「観る、という支援。」を掲げる、日本で唯一の難民を題材にした映画祭が9月より開催


難民を支援している人の数は、どれほどいるのだろう。もし「難民のおかれた環境について知ること」を支援の一つに数えるなら、その数はあなたが想像するより多いかもしれない。

2006年に始まった、日本で唯一「難民」を題材にした作品を集めた映画祭「UNHCR 難民映画祭」には昨年、一万人を超える人々*1が参加。今年は東京、札幌、名古屋の三都市で開催されるが、同様の人数の参加が見込まれるという。

(*1)UNHCR難民映画祭で上映する作品の上映イベントを学校が主催者となって開催する「学校パートナーズ」という取り組みを通して鑑賞した人々を含む

width="100%"
©UNHCR

テーマは「観る、という支援。」

 昨年は「観なかったことにできない映画祭。」が主題であった同映画祭だが、今年は「観る、という支援。」をテーマに掲げている。上映される作品数は絞られたものの、ラインナップの特徴は、鑑賞者に難民の現状を身近に感じてもらえる作品を厳選していることだ。上映される作品全6本のうち、4本が日本初上映作で、2本が昨年以前のUNHCR 難民映画祭のアンコール上映作。ここでは、そのなかから3作品をピックアップして紹介したい。

『ソフラ ~夢をキッチンカーにのせて~』 (原題:Soufra)
<日本初上映>

width="100%"
© Lisa Madison

レバノンの難民キャンプで育ったパレスチナ難民のマリアムが、難民で職のない女性たちとケータリングビジネスを始めようとクラウドファンディングに挑戦するドキュメンタリー映画。食欲のそそられるパレスチナ、シリア、イラクの郷土料理の数々、そして何よりも彼女たちが現代的な手段を使って自らの生活を向上させていく姿が印象的な作品だ。

『パパが戦場に行った日』 (原題:The Day My Father Became a Bush)
<日本初上映>

width="100%"
©Gregg Telussa

パン屋を営みながら平穏な日々を送っていた親子の生活が、突然始まった紛争により一変するという、今年上映される作品のなかで唯一のフィクション作。父親は兵士として戦地へ向かい、娘は避難しようと一人で母親を訪ねることとなるが、日本の観客も「もし紛争が勃発したら、どうなってしまうのか?」と難民のおかれた現状を自らに置き換えて考えさせられるだろう。

『異国に生きる ― 日本の中のビルマ人』 (原題:Life on Foreign Land: Burmese in Japan)
<アンコール上映>※名古屋での上映のみ

width="100%"
©Masaya NODA

1991年に軍事政権の弾圧から逃れるために、ビルマ*2から日本に渡ってきた青年の14年間を追ったドキュメンタリー作。日本で暮らすようになって20年経ち、念願のレストランを開業して生活を安定させた彼だが、祖国の民主化運動を諦めることはなった。祖国に戻って家族と暮らしたいと願う一方、民主化運動をやめるわけにはいかないという彼が何を考えたのか、日本に暮らすとあるビルマ人の現実を知ることのできる作品だ。

(*2)日本ではミャンマーと呼ばれることが多い。ミャンマーは1989年に軍事政権がビルマから変更した呼称で、民主化運動に携わる人など軍事政権の正当性を認めていない人々には使われていない

学校や企業、団体とパートナーに

 同映画祭は難民問題に対する理解をより多くの人にしてもらうべく、主催者となって上映イベントを開催する学校を募集する「学校パートナーズ」という取り組みを2015年に始めた。今年からは学校だけでなく企業や団体にもパートナーズの枠を広げており、できる限り直接的に、映画祭に来られなかった人にも難民問題を考えてもらえるきっかけを作っていこうと働きかけている。

width="100%"
©Innerspeak Media

知ることが、まず第一歩

 今年のUNHCR 難民映画祭のパンフレットには、こんな言葉が書かれていた。

どうぞ、難民映画祭に足を運んでいただき、まずは観ることから、難民支援の輪に加わってください。

 「『観る』ということが、果たして支援になるのだろうか」と疑問に思う人もいるかもしれない。だが映像を通して当事者の置かれた状況を知るだけでも、少なくとも難民とならざるを得なかった人々に対する「支援の輪」へ加わることができるのだ。そう考えると、あなたが今年のUNHCR 難民映画祭で作品を鑑賞することも、支援への重要な一歩となる。

UNHCR 難民映画祭 2018

WebsiteFacebookTwitterInstagram

パートナーズ募集についてはこちら

<スケジュール>
東京:2018年9月7日(金)8日(土)9日(日)@イタリア文化会館
2018年9月29日(土)@グローバルフェスタJAPAN2018
札幌:2018年9月29日(土)30日(日)@札幌プラザ2.5
名古屋:2018年10月6日(土)7日(日)@名古屋国際センター
※お申し込み、ご入場についてはこちら

<主催>
国連難民高等弁務官(UNHCR)駐日事務所、特定非営利活動法人 国連UNHCR協会

<パートナー>
独立行政法人 国際協力機構(JICA)

width=“100%"

▶︎オススメ記事

「難民」ってググったことある?わずか6年で平和が消え去ったシリアのために日本人が日本からできること。

「難民だって働いて、社会の役に立ちたい」。ドイツで夢を掴んだ「シリア人」から日本人が学ぶこと

Text by Shiori Kirigaya
ーBe inspired!

 

Untitled design-2
この記事が気にいったら
いいね!しよう
Be inspired!の最新情報をお届けします