「スイス旅行」という新しい「自殺の方法」


現在、世界では1分間に152人が亡くなっている。1日にすれば22万人だ。
 
寿命を全うして亡くなる人もいれば、病気や事故で命を落とす人、戦争やテロ、殺人事件で亡くなる人もいる。そして、自ら命を絶つ人も。
 
多くの人は、自分の望むように死を迎えることができないのが現実だ。
 
しかし、近年【死の自己プロデュース】を行う人々が現れた。
 
日本で話題になっている「終活」とは少し違う。
 
彼らは息を引き取る瞬間を自分で決めて、合法的な「自殺旅行」に出かけるのだ。


 
 
行きの航空券だけで行ける、最期の海外旅行

豊かなアルプスの景観やチーズフォンデュ、世界遺産に指定された古都など、多くの観光客が訪れる国・スイス。
 
そんな美しい国に、観光以外の目的で訪れる外国人旅行客が増えている。彼らの目的は安楽死。
 
日本で安楽死を手伝うと殺人罪に問われるが、スイスでは安楽死が法律で認められているのだ。
 
欧州諸国ではスイス以外でも安楽死を認めている国はあるが、スイスだけは外国から訪れた人々に対しても安楽死を認めている。
 
そのため、スイスを最期の旅行先に選んでやってくる人が後を絶たないのだ。
 
もちろん、帰りの航空券は不要だ。

 
 
スイスツアー(自殺付き)、70万円。

(Photo by Trent B.)

(Photo by Trent B.)

自殺幇助を行うのは、ディグニタス(Dgnitas)という団体。
 
末期症状や重度の身体・精神疾患を抱える人々に対し医師と看護師のサポートのもと自殺を幇助している。
 
ただし、健康な人や精神的な問題を抱えている人などは対象外だ。全ての自殺志願者を幇助しているわけではない。
 
ディグニタスで安楽死をするためには、団体への入会金と諸費用でUSD7,000(日本円にして約70万円)が必要だ。
 
これが「自殺旅行」の費用として安い値段なのか高い値段なのかは個人の感覚によって異なるだろう。
 
しかし、現在、世界60ヵ国から5500人以上もの人々が同団体に登録している。
 
病気で苦しむ人が安らかな最期を迎えられるよう、動物の安楽死にも使用される鎮静麻酔薬が投与され、団体のスタッフに見守られる中で静かに眠りに落ちるように亡くなる。
 
病気に蝕まれ苦痛と闘いながら迎える最期よりも、自ら死に方を選択し、安らかにこの世とお別れをしたい。
 
死を迎えようとする人たちの表情は、不思議なことに前向きなのだそうだ。

 
 
29歳の女性が投稿した「自殺予告動画」が話題に

※動画が見られない方はこちら

2014年11月、アメリカにて一人の女性が安楽死を選び亡くなった。
 
彼女の名前はブリタニー・メイナード、29歳。悪性の脳腫瘍があり、同年の4月には余命半年を宣告されていた。
 
結婚したばかりの彼女は、子どもを作る計画もしていたそうだ。
 
故郷でホスピスケアを受けながら死を迎えることも考えたが、投薬に伴う苦痛や、言語・認知能力に障害が生じる可能性があると知り、尊厳死法が認められているオレゴン州へ移り住んだ。
 
オレゴン州では、成人の末期患者が医師に処方された薬を自分で飲み「自殺」することを認めているのだ。
 
「私は自殺願望があるわけではありません。でも、私はもうすぐ死にます。だったら、死に方は自分で選びたいのです」
 
ブリタニーはマスメディアの取材に対してそうコメントした。
 
ブリタニーは死を迎える前に、YouTubeに動画を投稿した。
 
それは「自殺予告動画」として話題になり、アップされてわずか5日間で500万回以上が再生された。
 
自ら死を迎える選択をした彼女の言葉が残されている。世界中の人々が彼女の「自殺」に注目していた。
 
彼女は予告通り、医師に処方された薬を使用し11日1日、自宅で安らかに息を引き取った。
 
29歳の女性の「前向きな自殺」は人々の間で大きな波紋を呼んだ。
 
果たして人は死ぬ権利を持っているのか否か、簡単には答えが出ない議論である。

 
 
「死ぬ権利」は誰のもの?

(Photo by michael i k)

(Photo by michael i k)

現在、日本では安楽死や尊厳死は合法化されていない。
 
自殺幇助を行うことは、殺人罪に問われる。
 
医療現場において回復の見込みがない末期の患者に対し、本人の意志に従い、延命措置を行わない「消極的安楽死」が行われることはある。
 
しかし、それらがニュースで大きく取り上げられ、人々に議論される機会は欧州に比べると少ないようだ。
 
日本では、末期の患者が「一生懸命に生きている姿」や「命を全うしようとする姿」を美しく描いた映画や書籍、ドキュメンタリーが人々に感動を与えている。
 
“病気の苦痛を手放すために死を自分で選ぶこと”は、美談ではなくタブーのようだ。
 
命が終わる瞬間、そして終わり方を選ぶ権利は誰のものなのか。
 
死ぬ権利を法律で奪うことは、もしかすると最も残酷なことかもしれない。

 
via. HEALTH PRESS, Stone Washer’s Journal, Huffpost Lifestyle Japan, The Huffington Post
 

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