#009「東京でビッチになって父親の分からない子どもを一人で産む」。占い師にそう予言されて私が気付いたこと|カミーユ綾香の「マイノリティ爆弾」


ソウルよりこんにちは、カミーユ綾香です。

Photo by 撮影者

今年最初の旅先はソウルです。ソウルでやることといえば、カジノです。といってもギャンブルを好むのではありません。カジノに行くと、たまにスーパー金持ちの中国人観光客に出くわします。彼らは物凄い金額でギャンブルします。そういう人たちの隣に座って、にやにやしているのが好きなのです。あるときなんて、同じ会場の中国人が奇声を上げて卒倒するのを目撃しました。付き添いの人に聞いたら、その人は四億円負けたそうです。さながらカイジの世界。そういう激烈人間ドラマを観るのが好きなのです。今回も賭博に人生を翻弄された者どもの奇声や悲鳴や歓声を聞きつつ、ぼんやり去年を振り返ってみました。

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私はこれから東京で淫乱になって父親の分からない私生児を一人で産む…

 去年といえば、生まれて初めて占いを体験しました。占い、凄いですね。初対面なのに、お前は東京で子どもを産むって言われました。そして子どもには台湾の血が入っていると言われまして、え、じゃあ私は台湾人と結婚するんですか?って聞いたら、いや結婚しませんと言われました。え、じゃあ相手は誰ですかって聞いたら、知りませんと言われました。え、子どもまで分かるのに相手は分からないんですかって聞いたら、周りに何人かいてどの人が父親か分からないと言われました。

 つまりですね、占い師の言ったことを整理すると、こうです。私はこれから東京で淫乱になって父親の分からない私生児を一人で産む、ということです。これ、凄くないですか。同じことを別の人に言われたら、殺傷事件ですよ。でも相手が占い師だから、殺傷どころか逆に有難うとお礼を言って一万円払ったわけです。お前は東京で淫乱になって父親の分からない子を産むぜと言われて、有難うございますと答えて頭を下げたのです。

 このように、第三者から将来を予言された時、どうしますか。私は、あまり気にしないようにとは思ったものの、台湾人と出会う度に占いを意識してしまうようになりました。初対面でも、もしやこいつが私の子供の父親か?と気持ち悪いことを思ってしまいます。で、状況があまり嬉しくなかったので、一度その予言が本当だったと仮定して徹底的に準備してみることにしました。つまり、シングルマザーとして東京で生きる自分を詳細に詰めてみました。先ず、住居を決めました。多様性のあるシェアハウスのような環境です。そして学校を決めました。千代田区にある台湾人学校です。この学校の出身者にインリンオブジョイトイがおり、彼女は私のヒーローなので、即決でした。

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「将来の不安は、未知ではなくなれば怖くない」。占い師に一万円払って得た最大の収穫とは

 と、ここまで具体的に決めた時点で、占いの影響がするする消えて行ったのに気付きました。占いや他者の言葉に迷ってしまうのは、未来や将来は不確定だからです。ですが一度、それを現実のものとして徹底的に脳内現実化していくと、その将来の不安はもう脳内体験済みのものとなるので、未知ではなくなります。未知では無くなれば、恐怖や不安は無くなってしまいます。不安を解決するのは意外と簡単なんだと改めて再認識しました。恐らくこの再認識が、私が今回占い師に一万円払って得た最大の収穫です。

 得体の知らないものが現れて、それに対して期待より不安が勝ったときには、Let’s face it。向き合って、紐解いて、詰めるとうまく行くのでしょう。ソウルのカジノを徘徊しながら、そう思う年始でありました。

CAMILLE AYAKA (カミーユ綾香)

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Photo by Keisuke Mitsumoto

北九州市出身。在日韓国人と元残留孤児の多く住む多国籍な街で育つ。警固インターナショナルの代表としてアジア各国を飛び回りつつ、十数言語による語学スクールとインバウンド支援の多言語ウェブサイト制作会社を運営する一方、難病の重症筋無力症とパンセクシュアルというセクシュアリティの当事者として、様々なマイノリティの生きやすい社会を目指して精力的に活動中。「マイノリティの爆弾」を「マジョリティ社会」に投げつけるために2017年5月から本メディアBe inspired!で連載中。

Top photo by Keisuke Mitsumoto
Text by Camille Ayaka
ーBe inspired!

 

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