スウェーデンと比較して露わになる、日本が「幸せな国」ではない理由。


批判的な意見を言われたとき、話題をどれだけ逸らすことができるのかを頭の中でぐるぐると考えてしまう人は多いだろう。批判を言われれば傷つくし、それは当たり前の心理だとも言える。しかし、そんな批判も大切にすることができれば、もっと“幸せ”になれるのかもしれない。

(Photo by Stephen Arnold)

(Photo by Stephen Arnold)

国の公式アカウント「@Sewden」では、現在、一般人が「つぶやき中」

 もはやTwitterは個人だけではなく、企業や要人、国家までアカウントを持つ大変重要なコミュニケーションツールとなっている。北欧の国スウェーデンも公式アカウントを持つ国家の一つであるのだが、スウェーデン政府は現在このTwitterアカウントを民間人に絶賛貸し出し中だ。実はこれ、最初は7日間限定でスタートした企画で、国内に住む人に国の公式アカウント「@Sewden」を無料で貸し出し、選ばれた民間人がなんでも自由につぶやけるキャンペーンであった。

 他薦によって選ばれた候補者はデザイナーや消防士など、政治とは全く関係のない一般人。スウェーデンのおすすめの場所や日常生活を写真とともに投稿し、話題を呼んだ。この“リアルさ”がスウェーデンへ興味を持つきっかけをつくり、フォロワーは開始前の8,000人から67,000人へと増加。さらに、開始から6週間で1980万ドルに値するPR効果も得た。(参照元:JCAST)この実績が認められ、国家としては異例の世界三大広告賞のひとつ「カンヌライオンズ」でグランプリを受賞した。

ありえない発言や批判も含めて「スウェーデンという国」

 ただ、この取り組みはすべてが「いい子ちゃん」では収まらなかった。このキャンペーンのコンセプトはあくまでも“自由”に投稿することだったので、政府による事前の検閲などは一切なし。そのため投稿を任されたとある女性が、スウェーデン政府の公式アカウントにも関わらず、政治的な差別や性的な表現を含む行き過ぎた投稿をし始めたのだ。その投稿を見てみると、「JAW(ユダヤ人に対する差別的名称)」といった人種差別的なものから、「ミルクとオシッコに浸したイチゴ、とってもおいしい」という意味不明なものまで、はっきり言って国として恥ずべきものばかりだ。

 しかし、スウェーデン政府がとった対策はこの投稿を削除することではなく、受け入れることだった。もちろん世界中に発信され、多くの批判を浴びる結果となってしまったのだが、スウェーデン政府は決して後悔はしていないようだ。それもそのはず、この国には「スウェーデンという国の所有者は国民である」という信念が強く根付いているのだ。これは子供の頃から意識されていて、どんな小さなことでも国民に議論に参加する機会を与えている。小学校では、「学校の中にある遊び場が閉鎖されたらどうするか」という問題に対し、「責任者の政治家に会いに行きなさい」「デモをしなさい」と教えるそうだ。(参照元:東京新聞)こういった背景もあり、政府は「Twitter上での行き過ぎた発言と批判も含めてスウェーデンという国」であるとして、そのすべてを受け止めたのだ。

批判には、「謝罪」と「削除」が定番?

 そんなスウェーデン政府と正反対の対策を取るのは日本の公的機関や企業である。批判があれば一刻も早い対応を迫られ、受け入れるのではなくどれだけ「なかったこと」にするかが批判を抑える鍵となっている。例えば鹿児島県志布志市は、最近批判を浴びてその取り消し作業に追われた地方機関での一つである。

 市はふるさと納税を促すため、納税への返礼品として送っている市特産の養殖ウナギを紹介する内容の動画を公開した…のだがその内容がまずかった。黒い水着姿の少女がカメラに向かって「養って」と話しかけるなどした映像に「児童ポルノにみえる」との批判が殺到。

 市は「差別の意図は全くないが、このまま公開を続けると志布志の養殖ウナギに悪いイメージを持たれてしまう」とのコメントを出し、直ちに動画を削除した。(参照元:朝日新聞)また、企業CMでもAKB48メンバーが口移しでキャンディーをリレーするUHA味覚糖「ぷっちょ」のテレビCMが「品位に欠ける」との声が相次ぎ中止になったり(参照元:NEVERまとめ)、25歳の誕生日を迎えた女性が「あんたは女の子じゃない」という厳しい意見に感化されて綺麗になろうとしていく資生堂「インテグレート」のCMがTwitterで「女性差別」との批判が相次いで中止となった。(参照元:livedoorNEWS

※動画が見られない方はこちら

「批判」を聞けば「幸せ」が見えてくるかも

width="100%"

(Photo by Niklas Pivic)

 これらの対応を見てみると批判にもまんべんなく耳を貸したスウェーデン政府に対し、日本社会は批判と向き合うことを避ける傾向にあると言えるだろう。鹿児島県志布志市のPR動画や資生堂のCMが社会的に相応しかったどうかは別だが、それぞれが正しいと思って行ったことであれば、批判も含めてその結果を見届けるべきなのではないだろうか。一人ひとりに意見があることは当たり前で、いい意見だけではなく批判的な意見にもきちんと耳を傾け、向き合うべきなのだ。

 批判的な意見も受け入れ、表現に寛容なスウェーデンは「国民の幸福度ランキング」において、53位の日本に対し10位という結果になっている。(参照元:AFP)もちろんこのランキングには多くの要素が含まれているが、「批判から逃げずに、学び、成長する態度」があながち国民の幸福度に影響を与えていることは否定できないのかもしれない。

—————
Text by Asuka Yoshida
ーBe inspired!

xstqzslja4c-stephen-arnold
この記事が気にいったら
いいね!しよう
Be inspired!の最新情報をお届けします