世界一見たくない「“痛ましい”ファッションショー」


(Photo by Lotus Carroll)

(Photo by Lotus Carroll)

私たちに夢を与えるファッションショー。
 
季節のコレクションが発表されるや否や、女性たちはそのチェックに走り、雑誌や有名店のショーウィンドウには、所狭しときらびやかなアイテムが並べられる。
 
しかし、ファッションショーは夢を与えるものだけではない。
 
とても最後まで見ることができない、痛ましいファッションショーも存在するのだ。

 
 
誰もが傷つく、史上最低のファッションショー。

 
2年前の「国際人権デー」にあたる12月10日。
 
南アフリカのモザンビークでとあるファッションショーが行われた。
 
この週はファッションウィークと位置付けられていたこともあり、どんな最新ファッションを見られるのだろうと会場には多くの人たちが押し寄せた。
 
しかし、多くの人々が見守るランウェイに現れたモデルたちは……なんと傷だらけの女性たちだった。
 
実はこのファッションショー、家庭内暴力の被害者を支援する団体が実施した「ドメスティックバイオレンス」問題啓発のためのキャンペーン。
 
痛々しい血やあざに覆われた彼女たちは、全員がドメスティックバイオレンスの経験者。
 
ファッションショーという女性たちが注目する場をあえて借りて、被害者である彼女たち自身がモデルとなり、ドメスティックバイオレンスの悲惨さを身をもって訴えたのだ。
 
ファッションは最先端のトレンドを魅せるものである。
 
しかし、ショーの終盤で、彼女たちは「これがトレンドであってはならない」「同じ悩みを持っている人はこの番号へ連絡して」といったプラカードを掲げ、ドメスティックバイオレンスの被害を食い止めるよう訴えた。

(Photo by youtube)

(Photo by youtube)

このとても直視できない彼女たちの姿に、会場は一時騒然となり、目を覆う人も少なくはなかった。
 
その衝撃は、とても言葉で言い表すことができなかっただろう。
 
しかし、なかなか表にでにくかったドメスティックバイオレンスの被害の実情をオープンにすることによって、現実を知るきっかけになった人も多かったという。

 
 
あなたも「未来」の「被害者」かも。

(Photo by Lotus Carroll)

(Photo by Lotus Carroll)

ドメスティックバイオレンスの問題は、このファッションショーが行われた南アフリカだけではない。
 
WHOの2013年の発表によると、なんと世界の女性の3人に1人が配偶者、恋人などからの暴力の被害に遭っているというのだ。
 
さらに驚くべきことは、もっとも割合が高いのは、バングラディッシュやインドを中心としたアジア地域で4割。
 
そして、これらの虐待行為が原因で殺害されてしまった女性はなんと38パーセントにものぼる。
 
しかし、この問題を「世界の統計」であると理解し、遠い国の問題で片づけてはならない。
 
日本の警察統計によると、日本でのドメスティックバイオレンス被害の数も年々増加しており、今では3日に1人、妻が夫により殺されているというデータまである。
 
ここまで人数が膨れ上がった原因は、被害者が夫や子供たち家族を守りたいがために、名乗りでることをタブーと決めつけてしまっていることや、医療、司法の受け入れ態勢が不十分であることがあげられる。
 
日本でも内閣府がDV相談ナビというホットダイヤル(0570-0-55210)を設けているが、どれだけの人がその存在を知ってるだろうか。
 
少しでもSOSが必要になれば、被害が大きくなる前に相談するのが一番。
 
しかしその環境がまだまだ整備されていないことは明らかだ。

 
 
愛する人が与えてくれた「笑顔」が、「暴力」に変わる日。

(Photo by adweek)

(Photo by adweek)

このドメスティックバイオレンスの被害を撲滅しようと、フロリダにある家庭内暴力センターWomen in Distressがある行動をとった。
 
その行動とは、出会い系サイト『Tinder』にドメスティックバイオレンス防止の広告を出すことである。
 
日本でも少しずつ人気を呼んでいるアプリ『Tinder』は、Facebookと連動して、位置情報を送信し、近くの男性と出会うことができるとうマッチングアプリ。
 
操作は簡単で、登録している異性の写真をスワイプで観覧し、興味があれば「いいね!」を押す。
 
そして相手も「いいね!」を押すとメールでのやりとりが可能になる。
 
『Women in Distress』はこの仕組みを利用し、優しくほほ笑んでいる男性の写真をスワイプしていくと、徐々に不機嫌な顔になり、最後には怖い顔でカメラに向かってパンチしようとしている写真へと変わっていく広告を掲載した。
 
『Women in Distress』は「大きな被害になる前に、そのサインを早く見つけて欲しい」との想いをこの広告に込めたという。
 
ドメスティックバイオレンス被害の多くの原因は、SOSを発するまでに時間がかかってしまうことだろう。
 
被害者の多くはこの被害を恥ずかしいと思ってしまったり、相手を想うあまり誰にも相談することができなかったりするという。
 
だからこそ、『Women in Distress』』が大胆にも、ドメスティックバイオレンスとは相反するような出会い系アプリで行ったように、もう少しドメスティックバイオレンスという罪をオープンにしていく必要があるのではないだろうか。

 
 
「私、ドメスティックバイオレンスに遭っています!」

(Photo by Tantek Çelik)

(Photo by Tantek Çelik)

まだまだドメスティックバイオレンス問題への意識が低い日本。
 
だからこそ、被害情報も少なく、自分がドメスティックバイオレンスに遭っていると認識さえもできていない人も多いのではないだろうか。
 
ドメスティックバイオレンスは誰にでも起こりうる被害である。
 
そのことをもっとオープンにし、ドメスティックバイオレンスの被害に遭っているということをもっと簡単に言える仕組みをつくることが大切ではないだろうか。
 
「私、ドメスティックバイオレンスの被害に遭っています!」
 
そんな風に声を大にして言えれば、きっとこの被害は減少していくに違いない。

 
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