「まるで、ホステル」。“最新ホームレス支援施設”を作った若者が教えてくれる、人間の尊厳を守る大切さ。


 

炊き出し、ハローワーク、年末年越し村、生活保護…。

ホームレスとは、日本の特別措置法によると「都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場所とし、日常生活を営んでいる者」のことである。(参照元:ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法)彼らへの支援の数々を、あなたは耳にしたことがあるかもしれない。

そのイメージとは一体どんなものだろうか。

アメリカ・ボストンで大学生によって営まれている、とある“ホームレス支援”のやり方はあなたの固定概念を打ち破るかもしれない。

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Photo by Jon Chase at The Harvard Gazette

ホームレスの尊厳をクリエイティブに守る、学生ならではアイデア

 Y2Yとは、ハーバードの学生が中心となって行う若者ホームレス支援施設である。施設の運営主体は学生であり、学生ボランティアスタッフによって成り立っている。

 帰る場所のない若者や事情を抱え家に帰れない若者にベッドやシャワーを提供し、法的書類の手助け、人々への認知向上を目的として活動している。

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Photo by Greg Premru

学生だからこそ、同じ目線から考えられる

 施設の構想をも大学生が行っていることから若者視点での工夫が多く見られる。例えば壁紙はパステルカラーの黄色で、部屋がとても明るい雰囲気に包まれている。さらに、「一人一人の顔は見えるが、プライバシーは侵害されない」という適度な距離感のベッドがあり、居心地の良い環境を提供している。施設の中はとても明るい雰囲気に設計されていて、最近増えているモダンなシェアホテルや大学の学生寮を想像させる。

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Photo by Greg Premru

 さらに、この世代の学生ならではの目線として、多様なジェンダーへの配慮がある。近年、若者の間でLGBTQ+への認識が増え、ベッドの配置やシャワールームなどにあえて性別による仕切りを作っていない。フラットな場所で「安全な環境づくり」が行われているのだ。

「本当の自立」に必要なもの

 「ホームレスの支援」と言うと、食事や寝る場所の確保、という物資的な数えられる支援に目が行きがちだ。しかし、家のなくなった若者が立ち上がって、新しいキャリアや人生を歩むその第一歩を踏み出す際に、本当に必要なのはそういった“モノ”だけなのだろうか。

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Photo by Jon Chase at The Harvard Gazette

 ポートランドにあるシスターズ・オン・ザ・ロードでは、手作りのランチを$1.5で提供している。このレストランで掃除や皿洗いなどの労働を行うと、その対価として食事を得られるスタンプを得ることができる。利用者の多くはホームレスの人々だが、彼らがこのレストランに来る理由は価格の他に、ある理由があるという。

(このレストランの)特徴的なのが、食事が無料ではない点だ。サンディとジェニーが話を聞いてみると、ホームレスたちは単に食事を求めてはいるのではなく、働く場、貢献できる場、そして役に立つ人として扱われることを何よりも望んでいたそうだ。タダで配給してもらうことはもちろんありがたいが、長時間、寒い中立って待たされたり、食事に困るほど貧しいことや何らかの依存症があることを証明するために質問攻めにされたりする毎日は惨めだ。お腹は膨れるが、人とのつながりも生まれないし、気持ちは満たされないまま

 つまり、このレストランにくるホームレスたちは、自分が誰かの役に立ったり貢献ができるという、“社会的な意義”を求めてこの場にやってくるのだ。

 “社会的な意義”とは、つまるところ、「人間らしく振る舞う」という行為だと思う。

 Y2Yが空間作りを工夫することによって実現する“居心地の良い空間”とは、「人間らしい」空間のことなのではないだろうか。「人が人として、社会の関わりの中で生きていく」ことが当たり前になるという状況づくりは、忘れがちだが意外ととても大切なことなのかもしれない。 

 ひいては、ホームレスの人だけでなく、家を持ち家庭のある人だったとしても、この「人間らしさ」を忘れては、「人間としての自立」ができていないということだ。これは、一部の誰かだけに当てはまることではなく、多くの現代人に当てるメッセージである。

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Y2Y

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Photo by Jon Chase at The Harvard Gazette

All photos by Y2Y
Text by Ayane Kumagai
ーBe inspired!

 

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