「ファーム・トゥー・テーブルの民主化」を目指すアメリカのファストフードレストラン、Dig Inn|世界のGOOD COMPANY #001


世界の社会派な企業を紹介していく新シリーズ「世界のGOOD COMPANY」。第一回目はアメリカで、ファーストフードならぬ“ファイン・ファーストフード”を提唱しているレストランチェーンを運営する企業「Dig Inn(ディグ・イン)」をピックアップ。

ファストフードなのにファーム・トゥー・テーブル

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 「ファイン・ファーストフード」のファインとは「上質な」という意味。ファストフードなのに上質とはなんだか相容れないようだが、Dig Innはファストフードにも関わらず「ファーム・トゥー・テーブル」を実現している。

 一般的にファーム・トゥー・テーブル(農家からテーブルまで)とは、調理する材料をすべて農家から直接仕入れているレストランのこと。さらにDig Innはファーム・トゥー・テーブルに加え、オーガニック野菜にもこだわっている。全27店舗を抱える同社は102の近隣(レストランから482キロメートル以内)のオーガニック農家と提携し、それぞれのレストランに並ぶ料理のレシピは、シェフと農家がシーズンやその時々の天候などを考慮し相談したうえででき上がったものだ。

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 また、ほとんどのレストランが一週間単位で農家から野菜を仕入れるのに対し、Dig Innは6週間から15週間単位で農家から野菜を購入している。こうすることで、農家には安定した収入を、そしてレストラン側はそのシーズンごとに安定した値段と質の野菜を仕入れることができるため「ウィンウィン(win-win)」だと話す。

 さらに、他の農家では味や質は変わらないのに捨てられてしまうような規格外野菜(形が崩れてしまった野菜)も使い、売れ残りの食料は毎日フードバンクなどに寄付しているという徹底ぶりだ。

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食品業界にインパクトをうむ

 創設者のAdam Eskin(アダム・エスキン)のバックグラウンドは、金融業。私生活で食と健康に情熱を持っていたアダムは、レストランチェーンを買取し、Dig Innのコンセプトを構築していった。当時ファームトゥーテーブルのムーブメントは彼が拠点にしていたニューヨークで始まっており、それを拡大することができればアメリカのフードシステムを変え、アメリカ人の食生活にいいインパクトをうむことができると思ったそうだ。

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 一般的にファームトゥーテーブルのレストランは比較的裕福な人向けで、経済的に余裕のない人には利用がしづらいという現実もあったのだろう、「ファームトゥーテーブルを民主化すること」が目標だという彼のビジネスモデルの背景には、環境破壊に加担しない方法で、すべての人が健康な食事にありつける社会を作りたいという思いがある。

 近年アメリカでは「フードアパルトヘイト」や「食の砂漠化」にみられるように、経済的に恵まれていない人々の健康的な食へのアクセスが制限されるという問題が目立っている。

フードアパルトヘイト

新鮮で体に良い食べ物の値段がファーストフードや加工食品より高いため、経済的に恵まれていない人は体に悪いものしか食べられない状況。(参照元:The Washington Post

食の砂漠

スーパーマーケットや青果市場が少なく、新鮮な野菜や果物を手に入れるのが難しい地域を指す。(参照元:American Nutrition Association)また、ファーストフード店が比較的貧困層の多いエリアに集中すること。

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 今後の目標は、社員やスタッフの多様性を高め、環境に優しく倫理的な農場を展開していくことだというDig Inn。日本でもファームトゥーテーブルで和食のファストフードができたら、なんて思ってしまう。

Dig Inn(ディグ・イン)

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All photos via Dig Inn
Text by Noemi Minami
ーBe inspired!

 

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