにちは、カミーユ綾香です。

Photo by 撮影者

スラム街・北九州で生まれ育った私にとって、ここはとても落ち着きます。多国籍の言葉、刹那的な雰囲気、暴力的な愛に溢れるこの街は、故郷に似ているのです。が、今夜はちょっと違います。惨憺たる気分です。打ちのめされているのです。というのも、先ほど自分が大罪を犯していたことに気付いたからです。

大罪、つまりTSUTAYAの延滞です。三国志のDVDです。しかも四本です。なんたる愚行!完全なる無駄金!自分が許せない!ズタボロの境地です。このままではまずいと思い、急いで新宿方面へ向かいます。紀伊国屋で、推しメンであるSKE48の須田亜香里の本を買う為です。延滞の罪に押し潰されそうな今夜は、須田亜香里の笑顔で乗り越えるしかありません。

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私が新宿で受けた「TSUTAYA延滞の一億倍くらいのダメージ」

 人がちょくちょく命を賭けるスラム街(北九州)で育ったせいか、私は筋金入りのリスクテイカー(Risk Taker)です。リスクテイカー、つまり、リスクを取らないとチャンスを逃すし、リスクを取ることしでしか人は成功しないと考える人間です。自分だけではなく、相手も頭のおかしい人やものが大好きです。仕事でも多少リスクのある案件に惹かれるし、未知数で危ういリスクテイカーを愛します。お気に入りのリスクテイカーを見つけると、ノーガードで手を広げて凄まじく愛情を注ぎます。ヤクザの街出身(北九州)の女にありがちです。

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 新宿東口を過ぎ、紀伊国屋まであと五分とのところで事件は起きました。かつて愛したリスクテイカーと遭遇したのであります。当時、彼との関係で私は「TSUTAYA延滞の一億倍」くらいのダメージを受けました。すごく辛かった。もう生涯会わないと思っていました。まさか新宿でSKE48須田亜香里の本を買いに行く途中に会うとは。恐るべき合縁奇縁。でも顔を見た瞬間、あらゆるマイナスの感情が噴き出しました。ただの偶然だと切り捨てて逃げてもいいのですが、TSUTAYA延滞で自傷気味なこともあり、どうしてここまで苦しいのかを、立ち止まって哲学してみることにしました。

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「私はリスクを取って人を愛してしまうのだなぁ」

 リスクテイカーを愛するのは、それ自体がかなりのリスクです。例えば一部上場企業ではなくベンチャー企業に投資するようなものだし、医師ではなく作家志望の無職と結婚するようなものです。ですので、たまにズタボロにされるときもあります。応援していた事業が失敗したり、応援していた人が傲慢になって酷いことをされたり。それでも何故リスクテイカーを愛するのかというと、それはやっぱり、SKE48須田亜香里のような感動があるからです。

 須田亜香里は、ネットでは卑怯なクズどもからブスブス言われているのですが、現在総選挙で6位です。分かりますか。最初から絶世の美女みたいに言われていた奴がランキングに入っても全然面白くないじゃないですか。でもブスと叩かれている子が気合いでのし上って6位になるなんて、もう最高に感動します。だから私、彼女が本当に大好き。そして彼女を応援する為なら、喜んでリスク(CD買う)を取りたいのです。

 と、まあこんな感じで、「私はリスクを取って人を愛してしまうのだなぁ」と再認識しました。そして先ほどすれ違った人について考えました。私の側で、もしこの偶然に意味をつけるのであれば、それはやはり許しを学ぶことかなと思いました。逃げず、責めず、許してみる。許しというのは結局、最高にクールな行為です。無宗教ですが、神様からの「お前いい女になれるからあいつを許して年を越そうぜ」的なメッセージだと思うことにしました。

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マイノリティやリスクテイカーに愛を送る12月。

 12月、人は様々なことを考えてしまいます。未来が不安になります。孤独に潰されそうになります。逃げ出したくなります。だけど恐らく明日はやってきてくれて、それはとても恵まれていることです。

 苦しいときにはゆっくり呼吸をして、意地悪されても人を許し、誰かを傷つけたらごめんなさいをして、嬉しいときにはありがとうと言ってみます。そういうふうに丁寧に生きれば、なんとかなります。

 年の終わりだからこそ、孤独に潰されそうなマイノリティやリスクテイカーがこの世にいます。私は新宿の混沌の中から、そういう人たちの幸せを願い、愛を送っていたいと思うのでありました。

CAMILLE AYAKA (カミーユ綾香)

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北九州市出身。在日韓国人と元残留孤児の多く住む多国籍な街で育つ。警固インターナショナルの代表としてアジア各国を飛び回りつつ、十数言語による語学スクールとインバウンド支援の多言語ウェブサイト制作会社を運営する一方、難病の重症筋無力症とパンセクシュアルというセクシュアリティの当事者として、様々なマイノリティの生きやすい社会を目指して精力的に活動中。「マイノリティの爆弾」を「マジョリティ社会」に投げつけるために5月から本メディアBe inspired!で連載開始。

All photos by Keisuke Mitsumoto
Text by Camille Ayaka
ーBe inspired!

 

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