「メイド・イン・ジャパン」を、捨てる“勇気”。


(Photo by Gabriel Cabral)

(Photo by Gabriel Cabral)


まだ記憶に新しい、多くの人々に感動を与えたリオオリンピック。
 

しかし、そこで直面したことは「感動」だけではなく「疑問」だ。
 

私たちは「活躍」という意味をはき違えてはいないだろうか。


 

 

「スポーツ後進国」で輝く、「日本人」

(Photo by Yahoo!JAPAN)

(Photo by Yahoo!JAPAN)

彼がゴールした瞬間を見て、感動した人も多いだろう。
 

日本人でありながら、カンボジア国籍を取得し、カンボジア代表としてオリンピックに出場した猫ひろし。
 

彼は書類上は日本人ではないが、それにも関わらず多くの日本人が応援したのではないだろうか。
 

カンボジアは未だかつてオリンピックでメダルをとったことのないスポーツ後進国。
 

だが、そんな国を盛り上げているという意味で彼に称賛の声を送る人は多い。
 

彼がカンボジア国籍を取得したのは前回のロンドンオリンピックが開催される直前の2011年。
 

しかしその時は出場資格を満たしていないという理由で、オリンピックの舞台に立つという夢は断たれた。
 

そんな状況の中迎えた今回のリオオリンピック。
 

結果は140人中139位と奮わなかったかもしれないが、最後まで走りぬく彼の姿に日本中が感動した。
 

それは、ゴール後に、「カンボジアの人も日本の人も、ブラジルの人も応援してくれて、ありがとうと言いたい」とコメントをした彼の言葉からも読み取ることができるだろう。

 

 

日本を去らざるを得なかった「シンクロコーチ」

しかしそれとは対照的だったのが、今回のオリンピックのシンクロナイズドスイミングでデュエット、チームともに日本にメダルをもたらした井村雅代コーチである。
 

今回のリオオリンピックこそ日本代表コーチとして参加していたものの、それまでは中国代表コーチとなり中国でも結果を出していたのだ。
 

彼女に中国から「我々の国でコーチをしないか」と声が掛かったのは04年のアテネ五輪後。
 

これまで日本のコーチとして6大会連続でメダルを獲得していた彼女には、次の五輪への期待もかけられていた。
 

しかし、水泳連盟が出した答えは契約を更新しないということだった。
 

これからもシンクロ界に尽力したいと考えていた井村コーチは協会に詰め寄ったが、協会側の答えは「NO」。
 

「これからは若い選手とコーチで、日本を成長させます」と突き放された。

 

 

「売国奴」とまで言われる日々

このような経歴もありフリーとなった井村コーチであるが、そんな彼女のもとには世界各国からコーチのオファーが殺到した。
 

そしてその中でもより熱心にオファーをし、また一番初めに声をかけてくれた中国に渡ることを決心したのだ。
 

結果的に中国にもシンクロ競技でオリンピック史上初のメダルをもたらしたわけであるが、中国に渡ると決まってからの彼女へのバッシングはひどかった。
 

多くのメディアは「売国奴、裏切り者」と批判をし、街を歩いていても、すれ違った人から陰でコソコソと悪口を言われたこともあったそうだ。
 

しかし彼女はそんなことではめげなかった。
 

そこには「どの国で」という意識はなく、「シンクロ」というフィールドで自らの力を試したいという信念があったからだそうだ。
 

日本にメダルをもたらした今でこそ、多くの人から称賛を浴びるが、当時のこの出来事は決して無視してはならないことであろう。

 

 

「どこの国か」は、大事なことか

(Photo by MONUSCO Photos)

(Photo by MONUSCO Photos)

この「技術の流出」という日本特有の批判はスポーツ界だけではなく、ビジネスの場でも見受けられる。
 
例えば、28歳という若さで、米国をベースに企業向け福利厚生サービスを提供する 『AnyPerk』を運営している福山太郎氏は、サンフランシスコで創業を決意した当時「まず日本で成功してからにしろ」と言われたそうだ。
 
また、08年にノーベル賞を受賞した理論物理学者の南部陽一郎氏に対しても批判が挙げられたことがある。
 
南部氏は、受賞時にアメリカ国籍を取得していたため、「彼は日本人としてノーベル賞を受賞していないのか」ということに対して議論が起こった。
 
ちなみにこれに対しノーベル財団は「国籍は考慮しない」として、受賞者を国別で数えることを拒否している。

 
 
期待するのは「場所」ではなく、「自分」

(Photo by Mo Riza)

(Photo by Mo Riza)

スポーツやビジネスの場において、海外で活躍している日本人は多くいる。
 
しかし、それが発展途上国だと絶賛されるが、日本と同じように技術が高い国であると「技術の流出」や「日本人としての誇り」という部分で批判されやすい傾向にあるのではないだろうか。
 
今回のオリンピックでも、高須クリニックの高須社長が資金難に苦しむナイジェリア代表に支援をした。
 
高須社長はその理由を「諦めない彼らの姿に感動したから」だと言うが、同じ理由でそれがライバル国や先進国であったら、日本での反応はどうであっただろうか。
 
日本で輝くことも、日本では自分の才能が伸ばせないからと海外へ飛び出すことも大切なことだ。
 
しかし、こだわるべきは「場所」ではなく、世界のどこにいようが、自分の能力に対して正当な対価を得られる世界が理想なのだと思う。

 

via. YouTube, デイリー新潮, NAVERまとめ, withnews, WIRED.jp, My Life After MIT Sloan
 

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